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ヒルダの歌

「ヒルダの歌」

今朝の積雪深は5センチメートルといったところ。しかし、気温が高く、溶けて積もった雪は、水を多く含んで重い。見た目と違って意外に力の要る雪かきを、それでも軽い雪かきを終えて、オフィスで熱いお茶を飲んでいる。

今朝はテレビが映らない。正確には、地上デジタル放送が映らない。雪が降ると、映らなくなることがある。おそらく、空中線、つまりアンテナの周辺になんらかの影響が出るのだろうと思う。

昔は、こんなことはなかった。昔、というのは、地上デジタル放送が始まる前の、地上アナログ放送のことだ。アンテナは同じなので、デジタル放送を受信するところで、雪に弱くなっているのだろうと思われる。

大昔、アマチュア無線をやっていた頃には、SSBの微弱な信号を、ノイズに埋もれそうな声を聴く訓練をした。そのお陰かどうかわからないが、音楽の小さな音を聴くことができるようになっているし、加齢して耳鳴りがする中でも、小さな音を聴き分けることができる。身体もまたアナログだ。

大学時代、信号理論とかの授業中は寝ていたので、全然勉強ができていないので、デジタルとアナログの詳しい説明は、専門の先生にお任せする。

さて、政府が進めるDX。僕などは、「DX」と書かれると「デラックス」と読んでしまうのだけれど、政府のDXは、デジタル・トランスフォーメーション、ということらしい。デジタル化を進めよう、ということのようだ。

「デジタル化を進める」と聴いて、違和感を感じた人は、おっと、「違和感を感じ」ではなく「違和を感じ」が正確かもしれないが、どれくらいいるだろう?。

僕は、「デジタル化を進める」ではなく、「ITを推進する」とかが正解じゃないのか、と思ったりした。というのは、アナログだって立派な情報だし、ITにはアナログの部分が当然に包含されるからだ。「デジタル化」は、経済成長、そして、税収増を目論んでいる、ということは、論を俟たないだろう。

さて、政府のいろんな施策を目にするたびに、グルンワルドのことを思い出す。グルンワルドの妹、ヒルダは、美しい歌を歌って人々を惹きつけ、そして、分断する。

ここでは詳しくは書かないが、高畑勲、パクさんの、「太陽の王子ホルスの大冒険」は、多分に政治的なフィルムだ。

   ヒル ヒル ヒル ヒルルル リリリルル ♪
   高い梢の 細い小枝に 歌うたう小鳥 ♪
   いつもひとり いつもひとり ♪

ヒルダは歌う。そして、ヒルダは言う。

「わたしには ほんとうのうたは うたえないの」

#高畑勲 #太陽の王子ホルスの大冒険


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