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息子のためのお話が、世界的キャラクターに!「きかんしゃトーマス」の原点は、実は絵本って知っていましたか?~「汽車のえほん」日本刊行50周年🎊~

「きかんしゃトーマス」と言えば、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?

ジオラマで繰り広げられる人形劇のトーマスでしょうか?
それとも3DCGアニメーションのトーマスでしょうか?
はたまた、最新の2Dアニメーションのトーマスでしょうか?

さまざまな形で世代を超えて愛され続けるトーマスですが、その原点が、実は「汽車のえほん」という絵本だったということは、あまり知られていないかもしれません。

「汽車のえほん」シリーズ

ですが、実は今年2023年は、日本に「汽車のえほん」シリーズがやってきてから50周年の、アニバーサリーイヤーなのです!
この機会に、「汽車のえほん」の魅力をぜひみなさまに知っていただきたい! と思い、これから数回に分けて、トーマスの担当編集が「汽車のえほん」をご紹介させていただきます。

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1巻第1話 試し読み

とにかくまずは、読んでいただくのが一番ということで、第1巻『3だいの機関車』の1話目「エドワードのたのしい1日」を特別に公開! アニメでトーマスに親しんでこられた方には、絵のタッチや細やかさの違いを新鮮にお楽しみいただけると思います。

(C) Gullane (Thomas) Limited 2020

「汽車のえほん」は、病床の息子のために語ったお話から始まった

「汽車のえほん」とそこから広がるきかんしゃトーマスの世界は、作者のウィルバート・オードリーが、息子クリストファー・オードリーに聞かせた即興のお話から始まりました。

ウィルバート・オードリーは病床に伏せる当時2歳の息子に、蒸気機関車のお話を、挿絵を描きながら聞かせました。病気が完治したあとも物語はつくり続けられ、やがて絵本として出版されました。

第1巻”The Three Railway Engines”が1945年にイギリスで出版され、以降シリーズは1972年に出版された第26巻”Tramway Engine”まで続きました。

原書1巻書影。
1945年初版刊行。この書影は1948年重版時のもの。

先ほどの「エドワードのたのしい1日」に、トーマスが出てこない! と驚かれた方もいるかもしれませんが、トーマスは1巻目には登場せず、第2巻” Thomas The Tank Engine”にて初登場します!
ちなみに、「トーマス」という名前は、ウィルバート・オードリーが贈った手作りの木製の機関車のおもちゃに、息子のクリストファー・オードリーが「トーマス」と名付けたことが由来になっています。

共感をよぶキャラクターで、日本でも大人気に!

日本では、1973年に第1巻の翻訳版『3だいの機関車』をポプラ社より刊行して、以降26巻までの日本語訳を刊行しました。その後、幾度かデザインや判型のリニューアルをしながら、今日までみなさんに「汽車のえほん」シリーズをお届けしています。

挿絵は原書のまま刊行。
1~11巻はレジナルド・ダルビーによる挿絵
12~17巻はジョン・ケニーによる挿絵
18~26巻はガンバー・エドワーズ、ピーター・エドワーズ夫妻による挿絵

「汽車のえほん」は、人形劇やアニメ同様自然豊かなソドー島を舞台に、トーマスをはじめ、ゴードン、ジェームス、パーシー、ディーゼルなどの、おなじみの機関車たちも含めた様々な機関車たちが日々仕事をしている様を描いています。人形劇やアニメのエピソードには、「汽車のえほん」のお話がもとになっているものもありますので、見比べてみるのも楽しいかもしれません。

雪の中脱線するヘンリー(第6巻『みどりの機関車ヘンリー』)

はりきって仕事をしたり、気分がのらなかったり、いじわるをしてみたり、いばってみたり、失敗してはしかられたり、協力したり、ほめられると嬉しかったり、ほめられて調子にのってまた失敗したり……。

タールをかぶるジェームス(第7巻『機関車トビーのかつやく』)

 あまりに人間味あふれる機関車たちの姿に、思わず誰もが共感してしまう部分があるのではないでしょうか。また、機関車たちは失敗して局長や機関士に叱られたり、お客さんにおこられたりすることも多々ありますが、「汽車のえほん」の世界には、それら全てを包み込むような大らかな空気が感じられます。

それはソドー島の、牧歌的な風景のおかげもあるかもしれません。そのリアリティと寛容さが、「汽車のえほん」の魅力のひとつでもあります。

家につっこむトーマス(第16巻『機関車トーマスのしっぱい』)

作者の鉄道愛がうみだした作品のリアリティ!

また、リアルという点では、実際にあった出来事をモデルにしているお話があることも「汽車のえほん」の特徴です。

ウィルバート・オードリーは、家の庭に鉄道模型があったり、家の近くに線路やトンネルがあったりと、幼いころに鉄道が身近な存在だったこともあってか、大変な鉄道愛好家でした。

1950年代以降、不採算路線の見直しなどにより廃線が決定した鉄道を保存鉄道として残す活動にも積極的に参加し、実際の保存鉄道をモデルにした鉄道や機関車をお話にも登場させました。そして挿絵の細部にまでリアリティを求めました。

第10巻『4だいの小さな機関車』に登場するスカーロイ鉄道は、タリスリン鉄道という保存鉄道がモデル
第18巻『がんばりやの機関車』に登場するブルーベル鉄道とステップニーは実在する鉄道と機関車

鉄道に詳しく、愛のあるウィルバート・オードリーだからこそ、機関車を擬人化したキャラクターの物語ではなく、機関車が機関車として働きながら生きる物語を描くことができたのだと思います。

息子が紡いだ続きのお話…未翻訳の27巻目を刊行!

「汽車のえほん」の魅力を少しでもお伝えすることができたでしょうか? 「汽車のえほん」のことをご存じなかった方にも、ぜひこの機会に読んでいただけたら嬉しいです。

そして、「汽車のえほん」を読んだことがある方にも、ビッグニュースがあります!

なんと、この度日本での刊行50周年を記念して、日本未翻訳となっていた「汽車のえほん」27巻の” Really Useful Engines”を刊行しました!
日本語タイトルは『ほんとうにやくにたつ機関車』。訳は金原瑞人さんです。

(C) Gullane (Thomas) Limited 2023
クライヴ・スポングによる挿絵

実は、ウィルバート・オードリーによって「汽車のえほん」シリーズが第26巻まで書かれた後、息子のクリストファー・オードリーによって第27巻~第42巻まで続きが書かれたのです。
かつて、父が自らに聞かせたことから始まった物語のバトンを受け取って、息子のクリストファー・オードリーが書いた27巻はどんなお話なのか……ぜひ読んでみていただきたいと思います。

さらにさらに、50周年を記念して、この度第1巻から最新27巻までのスペシャルボックスセットも作成いたしました!

スペシャルボックスボックスには27巻分の本がきれいに収まるので、ボックスのまま飾っていただくのもおすすめです。各巻の表紙イラストと名場面を印刷したスペシャルカードも27枚分ついてきます。クリスマスプレゼントやご入学祝にもおすすめです。

1巻から通して読むことで、それぞれのエピソードのつながりや、作風の変化を楽しむことができ、新しいトーマスたちの一面に出会っていただけると思います。ぜひ、お手にとっていただき、トーマスの世界にどっぷり浸ってみてください!

日本での刊行50周年を機に、改めて「汽車のえほん」の魅力をみなさまにお伝えしたいと思っており、まだまだnote記事も公開予定です
現在、担当編集者が実際にイギリスに行き、「汽車のえほん」ゆかりの地を巡った様子をお伝えする記事を準備中です。ぜひ楽しみにお待ちください!

★ご紹介した主な絵本


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