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たぶんnoteに初めて書く商業アニメ映画のこととHoudini

日本で最初のテレビアニメ「鉄腕アトム」が放映されたときにリアルタイムで観ていた僕は、幼い頃からアニメの洗礼を受け続けることになったのでした。とはいえ、喜んで観ていたのは、二十歳を過ぎる頃までで、その後は作品を選んでは、ひとつ、またひとつ、と観るようになってゆきました。

大学生のときに、コンピュータで音楽を演奏してアニメーションを作る、と標榜していた僕は、23歳頃に描いたペーパーアニメの中に「Computer Controled Animation and Music」と書いたりもしました。

その後、コンピュータを使って作られたアニメ映画はどんどん進歩して行ったことは、誰もが知るところです。僕が、アニメ映画の中でそんな映像を最初に発見した作品は、たぶん「レンズマン」だっただろうと思います。レンズマンの手の甲にレンズが現れる映像が、コンピュータで作られていました。時期は、TRONが話題になっていた頃じゃなかったかと思います。調べないで書いています。

ところで、「コンピュータを使って作られたアニメ映画」は長いので、ここから先は「3DCGアニメ映画」と書きます。

「アナと雪の女王」は日本で大ヒットしたことは記憶に新しいところですが、僕は、違う作品に注目していました。それは、2015年に公開された「The Little Prince 2015」でした。日本では「星の王子さま」というタイトルで、古くから読まれている文学です。そして何度も映画化されています。しかしながら、お話の深さが半端なく、難解で、おそらく日本ではあまり理解されていないのだろうと思います。

さて、「The Little Prince 2015」は、全編が3DCGで作られています。後発の作品だけあって、そこに投入された技術は最新で、しかも、丁寧に作られています。おそらく、予算も期間も十分だったのだろうと思います。

このテキストのトップに貼り付けた絵は、「The Little Prince 2015」の中の1枚です。これを貼り付けることは著作権法上ちょっとまずいと思いますが。これが3DCGで描かれていると、頭では理解していても、ちょっと何か、別の方法で描かれたのではないか、と思ってしまうくらいの出来だと、僕は感じます。このシーンは、3DCGのストップモーションで撮影されていますが、なんとも言えない素晴らしい仕上がりになっています。

「The Little Prince 2015」の中に、スノードームが登場します。スノードームとは、透明なカプセルの中に、置物と、液体と、星や雪を封入した置物です。カプセルを揺すると、星や雪が舞い上がります。「The Little Prince 2015」の中で、スノードームは、重要なアイテムとして機能します。そして、小道具であるスノードームまでが、丁寧に作られています。スノードームの中の星の砂の動きさえ美しく作られています。

僕は、このスノードームを作ってみようと思って、まずはMODOで作ってみたのですがうまくできませんでした。次いで、Houdiniで作ってみたのですが、こちらはなんとか作ることができました。その顛末はponticleに書いてありますので、よろしければお読みください。作った映像はこちらです。当時はまだApprenticeを使っていましたし、星の回転をコントロールすることができませんでした。

すべてのアニメ映画を観ているわけではありませんが、僕の知る中では、「The Little Prince 2015」は、最高の一本と言えると思います。

「The Little Prince 2015」のほかに「最高の一本」を挙げるとすれば、やはり何と言っても、1937年のディズニーの「白雪姫」ということになります。もちろん3DCGは使われていませんが、無知な僕は僕はこれを超える作品を知りません。

僕は、自分では作れないけれど、3DCGアニメを作ることをいつもイメージしてきました。「The Little Prince 2015」が登場するまでは、どの作品も、僕のイメージには到達していませんでした。しかし、「The Little Prince 2015」は、僕のイメージを超えていました。3DCGアニメ映画はここまできたか、と思った作品でした。「The Little Prince 2015」は、3DCGアニメ映画の、現在の到達点を示すと同時に、おそらく未来においても最高の一本であり続けることだろうと思います。


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