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弱い人間

【ネガティブ注意】

私は、嘘をつくのが癖だ。
知らないものや人の名前も、「なんか聞いたことあるかも!」と言い、
大抵のことは「それな」に何か一言つけ足して分かった振りをする。

私は、断れない性格だ。
人から頼まれると、とりあえず「いいよ」と言い、
友達からの提案にも二つ返事で乗ってしまう。

私は、すぐ人に合わせてしまう。
違うかも、と思ったことにも賛同してしまう。
多数派に寄ってしまう。

私は、いつも笑っている。
バイトでミスをして怒られた後も、
人から悪口を言われた時も、
いつも笑っている。

今まで、そうやって生きてきた。

相手が自分と気持ちよく会話できることだけを考えて、
ずっとニコニコして相手がどう出るか待つ。
肯定と賛同さえしていれば相手が傷つくことはまずないから、
常に「いいね!」の姿勢をとって相手のことを持ち上げる。
みんなが喋るのをやめたタイミングで、
私が適当なことを言えばまた他の人が会話を始める。

なんとなく合わせていれば損はしないと思っていたのに。
そういう「キャラクター」で生きてきたのに。
そういう自分でいいや、って思ってたのに。

気が付いたら、自分がこなさないといけない仕事が増えすぎていた。
気が付いたら、広く浅い交友関係しか築けなくなっていた。
気が付いたら、損をするようになっていた。

「何を考えているのか分からない」と言われて、
考えていることを言ったら言ったで理解してもらえなくて、
そのせいで恋人にも振られて、
自分の本当の気持ちが言えなくなって、
ますます噓をついて、人に合わせて、ヘラヘラ笑って、我慢して。

気が付いたら、「キャラクター」を卒業できなくなっていた。

嫌なことは嫌と言って、
悪口を言われたら反論して、
私はこれがいい!と言って、
いつも心からの笑顔を浮かべる。
たったそれだけのことが、私にとっては難しくなっていた。

私という人間は弱い。
水の中を漂う泡のように、不安定で、いつ消えるのか分からない。

そんな自分が私は大嫌いだ。

それでも私はきっと明日も、今までと同じように、
他の人が傷つかないような生き方をしてしまうんだろう。
こんな今日早く終われ、と思いながら。
いつかどこかで、何にも縛られないで生きている自分を夢見ながら。

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