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秋のソロ・ピクニック

 9月になった。仕事がはちゃめちゃに忙しくなり、頭痛に悩まされる日々が始まった。仕事は嫌いではないのに、一生懸命働いていると心も身体もくたくたになってゆく。長風呂をしたり、youtubeや小説で気分転換をしてみたり、ぐっすり寝てみてもなかなかHPが全快しない感覚がある。
 ふと気がつくと、職場に体調不良の同僚が増えている。いかん、みんな9月病なんじゃなじゃないか?知らず知らずのうちに、暑すぎた夏のしっぺ返しをくらってしまっているのかもしれない。くたくたの心に潤いを戻してあげないといけない。

 そう思って、平日休みにピクニックをすることにした。少しでも身体を動かしたり、心にいい刺激を受ける必要があると考えたのだ。ちょっとお散歩をしたり、緑に囲まれた公園で読書をするのもいいかもしれない。

 朝起きたら、たまりにたまった家事を急いで片付けて、お弁当を作った。お弁当の定番は唐揚げとたまご焼きと決まっている。でも唐揚げは後片付けも大変なのでテリヤキチキンにした。ちゃんと前日から下味をつけておいた。あとは蒸し野菜のサラダと、ロールパンにウィンナーを挟んだサンドイッチを作った。
 そして大好物のアイスコーヒーの用意。きちんと豆を挽いて、ドリップして、お気に入りの水筒に入れたら準備ばっちり。リュックにさらにレジャーシートとiPadminiをつっこんで出発した。まだ朝の10時。

 公園に着いたら、人は誰もいなかった。
 休日だと家族連れも多い、地元の人気の公園なのだが、さすが平日休み。遠くに芝刈り機の音を聞きながら、大きな木の木陰にレジャーシートを敷いた。iPadを取り出し、ダウンロードしておいた小説の新刊を読む。人も誰もいないので、iphoneで音楽を流した。ザ・ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』。大学生の時に「ラブアンドマーシー」という映画を観てから、読書のたびにちょくちょく聴いている。
 1時間ぐらい読書をして、お弁当を食べた。たまご焼きが甘くて、コーヒーが苦くて、最高だった。旦那が実家から持ってきたアンパンマンのレジャーシートを、たまにアリが横切っていく。芝刈り機の音が遠くで聞こえてくる。新刊はすぐに読み終わり、コーヒーも飲み干した。12時ごろだった。

 面白いことも何も起こらなかったけど、のんびりとした時間を過ごせた。その後、日差しが強くなる前に公園を離れて、シャワーを浴びて、四肢を広げて昼寝をした。普段時計ばかり気にして、慌ただしく、真剣に生きているからこそこういう時間が輝く気がする。昼寝をしたら、鳥の鳴き声と芝刈り機が心地よく聴こえる夢をみた。毎日晴れてほしいと思った。

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