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【設定資料】リョセ村の魔物退治依頼 依頼報告書


こちらの小説のオマケです。


(ものすごく急いで書いたのだと分かる筆跡である。誤字脱字や文の構成にも難があり、時々辛辣な文言が見える)


依頼報告書
依頼番号:852-AN-28543
分類:魔物退治
ランクC
進捗:完了・経過要観察→完了



報告記述書(足りない場合は専用の用紙に追加して記述)

 商業都市アルシュの北方に位置するリョセ村からのゴブリン退治依頼だ。
 リョセ村は昔から良質な薬草が採取できることで有名な村であったが、各地域で栽培の技術が向上した結果、リョセ村の薬草にはこれといった価値がなくなった。というよりも、天然の薬草を売り込みアピールする努力を怠った当然の結果である。それどころか、安定して薬草が採取できるということで魔物に定期的に狙われるようになった。魔物との手合わせ目的で傭兵が住んでいた時期もあったそうだが、下級の魔物相手では腕試しもなにもなかったようである。この話はリョセ村のアピールで使われる文章だが、真偽については相当疑わしい。今回、そのリョセ村に毒を■■(※誤字による塗りつぶし)あつかうゴブリンが住み着いたということで今回の依頼に至った。
 このゴブリンは毒を扱うとして村人の大半が床に■■■■■■■(※誤字による塗りつぶし)臥せっており、健康な村民はほぼいなかった。依頼主は村長だが、彼も例外なく毒に蝕まれていたため薬師のニルコ・マイヤーが代わりに依頼をしたと説明があった。村人たちはニルコ氏の薬によってなんとか生きながらえているとニルコ氏本人から自信満々の説明が■■(※誤字による塗りつぶし)あった。
 ゴブリンはいたって普通のよくいるゴブリンであり、退治に関して特に問題はなかった。奥の部屋には鍵のかけられた小箱があったが、中にはただの薬草が入っていた。普通、毒を使うゴブリンとなれば毒を生成するための道具が目立つのだが、この群れに毒を扱っていた形跡はなかった。
 そうなると村人の体調不良はゴブリンが原因ではない可能性が高い。ゴブリンからすれば完全に濡れ衣である。そもそもニルコ自家製の薬、昆虫や植物を混ぜ合わせて作られたそれらに解毒の効果があるのかは怪しい。見た目も酷かった上に、金を受け取ったとしても口にしたくない類のものだ。実際、原材料に毒のある植物が使われている。適切に処理すれば薬として効果を発揮するかもしれないが、正直疑問でしかない。というか絶対薬ではない。かといって彼女がこちらの話を聞き入れてくれるかというとその余地はなく、村人を説得しようにも突然現れた部外者がそんなことを言い出したところで聞き入れてもらえるとは思えなかった。そもそも何をとち狂えばあんなものにすがろうと思えるのか……。実際、その薬を摂取することにより生じる症状のすべてが「毒を排出する」といううたい文句でごまかされており、村人の大半はそれを信じ切っているようであった。
 ゴブリンの退治という目的は■■■■(※誤字による塗りつぶし)達成できたため、ニルコにその旨を説明し、帰還した。しかし一週間たっても毒で苦しむ村人が減らないと苦情が飛んできたため、その件に関しては別途処理する。



文責
ナナシノ魔物退治屋 ノア・ヴィダル


追記
 リョセ村人が苦しんでいた毒は案の定ニルコの薬によるものだった。彼女が村を出てどこに向かったのかは不明だが、今後も似たような事件が発生した時には薬師の存在にも気を配る必要が出てくるだろう。


※普段の報告書



気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)