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おかずクエストとアウトプット学習[Footwork & Network vol.26]

9月と10月はかなり目まぐるしい月でした。4週連続で静岡県焼津市に片道3時間半の鈍行列車で通っていたのです。なんでそんなことをしていたのか。そんな誰もが思うだろう疑問を紐解くために、全国各地でさまざまな活動をしている土肥潤也さんと、私が考えたビジネスプランである「おかずクエスト」を紹介します。 


土肥さんと商店街クエスト

まず土肥潤也さんは、静岡県焼津市の駅前商店街で行われた大学生11人が参加したサマープログラムである「商店街クエスト」の主催者で、普段は焼津の駅前商店街を拠点に全国各地、さまざまな場所で活動しています。焼津市の駅前商店街にある一箱本棚オーナー制度のシェア型本棚「みんなの図書館さんかく」の発起人でもあり、子どもや若者の声を届けるファシリテーターや、活動を支援しています。やっていることがすごく多くて一言では説明できない、まさにパラレルキャリアを体現している方です。

そして、「おかずクエスト」は上記したサマープログラムの「商店街クエスト」の中で私が思いついたビジネスプランで、10/8に焼津の駅前商店街で行われた「アソビバ」と言うイベントで実際に開催しました。限定50食で白米だけが入った弁当箱と食券を¥1,000で販売し、お客さんは商店街の中にある飲食店6店舗から好きなお店を選んで、直接歩いておかずをゲットしにいくというものです。直接飲食店におかずをもらいにいくことで、お店の雰囲気を知ることができます。そうすることで商店街のイベントに来た方が商店街を深く知ってもらうきっかけになり、商店街を日常的に使ってほしいと言う思いを込めて企画・実行しました。


実際参加者に配ったフライヤー

なんで始めた?おかずクエスト

ではそもそもなぜおかずクエストをやることになったのかを話していきたいと思います。私が所属している長岡ゼミでは、越境活動を通してアウトプット型の実践的な学びに取り組んでいます。大学3年生の春学期から私はゼミに参加し越境活動を始めたのですが、最初は反省が多い半年でした。初めてだったのもありやり方がわからなったので、ゼミの先輩の活動について行き、そこで話を聞いて知識を入れるインプット型の活動になっていたのです。しかしそれでは実践的な学びは得られない、もっと自ら主体的に取り組めるアウトプット型の何か人に役立つような活動がしたいという春学期の反省をいかそうと、商店街クエストに参加し、「おかずクエスト」を実行することになりました。

たくさん助けてくれた街の人たち

しかしアイデアを実行するのはたくさんの準備が必要でした。おかずクエストで言うと、そもそもどこのお店が協賛店としておかずを提供してくれるか、私は食品を自分で販売できないので一緒になってお米を販売してくれるのは誰か、食中毒になった参加者がいた時の保険は誰かなどといった事前準備を本番の日である10/8のアソビバの日までの1カ月の間で全てやり切らないといけなかったのです。そんなこんなで4週連続焼津に通うことになりました。

最初の1週目はおかずを提供してくれる協賛店を1件ずつ探しました。実際にお店のものを食べ、お会計の時にお店の人に「少しお話しさせてもらえませんか」と言う思い切った飛び込み営業スタイルで、おかずクエストの趣旨を説明するも「あまりイメージが湧かない」や「これ他のお店も協力しているの?」と言われて参加の返事を先延ばしにされることも多かったです。

だから私1人の力だけでは全然進まなかったので、2週目から街の人の力をたくさん借りながらこのプロジェクトを進めていきました。その中でも特に土肥さんは商店街内のネットワークを活かし、お米を販売してくれるお店の紹介や、当日販売する食券を事前販売することの提案、さらにはおかずクエストのSNSでの拡散などさまざまなところで、私のプロジェクトを進める上で力をくれました。中でも何より嬉しくて力になったのが、街のひとと私を繋げてくれたことです。私が夜ご飯を1人で食べようとしていると、「焼津に来てくれたから」と言って、街の人も誘ってみんなでご飯に誘ってくれたことが何度もありました。それがきっかけで顔を知ってもらえたことが多々あります。

 3週目にもなると私も段々と街の人と顔見知りになることができて、話せる人も増えてきました。そうすると最初はプロジェクトを進めるために通っていた焼津の商店街が、だんだんと「街のみんなに会いたーい!」というワクワクした気持ちで毎週焼津に行くようになりました。商店街とそこにいる人がつくる居心地の良さが好きになっていったのです。実際に私が週末に焼津に準備をしに来ると、「みきほおかえりー!」と声をかけてくれる人がいたり、家がある神奈川に戻る時は「また来週〜」と言ってくれる街の方がいて、そのような声かけや人とのつながりがあったので、プロジェクトをやるという目的を超えた焼津への気持ちが芽生えたのかなと思っています。また協賛店も少しずつ企画に賛同してくれて最終的には6店舗が協力してくれることになりました。6店舗中5店舗が商店街の近くにあるお店で、かつチェーン店ではなく個人経営のお店です。

4週目、さらにはおかずクエストの1週間前の週である10/2−3には商店街の道端の一角で本番で使う食券や看板製作をしていたのですが、いろんなところで焼津の町の人に手伝ってもらった記憶があります。看板の廃材や使わない釘をいただいたり、食券に使える紙を無料でもらえたり、その食券の切り取り線を作ってくれる人がいたり、、、。


さらに土肥さんに提案してもらい、おかずクエストの食券の事前販売を「みんなの図書館さんかく」で行ったのですが、購入してくれるだけでなく「面白い人がいる!」とS N Sでシェアしてくれた町の人もいて、そこからさらに別の人も来て、さらには事前販売で「はじめまして」の人も食券を買いに来てくれました。その結果事前販売の目標である20食分のチケットを売り切ることができました。

そして当日の10/8のアソビバでおかずクエストを開催し、無事50食を売り切ることができたのでした。土肥さんをはじめとする多くの方の協力のおかげでできた達成できたプロジェクトだなと思っています。私としても、春学期のインプット型の越境活動ではなく、アイデアをアウトプットでき、充実感を覚えていました。


実際のおかずクエストのお弁当

おかずクエストはアウトプット?

しかし最近になって、おかずクエスト自体が本当にアウトプット型の活動だったのかなと、、、。むしろその後の活動の方がアウトプットだったのではないかと最近思っています。

と言うのも、プロジェクトを終えた後も定期的に焼津を訪ねる機会が増えました。例えば、他の長岡ゼミのメンバーを誘って他のクエストのメンバーのプロジェクトに参加しました。

そしてゼミ生を連れてきた時や、私が焼津に行くときは必ずお世話になった協賛のお店に行きました。

そしてもう一つ。これは焼津ではないのですが、家のある神奈川に帰ってもチェーンのスーパーではなく例えば野菜は八百屋で買ったり、いつも飲んでいるコーヒーの豆も大手チェーンのお豆から、駅前にある小さな個人経営のコーヒースタンドのお豆を買うようになりました。


なんでこれらをやっていたかというと、それはおかずクエストを通して、商店街のお店やそこにいる人たちに感謝の気持ちが芽生えたからです。おかずクエストを通して、土肥さんをはじめ個人店や町の人に応援してもらえたから、次は私が応援する番だと思い、上記した活動をやってきました。あの商店街の雰囲気が普段の神奈川での暮らしに影響したのも、おかずクエストの時に商店街の個人経営のお店にたくさん協力してもらえたから、お店は違えど今度は私が恩返しする番だと思い購買行動に変化が起きました。また個人経営のお店から成り立っていて、お店の人もそれを利用する町の人との心地よい距離感があるあの商店街雰囲気が良くて、衰退するのではなくこれからの時代にもあってほしいと思うから値段は少し高くても個人経営のお店で買うようになりました。

今回の活動における私なりのアウトプット

つまり今回のおかずクエストにおける1番のアウトプットは「アイデアを形にする」と言うよりも、その準備の過程で起こった焼津の人たちの活動の応援に対して、街に恩返しがしたい、そして町の心地よさを守りたいという、プロジェクトを超えた私なりの感謝の気持ちからくる行動や価値観の変化が1番のアウトプットで、小さいけど誰かの役に立つことなのではないかと思います。


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