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モノマネ上手な外国人

介護を教わる時、当然色々な情報を収集しながら仕事を覚えていきます。

私が新人の頃よく言われたのが「メモを取れ」

メモを取ることは今でも大切なことだと思います。あくまで仕事を見につける手段であり、方法は他にもありますが・・・

介護業界で仕事をするにあたって、苦労を感じることの一つに新人教育があります。教え方も色々ありますが、教わる側のタイプも色々あります。考え方の違いから、教育がスムーズにいかないことも多くあります。

最近では世代が違うとジェネレーションギャップが壁となり、新人教育が円滑にいかないということもあります。

このような新人教育の苦労は介護業界に関わらず、多くの業界に存在するでしょう。

中でも介護業界、特に介護現場で多いと感じるのはリスペクトがない、ディスリスペクトによる教育の崩壊です。

私は以前営業会社に勤めていたことがありますが、例えば営業の世界では〇億円売り上げた人車を○百台売った人、スポーツの世界では過去の成績など、その人を代弁する肩書き、数値が存在します。そのため、教えてくれる上司がたとえ少し性格が悪かったとしても、結果を出している人間であれば、その結果をリスペクトし、どのようにしてその結果を出したのかを学ぼうとします。

介護現場においてはそのような結果を持ったスタッフはほとんどいません。もちろん、数値など、目に見える結果がないだけで、人間的に尊敬できる介護人はたくさんいます。しかし、そのような優れた人間性のようなものは、時間をかけて付き合っていくことで感じることができます。

教わっている中で、少し自分と考え方が違うと感じたり、性格的に好きになれないと感じた瞬間からリスペクトはなくなっていき、教育の環境は失われていきます。これは教える側にも同様のことが起きます。考えが違うと思った瞬間に教えるモチベーションが下がってしまうことが多くあります。

教育が始まった瞬間から、その人を代弁する結果がないため、一度おかしなフィルターを通してその人を見てしまったら、もう止まらなくなることが多いのです。全てにおいて説得力がなくなります。

営業において、売り上げることゴールとすれば、介護現場においてのゴールご利用者様に満足して頂くことになります。売り上げを出すために各営業マンは色々な考え、手法を使います。そして結果が出た時、師弟は喜びを共有します。

介護現場において、ご利用者様に満足して頂くために、それぞれの考え方を認め合い、リスペクトするべきであるはずのものが、ディスリスペクトになってしまっているのです。

結果が見えやすいようで見えにくい世界での教育は常に工夫が試されています。

その中で外国人に介護を教えていると気づかさられることがあります。

外国人によって日本語能力の差はありますが、介護の専門用語が混じってくると、その場でリアルタイムに理解することは困難になってきます。理解できないことは質問したり、アルファベットに変換してメモをとったりいく通りの術がありますが、何より情報源となるのが視覚からの情報です。

言葉や意味が理解出来なくても、目の前で起きている光景は何よりも確かな情報となります。そのため、まずは、見様見真似で真似しようとします。その仕事の意味を理解するのが遅くなったとしても、業務の流れや動きを覚えるのは割と早いことが多いです。

教えるのがどんな人間であっても、それをあまり気にせず、仕事を身につけるために、まずは目で多くのこと盗もうとします。ある程度時間が経つと、リスペクトを無くし、教わることをやめてしまった人の一歩先を行かれていることに気づきます。最初に抱えていたハンデは解消されていきます。

私は、とは言っても利用者は日本人。日本の習慣や文化を知らない外国人には到底不利だと最近まで考えていました。

しかし、最初は知らないだけで、勉強し知ることでそのハンデも解消されていきます。その勉強はご利用者様から受けます。積極的に聞くことで仕事の中で勉強もしているのです。高齢者には昔話をすることが好きな人もたくさんいます。「体調はどうですか?」「ご飯は食べれていますか?」など体の容体ばかり聞かれる退屈な日々より、知りたいと熱心に話しかけてくれる人に話をする方が活気が出ます。その瞬間がコミュニケーションとなり、お互いの信頼関係が構築されていきます。

専門学校や研修で勉強したことが全てだと思い、現場で勉強することを止めてしまっている人もいます。学校や研修で学んだ知識は大切なものですが、それを現場で活かし、さらに勉強し続けることが何より重要なのです。

教科書は現場にもたくさん落ちています。

現場で勉強し続ける人間は遅かれ速やかれ成長し続けます。

ウサギはいつかどこかでカメに追い抜かれます。

私はウサギになってしまうことに危機感を感じます。

ハンデは努力次第では強みに変えることもできます。

私の会社では最近になって、外国人の現場リーダーも誕生するようになりました。

お互いにリスペクトの心を忘れず、成長し続けることが大切であり、全ての人に対しておもてなしする精神が今後の介護を支える鍵になると信じています。