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2023年5月第3週の振返り(決算振り返り)

5月15日(月)から5月19日(金)に買い増しした銘柄と株数は以下の通り。

【主力候補】
・VYM×1株
・三菱UFJ×1株
・東京海上×9株
【準主力候補】
・BTI×3株
・三菱HCC×109株
【その他】
・東ソー×3株
・ENEOS×1株
・電源開発×2株


今週は金融セクターを中心に持株の決算がありましたので、以下、簡単に振返っておきます。


〇三井住友FG(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の最終利益は前の期比14%増の8058億円
②24年3月期は前期比1.8%増の8200億円
③23年3月期の年間配当を230円→240円へ増額修正
④24年3月期は240円→250円へ増配方針

ダブル増配を発表してくれました。また、後述するように次期中計期間においても累進配当政策は継続と非常に頼もしいです。

以下、23年3月期の業績サマリーです。

三井住友FG決算説明資料より引用

23年3月期の連結決算は、純利益が前の期比14%増の8,058億円。法人貸し出しの増加や決済事業が好調だったほか、円安の進行も業績を押し上げました。

また、金利感応度の高い米国の不動産向け取引やロシア向け債権などで480億円の引当金を計上したものの、与信関係費用全体では前の期比で減少。本業のもうけを示す連結業務純益も同11%増の1兆2,764億円と好調でした。

続いて、24年3月期の業績目標について簡単に見てみます。

三井住友FG決算説明資料より引用

2024年3月期の連結純利益は前期比2%増の8,200億円予想。国内の個人・法人向け事業や海外ビジネスの収益増強を見込んでいます。

また、傘下のSMBC日興証券は23年3月期に相場操縦事件の影響で最終赤字となっていましたが、24年3月期は業績回復を見通しており、これも来期好業績見通しの支えとなっています。

このように来期も堅調な業績が続く見通しですが、同社の太田社長は高止まりする米金利への警戒感をあらわにしており、「米国の資金需要は旺盛だが、(金利高に伴うリスクの増大で)与信の質を見定めながらコントロールしていきたい。債権の質が劣化することもあり得る。」と強調。貸出残高を大きく伸ばす方針とは一線を画す考えを示しています。

また、当面は安全運転に徹したいとの思いからか、後述する三菱UFJ同様、自社株買いについては「金融機関を取り巻く不透明な環境を踏まえて、上期決算時まで判断を保留する」と説明しています。

最後に、決算発表と同時に新中期経営計画が発表されましたので、簡単に見ておきます。

【新中期経営計画(23~25年度)】
①最終年度の25年度はボトムライン収益(当期純利益)は9000億円を目標(※22年度実績は8058億円)
②次期中計の最終年度28年度には1兆円を目標
③株主還元は配当を基本に機動的な自己株式取得も実施
④配当性向40%と累進的配当を維持しつつ、ボトムライン収益の成長を通じた増配を実現

三井住友FG新中期経営計画より抜粋

今回の新中経においても「累進的配当を維持」と累進配当政策の継続が明記されました。配当投資家としては非常に頼もしいと感じています。

28年度に当期純利益が1兆円となることを期待しつつ、今後もホールド&買い増しを続けていきます。


〇三菱UFJ(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の最終利益は前の期比1.3%減の1兆1164億円
②24年3月期は前期比16.4%増の1兆3000億円見通し
③24年3月期の年間配当は32円→41円に増配する方針

増配率28%超の大増配を発表しました。個人的には32円→36円かなと予想していたので、大きなサプライズ。現在402株保有していますが、今回の9円増配により年間配当金が約3600円増えました。

3600円年間配当を増やすには利回り4%と仮定した場合、9万円分の株を買付せねばなりません。9万円というのは私にとっては大金です。企業増配の威力をまざまざと見せつけられた思いです。UFJに感謝!(^^)!

以下、22年度の決算概要および来期見通しです。

三菱UFJ決算説明資料より引用

23年3月期は、海外の金利上昇や貸出利鞘の改善により預貸金収益等が増加し、業務粗利益は過去最高。本業の利益を表す業務純益は前年度比3,775億円増加の1兆5,942億円となり、マイナス金利導入前の水準に回復

当期純利益は、MUFGユニオンバンクの売却に関連した一過性の損失・費用等を計上しましたものの、業務純益の好調によって過去最高益となった前年度並みの1兆1,164億円となり、現中経で掲げている「安定的に1兆円以上の利益計上」という目標を2年連続で達成。極めて好調と言って良いでしょう。

24年3月期の連結純利益は前期比16%増の1兆3000億円と過去最高見通し。顧客部門の堅調な伸びを見込むと共に、前期計上した一過性費用(ユニオンバンク関連費用)の剥落も利益を押し上げる見込みです。また、中期経営計画の財務目標である ROE7.5%の達成を目指しています(22年度は7.03%)。

ただ、他のメガバンク同様、米国市場への警戒感を抱いており、前年に3,000億円を上限とする自社株買いを実施した三菱UFJも当面は資本に余裕を持たせ、安全運転に徹する考え(自社株買いの発表なし)をにじませています。


なお、みずほを含めた3メガバンクの23年3月期の連結純利益は計2兆4000億円を超え、9年ぶりの高水準となりました。もっとも、米利上げに伴う一過性の恩恵が大きい側面もあるということは頭に入れておく必要があります。


〇三菱HCC(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の最終利益は前の期比16.9%増の1162億円
②24年3月期は前期比3.2%増の1200億円見通し
③23年3月期の年間配当を31円→33円に増額修正
④24年3月期は33円→37円に増配する方針

ダブル増配を発表してくれました。増配率も素晴らしい。これで同社は25期連続増配予定となります。四半世紀に渡り継続して増配を続けるって本当に凄いことですね。

以下、23年3月期の決算実績です。

三菱HCC決算説明資料より引用

21年11月に完全子会社化した米国の海上コンテナリース会社CAIの利益貢献などにより、売上総利益は前期比6.8%増益の3,573億円。

22年3月期に特別利益として計上した政策保有株式の大口売却益(税引き前ベース:267億円)の剥落はあったものの、貸倒関連費用の減少や海外地域セグメントの米州事業の伸長等により、純利益は16.9%増益の1,162億円でした。好調ですね。

続いて、24年3月期の業績予想です。

三菱HCC決算説明資料より引用

24年3月期については、旅客需要の回復を背景とした航空事業の伸長等による事業成長を見込む一方、前期に計上した税金費用の減額効果の剥落に加え、 「10年後のありたい姿」の実現に向けた投資や既存事業領域の再構築・再定義に係る費用等の計上もあり、純利益は1,200億円と前期比で小幅増を見込んでいます。

最後に、決算発表と同時に統合後初となる新中期経営計画が発表されましたので、以下簡単に見ておきます。

【新中期経営計画(23~25年度)】
①最終年度の25年度純利益目標は1600億円(22年度は1162億円)
②ROE目標は10%程度(22年度は8.2%)
③配当方針は配当性向40%以上
・株主還元は配当によって行うことを基本とする
・利益成長を通じて配当総額を持続的に高めていく

三菱HCC新中期経営計画より抜粋

以前の中経と基本的には同じです。今回の増配により配当性向が少し高まってしまいました。新中経で掲げた純利益数値目標を達成できるか、今後も進捗を見守っていきたいと思います。


〇東京海上(本決算)

【決算概要】
①23年3月期の経常利益は前の期比11.2%減の5039億円
②24年3月期は前期比48.8%増の7500億円見通し
③24年3月期の年間配当は100円→121円に増配する方針
④併せて3000万株(発行済の1.5%)、500億円上限の自社株買い

決算シーズンの大トリを務めた損保の雄、東京海上。決算シーズンを最高の形で締め括ってくれました。21%増の大増配と自社株買いの発表です。

私が主力の中の主力として掲げる銘柄は、三菱商事・三菱UFJ・NTTの3社(ポメまる御三家)となりますが、4番手にくる銘柄が東京海上です。それほど絶大な信頼を寄せている銘柄となります。

さて、22年度の実績から簡単に見ていきます。なお、東京海上はグループ全体の経営指標として「修正純利益」(※)を用いており、以下、修正純利益で話を進めていきます。
(※連結当期純利益に種々の要素を足し引きしたもの)

東京海上決算説明資料より引用

23年3月期グループ全体の修正純利益は前年比▲1,342億円の4,440億円。

事業別に見ても、国内損保(TMNF)・国内生保(AL)・海外保険、各事業ともコロナや自然災害といった一過性の影響を大きく受けています。

国内ではコロナ関連の保険金が膨らんだことに加え、22年6月の雹災や9月の台風14・15号の襲来、海外ではコロナ関連の保険金が重荷となりました。

とはいえ、23年3月期の上半期決算時点では、MS&ADとSOMPOが最終赤字、東京海上も前年同期比で7割近く減益となっていましたが、各社だいぶ持ち直した印象ではあります。

コロナはともかく、自然災害は損保各社が常に向き合っていかねばならないものです。22年3月期は3メガ損保共に最高益を更新していましたが、20年度21年度は比較的自然災害が少なかったことも最高益更新に大きく寄与していました。自然災害という観点において、今期はある意味正常に戻ったとも評価できるでしょう。

なお、自然災害が起きると保険会社は再保険会社から再保険金を受け取り、契約者に支払う保険金の一部と相殺できますが、23年3月期は再保険金が出る発動点に至らず、保険金の大半を自己負担しており、この点も減益幅に拍車をかけています。

続いて、23年度の業績予想について簡単に見ておきます。

東京海上決算説明資料より引用

24年3月期グループ全体の修正純利益は前年比+2,260億円の6,700億円見通し。

事業別に見ると、国内損保事業では、ヘッジコストの増加等の⼀⽅で、前年度の⼀過性の影響等の反動や⽕災保険の収⽀改善(料率改定)、新種保険の販売拡大、 大口事故の反動等による保険引受利益の増加などにより増益を見込んでいます。

また、海外保険事業では台湾コロナの反動に加え、引受規律を維持した着実な増収や、⾦利上昇等を捉えたインカム収益の増加等により増益を見込んでいます。

国内生保事業においても、ヘッジコストの増加等を見込む一方、コロナ保険金支払増加の反動等によりActualベースでは増益を見込んでいます。

続いて、同社の株主還元推移を見てみましょう。

東京海上決算説明資料より引用

圧巻の推移です。同社は05年のHDとしての上場以来、普通配当は減配したことがなく、累進配当という言葉自体は明文化していないものの、「原則減配しない」と公言するなど実質的に累進配当と評価できる銘柄です。同社は株主還元の基本は配当とするとしていますが、ほぼ毎年のように自社株買いも実施しています。文句なしですよね。

また、同社は5年平均修正純利益を配当原資としていますが、その利益水準が相対的に低位であった2019~20年度が24年度以降「5年平均」の対象期間から外れることにより、配当原資が切り上がることになります。ですから、業績次第ではありますが、今後の更なる増配も期待できます。


最後に損保業界について一言。

今後は保険料の更なる拡大に向けて、各社とも企業向けの新しいリスクに対応する新種保険の開発・販売が大きくカギを握ることとなります。

サイバー被害や、ドローンや空飛ぶ車に関わるリスク、ロケットや衛星による宇宙進出に伴うリスクなど、損害保険商品の開発競争が続いていくことでしょう。

そんな激しい競争環境下においても、日本初の損害保険会社としてリーディングカンパニーであり続けてきた東京海上は今後も業界の盟主として君臨し続け、我々株主に利益の分け前を付与し続けてくれる、そう考えています。


〇雑感


以下、簡単に雑感です。

今週をもちまして3月期企業の決算が概ね終了。私は3月期決算の銘柄を26社保有していますが、そのうち20社が増配を発表しました。

年間配当金を増やす方法としては、労働→倹約→入金→買付によって保有株数を増やすことが第一となりますが、企業増配によって自ずと年間配当金が増えるというのも配当投資の大きな魅力の一つです。そして保有株数が多ければ多いほどそのインパクトは大きなものとなります。

17日(水)には日経平均が2021年9月28日以来、およそ1年8か月ぶりに3万円台を回復、19日(金)には一時3万0924円まで上昇し、1990年7月以来およそ33年ぶりの高値圏まで上昇。昨年末比で見ると日本株は世界の株価指数の中で最も強い動きをしています。

その背景として①日銀の金融緩和継続②旺盛な設備投資やインバウンド需要の回復③東証による低PBR改善要請④それを受けた企業の増配や自社株買い⑤来期の業績見通しが全体的に思ったほど悪くない⑥バフェット効果および大規模な外国人買い➆景気後退入りが囁かれる米国などと比べ日本の景気は新型コロナウイルス禍からの経済再開局面にあり、相対的に底堅いとの見方⑧地政学リスクの高まりで中国株に投資しにくくなり、アジアのなかで日本に脚光が当たっている、等々が報道ベースではよく挙げられています。

このように日本株を取り巻く環境としてポジティブな要素が数多く目につきますが、人生同様、投資の世界も一寸先は闇。好調な時ほど「浮かれることなくやることは変えずに淡々と」が大切です。

一方でネガティブな要素を挙げると、①米国の金融引き締め長期化で米景気が今以上に減速する(米株崩れれば日本もただではすまない)②世界景気の減速が数字として反映されてくるのは秋以降③政府の増税案提示④物価上昇が一段と顕著になれば、日銀が金融緩和政策の修正に動く可能性が高い、等々でしょうか。

とはいえ、短期的には波乱もあるかもしれませんが、中長期的には期待できるのではないか、と個人的には少しだけ楽観寄りで見ています。

バブル期の日経平均最高値38,915円を超える瞬間をそう遠くない将来、皆さまと一緒に見届けられたらいいなと思っています





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