傘というものは人類史上
最も進化していないツールと言えよう。

大きなハスの葉っぱで雨を避けていた原始時代から
今の今まで形状はほぼ一緒である。

折りたためたり、ジャンプしたり、強風に強くなったりと
マイナーチェンジはしているが根本は変わっていない。

手は塞がれ、邪魔で、足元は濡れる。

そこで我が社は、傘をデザインし直しました。

１つ目は、手を全く使わないということ。

ご覧の通り、取っ手の部分がありません。

煩わしいボタンやジャンプ傘のスイッチも廃止しました。

2つ目は、360度全方位の雨から体を守るということ。

全世界の雨のデータを再検証し

あらゆる角度、強さの雨も全て防ぎます。

ズボンの裾やお気に入りの靴も全く濡れないよう設計されています。

そして3つ目、これが最も革新的です。

「傘をさす」から「傘を導く」というスタイル変更です。

これに関しては、言葉では伝わらないかとおもいます。

早速見ていただきましょう。

そう言って、全く新しい傘のデモンストレーションが始まりました。

会場は、その革新的な傘を目の当たりにして響めきました。

割れんばかりの拍手と喝采に包まれました。

しかし、その喝采はすぐに鳴り止みました。

値段を発表した時です。

まだまだ実用化には程遠かったのです。

我々の戦いはこれからだ！と社長はプレゼンを締めくくりました。