平成30年度行政書士試験の時事問題について

11月11日に平成30年度の行政書士試験が終わりました。

時事要素の含まれた一般知識問題は、下記の3問となりました。(一般知識は14問中6問以上が足きりラインです。)

問47「2017年11月から始まった新しい外国人技能実習制度」

問50「近年の日本の貿易および対外直接投資投資」

問55「欧州データ保護規則(GDPR)」

昨年度の問題は、「受験生が翌年以降の時事問題学習を躊躇するような本末転倒な出題」であり、多くの関係者を困惑させました。

https://note.mu/political_w/n/ndac9753af290

しかし、今年の三問については、難しいテーマだったという印象を抱いたかもしれませんが、対策可能だったと思わせる良い問題になった印象です。(一般知識の他の出題は物議を醸しているようです。)

まず、問47「2017年11月から始まった新しい外国人技能実習制度」です。

外国人技能実習制度については、悪質な業者の存在により社会問題となっていること、外国人の在留資格については、6月の骨太の方針に新たな在留資格の検討を行うと明記され、現在行われている臨時国会で外国人労働者の受け入れを拡大する法案が審議入りしたところで、非常にタイムリーであり、まさに時流に沿った問題でした。

ただし、内容は非常に細かく、アの内容を知っていなければ、「イとウがプラスの内容だから、枝1か2とし、エとオで迷った」という受験生が多かったのではないでしょうか。

なお、問47は、妥当でない組合せを選ばせる問題です。
試験理論的には、受験生が注意力不足により誤って「妥当なもの」を選んでしまうという、問うべき知識と関係のない要素での失点を防ぐために、「妥当である」ものを選ばせることを推奨しています。
択一式を続けるのであれば、来年度以降は改善して欲しいところです。

問50「近年の日本の貿易および対外直接投資投資」は、「ザ・時事問題」と言える問題で、次年度以降も、このレベルの時事問題を出題して欲しいと思わせる良問でした。

ただ、昨年度の反動が大きかったので、ここまでの対策をしていた受験生は少数派だったかと思います。

問55「欧州データ保護規則(GDPR)」も、今年5月に新聞各紙の一面を賑わせたビッグトピックでした。

GDPRは、違反した企業に非常に厳しい制裁を課すことで大きな話題となりましたが、それを踏まえれば、正答を選ぶのは難しくありませんでした。

ということで、平成30年度の問題は、時事知識のある受験生を合格させたいという出題者の狙いが、見て取れる問題となりました。

今後、受験生の時事力を高めるためにも、出題者には、出題範囲の明示と固定化を望みたいところです。

たとえば、時事要素の入った問題を「日本政治」「日本経済」「国際政治経済」から各一問は必ず出すといった明示をすると、行政書士試験の受験生のレベルは上がるでしょう。

受験生の皆さんについては、「新聞一面レベルのビッグトピックを学習するとともに、頻出項目である日本経済を中心に大きな流れを掴む学習をしていく」ことが良いのではないかと思います。

来年度は、受験生も出題者も、ともに納得感がある良い問題が出題され、私自身も受験生がきちんと実力をつけ合格を掴めるような精度の高い時事問題集を作って参ります。

サポートは、お気持ちだけで十分です。もし良い記事があればSNSなどで感想をシェアしていただけると嬉しいです。