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父と母と私とエログロコンテンツの話

 デカいタイトルで勝負に出てしまった。今回はお子様時代に禁じられていたものの話をしようと思います。所謂反動形成的な。別にこれからリョナ性癖を語る訳ではないです。そういうのを期待していた方は残念ですがそっとタブ消しでもしてお戻りください。また純粋な方々にはわからない単語が頻出するかと思いますが、どうぞ各自で調べることのないようにお願いします。

父の話

 父はとある田舎にあるとある散髪屋の長男坊だ。父の両親(祖父母)は二人だけで散髪屋を切り盛りしており、父の面倒をみる暇も殆どなかったというくらい、それはそれは忙しかったらしい。
 少年だった父は野山を駆け回り、海を目指してチャリを漕ぎ、その辺になっている実を食べ、それはそれはのびのびと暮らしていた。

 特にこれと言って制約のある家庭ではなかったが、唯一、ゲームだけは禁じられていた。

 時は流れ、父は高校を卒業し、地元を離れ下宿で一人暮らしをしてとある専門学校に通うことになった。アルバイトを始めて自分のお金を手にし、親からの制約から放たれて自由になった父は、それはそれはゲームにのめり込んだらしい。(※幸い生活が崩壊するまでは行ってないし無事卒業して進学して就職して家庭を持ちました)

 ちなみに50歳になった今現在でも、MONSTER HUNTERやWorld of Tanks、World of Warshipsなどのゲームを楽しみ、ゲームをしていない時間は実況動画をよく見ている。(※ちゃんと仕事してます)

母の話

 田舎で(ゲームの件を除いて)のびのびと育った父に対し、母はと言うと都会でガチガチに厳しい家庭で育てられた、所謂箱入り娘系のお嬢様だった。毎日毎日、絵なんて描いてないでお勉強しなさい!アニメはドラえもんとサザエさんと世界名作劇場以外は観ちゃいけません!ドリフなんていけません!チョコレートは食べちゃいけません!と言われて育ってきたらしい。息切れるで。

 流れからもうおわかりかもしれないが、母も例によって反動をキメた。それはそれはもうバチバチにキメた。

 大学に入り、アルバイトを始めて自由に使えるお金を手に入れた母は、やっとのことでチョコレートを買い、食べることができた。

 一晩にして板で6枚。

 流石に鼻血が出た と母は語っていた。

私の話

 時は流れて世紀末2000年、なんやかんやあって出会って結婚した父と母との間にオギャアと私が爆誕した。両親ともに前述のような経験をしてきたことから「強く禁じれば反動となる」ということをよくわかっており、私は(一般的にはどうなのか知らんけど彼らとしては)自由な教育方針で育てられることになった。

 ゲームもお菓子も許された。適切な時間や量を定められてほどほどに与えられたそれらに、私は無事に執着せずに育った。

 ただ一つだけ、一つだけはこの手から遠ざけられたものがあった。エログロコンテンツである。いや多分一般家庭皆遠ざけると思うしどこの親も積極的には近づけたくないと考えるのが自然だと思うんだけれども。

 我が家でドラマを放映したときは緊張感が走る。両親は、ベッドシーンはもちろん、暴力シーンやキスシーンも私に見せたがらなかった。恋愛ドラマ系が居間で流れることはまあ滅多にないし、事故的にそういうシーンが映った場合は別チャンネルに変えられるか、もしくは目元を手で覆われるなどの対処がなされた。

 両親が遠ざける一方で、私はどんどん隠された世界に興味が湧いた。興味しかなかった。

 隠すだけならいいものの(?)ここからがタチが悪かった。父が中途半端にそういったコンテンツを教えてくれたのである。ニコニコ動画の「やらないか」、嘉門達夫の「あったらコワイセレナーデ」、2ちゃんねるのまとめサイトなど、「いや普通それこそ娘に触れさせたくないやろ」というコンテンツを色々教えてくれた(どうして)。また深夜にキッズステーションで放送されていたズイヨーの「ポピーザぱフォーマー」も私の興味を惹いた。あれこそグロコンテンツである。

 キスシーンを見たことがないのに、あんな言葉やそんな言葉を知っている、暴力シーンを見たことがないのに流血シーンを見ている。私は弱冠9歳にして地獄のような飛び級に成功していた。

 そして10歳になった頃、誕生日プレゼントとして我が家に任天堂Wiiがやってきた。つまるところ地獄飛び級少女はインターネットを利用できるようになったのだ。

 母がスーパーへ行き、お留守番になったとき、それはもうパーティ開始の合図だった。ええ、そりゃもう色々見ましたよ。あんな言葉やこんな言葉を検索ボックスにブチ込み、虫眼鏡のマークを押せば、これまで遠ざけられていた情報がこれでもかと映し出された。履歴の消し方もすぐに覚えたし、変なポップアップ広告は無視していいこともすぐに学んだ。親にバレないかというスリルや罪悪感を超越する背徳感も相まって、正直メチャクチャ楽しかった。

 これまでの遅れを取り戻すかのように、乾ききっていた喉を潤すかのように、暇さえあればエログロコンテンツを取り込む癖がついてしまった。いや普通はこうもならないと思うから素質があったのかもしれんけど。
 自分のスマホを手に入れてからは、就寝前に布団の中でこっそりポッカキットやグロッティマンデーなどのグロコンテンツまとめサイトを回るのが習慣になっていた。これはつい最近の、大学1年の冬頃までこの癖は続いた。今思えばかなり病的である。まあほんまよう犯罪行為に走りませんでしたわ。

 現在大学3年生になったが、そういったコンテンツを全く見ていないかというと、全くではない。ちょっとだけ耐性と興味が強めなだけの、普通の人になった(と、私は思っとる)。オチも締める言葉も特にはないが、もし自分に子供ができたとしても絶対こういう子になってほしくないので、「元気ならええや」くらいのマインドで育てたいと思う。

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