見出し画像

2か月で突破”1級ビオトープ管理士の独学術”(後編)

前回は、筆記試験の合格基準と択一試験の勉強方法についての記事でした。
択一試験の正答率が上がれば、次は記述試験の対策です。

記述試験は、記述する文字数がとても多いので、十分な対策が必要です。
2022年度受験の経験をもとに独学術を公開します。



1 記述問題と小論文について

1-1 責任者レベルの記述をする

1級ビオトープ管理士の記述問題は、ぜんぶで4問あり、そのすべてに解答します。全問でA評価かB評価を得られると合格です。

ここでの評価は、A~Dの4段階評価です。具体的には、受験の手引きに次のように書かれています。

  • :論理的で内容も十分な1級として理想的な解答

  • :1級として十分な解答

  • C:1級として不十分な解答

  • D:白紙もしくは致命的な間違いをしていると判断されるもの

記述問題の出題内容と合格基準

1級ビオトープ管理士として十分」と判断される回答ができれば、B以上の評価がもらえます。ちなみに、受験の手引きには、1級は「経験の豊富な事業の責任者のレベル」とあります(下図参照)。

ですから、「事業の責任者のレベル」であることを記述の中で示していければ、B以上の評価をもらえるはずです。

2022年度ビオトープ管理士の手引きより引用(右上参照)


1-2 技術士試験に匹敵する文字数

1級ビオトープ管理士の記述問題と小論文は、その記述量が特徴的です。

記述問題は、全4問出題され1問あたり400字以内です。また、小論文は、800字以内です。
つまり、400×4+800=最大2400字となり、これを2時間半で解答します。

記述と言えば、技術系の難関国家資格である「技術士第2次試験」が有名ですが、こちらは5400字を5時間半で記述します。ビオトープ管理士と比較すると、下表のようになります。

記述量は、技術士試験に匹敵しますね。

記述量の比較

ちなみに、筆記速度は、一般的に30〜40文字/分と言われています。
これをもとに、記述内容の構成を考える時間を逆算できますね。
400文字/問であれば、書くだけで10分かかることが分かります。


2 記述問題の対策

2-1 出題内容には傾向あり

記述問題も3年分の過去問を見てみましょう。
過去問題のダウンロード方法は、前のnote「2か月で突破”1級ビオトープ管理士の独学術”(前編)」に記載していますので、参考にしてください。

さて、過去3年分を並べてみると、出題内容はバラバラですが、種別としては、主に「工事系」「ビオトープ系」「外来種対策」「施策系」が出題されているように見受けられます。

2020~2022年度の記述問題(施工部門)

記述試験では、全4問でB判定以上をとらなければならないので、苦手分野を克服して、まんべんなく合格レベルの記述ができるようにならなければなりません。

「過去問を解き、不足する知識や考え方を補う」この作業を繰返すことで、記述問題への対応力を身に着けていくことが重要です。


2-2 試験で焦らないために

記述問題で問われていることは、「あなたが現場担当者になったとき、どのように対処するか」です。
それは、1級ビオトープ管理士は、「経験豊富な事業の責任者」であり、地域計画のプランナー(計画部門)や現場担当技術者(施工部門)として、様々な状況変化に応じて、「適正な判断」を下していく立場にあるからです。

つまり、試験という限られた時間の中で、「1級ビオトープ管理士」としての資質・能力を文章で表現し、それを採点者に伝えることができれば、良い評価を得ることができます。

そのために必要なことは、2点です。

  • 正しい技術・知識の習得、理解

  • 読みやすい文章構成力

1点目の「正しい技術・知識の習得、理解」のためには、より多くのキーワードを覚え、実践しておくことです。

択一問題でも、問題文や選択肢で登場したキーワードのうち、理解があいまいなものを調べて記憶していく「キーワード学習」をするとよいという話をしました。この学習は、記述試験でも活かすことができます。ただし、問題文に出てくる用語だけでなく、関連する用語を連鎖させていき、俯瞰的に把握・理解していくとよいでしょう。

具体的には、下の図のように、キーワードを連鎖させて、理解の裾野を広げていくことがよいです。例えば、「国内希少動植物」について知識を補いたいとすれば、「種の保存法」から始まり、「国内希少野生動植物」「国際希少野生動植物」・・・代表的な種は何か、何種類あるのか、「レッドリスト」との違いは、作成者はだれか、、、と広げていき、それぞれの用語を理解していきます。

キーワードを連鎖法の例(種の保存法)

多くのキーワードを他との関連性とともに理解しておけば、試験当日に問題文を見たとき、焦らないで解答することができるはずです。


2-3 読みやすい文章づくり

あとは採点者が読みやすい文章作りです。
具体的には、次の3点に注意して書いていきましょう。

  • 主語と述語を明らかにする

  • 一文を短くして接続詞でつなぐ

  • 曖昧な表現を避け、技術者として適切な表現をする


3 小論文の対策

小論文は、3つの設問から1つを選択し、800字以内で記述します。

小論文の過去問題を分析すると、明らかに傾向があることが分かります。3年分を一覧にしたのでご覧ください。

2020~2022年度の小論文

このように、この3年間はほとんど同一の内容で出題されています。
これは、択一問題や記述問題のように知識を問うのではなく、ビオトープ管理士としての考え方や行動を問うものであるためだと考えます。

小論文の対策については、みなさんの答えやすいものを3つから選び、あらかじめ答案を用意しておくとよいです。

1級ビオトープ管理士の筆記試験は、文字数に対して時間が短いです。
事前に出題内容が予測できる小論文については、事前に用意した論文をできる限り短時間で記述し、答案の見直し等に時間を割くべきだと思います。


4 口頭試験に向けて

無事、筆記試験が通れば、口頭試験となります。

口頭試験対策については、こちらのnoteでご案内します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?