肩書きを失うということ。

真面目に、ごく普通に生活をしていれば、日本に住んでいて「肩書きのない人間」になるということはまず滅多にないだろう。
まさか自分が、23歳にして肩書きを失うことになるとは思ってもいなかった。

もし、今この場で身分を尋ねられた時、私はなんと答えれば良いのか。そんな問いかけを何度も反芻しながら、沢山のものを捨てて飛行機に乗った。
学校を辞めて、仕事も決まらないまま愛する人の元へ行こうとしている。

他人からの期待を裏切るのなんて簡単だ。ここ数年で私はそれを思い知った。こうなったら徹底的に幸せになるしかないような気がしている。

何者でもない私は、小さな荷物を抱えてはじめての土地に来てしまったのだ。まっさらな私と向き合う時間は、思っていたよりも長く感じる。でも、こうするしかなかったのだと、泣き疲れた私が言っている。

捨てることと、新たに始めること。
肩書きのない私は、きっと今度こそ自分が望んだ人間になれると信じている。

2019.10.07 植物

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