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キリエのうたの余韻から醒めない

2023年10月,11月に観た「キリエのうた」の余韻にいまだに浸っていて、サントラを聴きまくっているのはもちろん、ことあるごとに「この情景はキリエっぽい」などと思いを馳せてしまう。

鑑賞直後の感想はfilmarksで書きましたが、数ヶ月経ったいま、しみじみよかったな〜という点について書いてみようと思います。

※ネタバレ超あり!

登場人物たちが今もその辺にいそうな感覚

私が東京周辺で暮らしているからこそかもしれないが、新宿に行けばキリエが歌っているかもしれない、都内のどこかでイッコとすれ違うかもしれないと感じる。等身大に今を生きる彼らの姿が、スクリーンを飛び出して私の心に住み着いている。

「世界はどこにもないよ だけどいまここを歩くんだ」
"キリエ・憐れみの讃歌"のこの一節を聴くだけで、私は映画の世界といつでも繋がれるのだ。

花ちゃん

ルカの子ども時代を演じた矢山花ちゃんの演技は圧巻だった。
凛としてミステリアスな佇まいの裏で深い哀しみに蓋をしている感じが、めちゃくちゃ心に刺さった。
特に教会で空を見上げて涙を浮かべるあのシーンには涙を誘われた...。あそこで聴こえるゴスペルの歌も良いんだよなぁ

全てを終えたあとの静かなエンディングで流れる「音痴の聖歌」もめちゃくちゃ良い〜〜
「もしも歌えたら、いつか歌えたら」という歌詞が、お姉ちゃんに会えたらという想いとリンクしていて切ない。

...サントラに異邦人も入れてほしかったな

俯瞰

最初と最後の雪のシーン、あれを映画館で観られたのは本当に贅沢だった。
後にこれぞ岩井俊二作品の醍醐味だと知るのだけど、とにかく俯瞰の画が美しい!!
これまで映画を観るときは主にストーリーに着目していたけど、映画って本来「画」を楽しむものなんだ、と概念が変わった。

2人ぼっちで雪の中を歩く高校生時代のルカとイッコ。単なる友情とはなんか違う、2人だけの世界をずっと観ていたくなる。

終盤の海のシーンでも、その俯瞰力には圧倒される。
「感動したことは、なんといってもあなたの歌ですよ」としみじみと呟く広瀬すずの憂いと幸せの混じった表情が、もう!!!
結末を知った状態で再び同じシーンを観ると、さらに心が締め付けられる...

あなたがいれば生きていける、と時が経ってもお互い思えるのが眩しい。

この映画のテーマを一言で表すのは本当に難しいけど、やっぱり「シスターフッド」だと思う。(結構定番かも笑)
それくらい、俯瞰の画は印象的だった。

ブルベ冬大優勝の広瀬すず

もはや語るまでもないが、広瀬すずの美しさには終始魅入ってしまった。その中でも、新宿でキリエに出会った時のスタイリング(水色のウィッグ/白いコート)と最後の雪のシーンでの透明感が半端なすぎてたまげた...
イッコとしての儚さと美しさをこんなにも表現できるのか。
全体的にブルーなトーンの多い映画だったけど、ベストブルー賞をあげるならイッコにあげたい。

家庭教師の夏彦

元々松村北斗目当てで観に行ったのに、そんなこと忘れるぐらい彼は夏彦として映画に溶け込んでいた。

映画としてメインであるキリエとの恋愛シーンよりも、私は家庭教師時代の夏彦とイッコの尊いやりとりをずっと観ていたかった。

かっこよくて少し自信無さげなお兄さんが家に来て!勉強を教えてもらって!!勉強の合間にギターを弾いて!!
何気ない会話にふふっと笑ったり、生意気に軽口を叩いたり、でも最後はしっかり感謝していたり......
恋愛関係ではないけどお互い大切に思っている2人...
理想のシチュエーションすぎる

いや、ずるいて〜〜〜〜

イッコと夏彦のサイドストーリーもっととちょうだいよ〜〜〜〜
ねぇ夏彦〜〜〜〜〜

(ここで筆は止まっている)

読んでくれてありがとー