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【過去日記】ホットカフェオレとレモンパイ

昨日今日の話をしよう。

散歩がてら喫茶店で読書をしようと思い立ち、コートを着て外に出る。目的地は徒歩2時間のジェネリック新宿駅。歩いて15分、どうやら北風は私に味方をしなかった。コートを脱ぎリュックに詰め込む。荷物が増えた。

徒歩30分、春の訪れを感じさせる太陽の熱視線に負け、来た道を戻り電車で隣駅の本屋に行く予定に変更した。

一駅なのに普通に乗り過ごし、そのまま栄えている駅の本屋に行くことにした。求めてるものがなかった。

ここまで来たのなら、家で読書するそのお供にレモンパイを買おう。そう決意しそこからさらに別の駅に向かった。最後の一切れを前の婦人が買おうとしたので静かに絶望したが、買う量が多いらしいその婦人は順番を譲ってくれ無事にレモンパイとミートパイが買えた。「レモンパイは早めに冷蔵庫に入れて下さい」そう伝える店主の目は1ミリたりとも笑っていなかった。

帰り道に本来の目的である隣駅の本屋に寄ろう。街に降り立つ。こんな風景だったかしら。違うわネ。気のせいかしら。本屋に行く。求めてるものがなかった。どうやら本来行きたかった本屋は隣の隣の駅の本屋だった。

諦めきれず、本日4回目の電車に乗り当初行く予定だった本屋にようやくたどり着く。

求めてるものがなかった。二度あることは三度ある。

諦めて1冊だけ購入して帰路につく。この間にも太陽はジリジリと熱をあげていく。汗が湧き出てくる。それは太陽のせいだけではない。早く帰らねば。焦慮にとらわれる。保冷剤の入っていない紙製のケーキボックスを、私はギュッと握りしめた。

ケーキのお供にはコーヒーだよネッ!いそいではいるが、私はケーキを完璧な状態で楽しみたかった。最寄りのスーパーに寄り、カフェオレスティックを手にし、弁当まで買って帰路についた。

お腹が減ったので弁当を食べた。お腹がいっぱいになった。

しかし私の目的はレモンパイ。この暑い中2時間も連れ回されたレモンパイが今日の主役になることは間違いなかった。

弁当を食してから2時後、冷蔵庫で冷やされたレモンパイをお皿に移し、先程買ったカフェオレスティックを手にする。アイスにしたかった。買ったばかりのコップにこの2時間で作った氷をいれ、スティックを流し込み、沸かしたお湯を入れ、混ぜた。なんてことでせう。粉が溶けない。脳が溶けそうだ。そんなことを言ってる場合ではない。ここまできたらこんな事では1ミリも動じない。

粉が浮かび上がるぬるい茶色の液体をサバスの容器に移し替え、もう一度つくった。ホットのカフェオレを。アイスに固執する俺ではない。

目の前には本日のメインディッシュ
『回転木馬とレモンパイ』
『レモンパイ』
『ホットカフェオレ』
が並ぶ。この時点で19時である。

初めて食べるレモンパイは想像よりも酸味が強かった。クリームの甘さと絡んでもレモンの味が少し強く、口の中を中和させたくてカフェオレを口に運ぶ。甘い。中和されなかった。そこで思い出した。私はコーヒーが飲みたかった。カフェオレではなく。コーヒーを買いに行った。選ばれたのはカフェオレでした。カフェオレなら元々家にあったじゃ〜ん。まぁそんなこともうどうでもいい。

クリームは味が強かったが、メレンゲのパリパリ加減。お味。とても美味しかった。また買いに行こうと思えるほどに美味しかった。幸せを感じた。トイレに駆け込んだ。本を読み始めた。最近出会ったこの本は私の好みドンピシャで一度読み進めるとスルスルと読めてしまう。読み終わった時点でレモンパイは、半分残っていた。トイレには2回行った。まごうことなきうんち。悪いのは……誰…………。そしてお腹は膨れている。ホットのカフェオレは冷めていて、そこには粉が微妙に溶けてないものが溜まっているのがわかった。この時点で21時。明日に回せばきっと、半分残ったレモンパイを食べてる間に3回はトイレへいくだろう。

何をしたか記憶にない1日の締め括りにフォークを握りしめる。
サクッ。パイ生地から聞こえる音の食感に心地よさを感じながら、明日の入稿日はスムーズに終われますように。そう願い、無心でレモンパイを食べきった。

そして、今日。
お昼にミートパイを食べた。
食後、トイレに駆け込んだ。
仕事はスムーズに終わらず、無駄に残業をした。
最終入稿間際にPCマイクの不調でシステム部と1日やりとりをする。遠隔で作業してもらう画面をぼーっと見る謎の就業時間を体験する。
解決しなかった。

1件入稿しなかった。業務過失が2件も重なった。何もわかってない営業との案件を無事に終わらせたと思ったら全然無事に終わってなかった件について。

怒りは母ちゃんの胎内に置いてきた。

上司のゴーサインを待つ間、同一企業の別件の修正を完了させ一旦枠を閉じる。この枠を閉じてはいけないものだったんじゃないか、否、閉じてはいけないものだわ多分、と退勤した後に確信する。⇦イマココ
返事が来なかったので、17時までにやらなければいけない案件をやってないことを退勤後思い出した。⇦イマココ

吾輩もクソである。

報告書書くレベルのやつかなと静かに絶望しながら、親知らずを2本抜く明日のことを考えている。

俺、この戦いが終わったらからあげの鉄人食うんだ。

2021年2月22日


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