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毎日連載『一日一妖!』 8月14日【置いてけぼり】

 初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
 二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
 こんにちは、あらたまです。

『一日一妖!』とは――
 怪異や怪談が大好きな私あらたまが、妖怪や怪異に関連する与太話をさせていただくという連載企画です。
 毎日読むのにちょうどいい、約1000字の超ショート・ショートテキストサイズ!
 さっくり楽チン軽やかな、ゾワッと怪しいひとときを楽しんでいただけたら嬉しいです。

 いつもの定休に「お盆休み」と名前をつけるだけで、気分がだいぶウキウキするもんなんですね。
 家事もほぼお休み。夏休みの「宿題」と称して、調べ物やメモを書いたりしていました。
 後の時間はお楽しみ系の本を読んだり、ゲームをやったり!貪欲に面白がって行こうかと……。

 それでは、前置きはこのくらいに。
 本日の『一日一妖!』始めましょう。

【置いてけぼり】

 本所七不思議の一つ。
 よく魚が釣れる堀があり、そこで釣りをしていると、どこからともなく「置いてけ、置いてけ」と声がする。
 空耳かと思い、そのまま帰ると、必ず足がすくみ釣った魚がいつの間にかいなくなってしまうという。

 私が一番最初に触れた『置いてけぼり』はラジオの落語番組で聞いたものだったような気がします。噺家さんの御名前を憶えていないのが痛いところです。
 休日の夕暮れ時、高速道路上で大渋滞に嵌った車内だったんじゃなかったかなあ。家族全員で、それこそ固唾を飲んで聞き入ってました。たぶん小学校に上がる前じゃないでしょうか。

 最終的に「お魚は一匹も残っていませんでした」というだけの話なので、おどろおどろしさは欠片もないはず。今っぽく言えば、信じるか信じないかは私次第な都市伝説系の話ですものね。
 なのに「おいてけー」の場面がひどく怖かったのです。それだけ噺家さんの技量が素晴らしかったのでしょう……。

 噺家さんがべらんめえ口調だったので、恐らく本所七不思議がベースになったものだろう……そんな推測で長年過ごしてきましたが、年月が過ぎて、改めてこの話に触れてみますとバリエーションの多さに驚きました。
 本所の他にも、都内では千住にも堀の怪異の話があるそうですし、蔵前の話は河童が皿を置いて行けと言うんだとか。

 番町皿屋敷もそうですが、昔の怪談ブームの時に人気のあった話は、街おこし効果を狙ったのか、全国各地で『ここがかの有名な怪談の発祥の地』が残されています。
 そして各地の伝説の中身を紐解くと、あちこちの話が交じり合ったりオリジナル要素が突然放り込まれたりして、これがまた滅法面白い。

 私もあちこちから欠片をアイデアメモに引っ張り出しておいて、後から混ぜたり切り貼りしたり、捏ねて寝かせて焼いたり煮込んだり……という手法で怖いお話を書いております。
 ほんの一時「怖い!けど、なんかオモロイ」と思っていただけるような話をお出しできるよう、日夜あがいているわけです。
 ただ。昔の人々の怪談への執念と言いますか、怖さとユーモアの融合を追求する姿勢のストイックさときたら、並々ならぬ畏怖を覚えることが多々あるんですね。え?そこまでする?という演出や心情の抉り方、凄まじいものがございます。
 人々の心が大らかではあったけれども他者への尊敬と礼儀を重んじていた時代、そこで如何に他者を、何よりも自分自身をゾクゾクさせる話を組み上げるか……素朴さと生真面目さの中に光る創作職人魂にあやかりたいと願いつつ、これからも書き続けていく所存です。

 了

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 それでは。
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 また明日ね、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ

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