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着飾って、気飾る

今日は何を着よう?
白のTシャツに青のキャミワンピース?
それともロゴTシャツにデニムパンツ?
夏だし足を出すのも可愛いかも。
鏡の前でメイク。
友達からもらったアイシャドウ、細かいラメが上品でお気に入り。
オレンジ味のあるピンクのリップを塗ると、思わず笑みがこぼれてしまう。
ヘアアイロンを温めている間に、今日の髪型を考えないと。
三つ編みとお団子ヘア、どっちがいいかなぁ。
ポニーテールも捨て難い。どうしよう〜。

そんなことを考える時間がたまらなく大好きだ。

高校生までは、ファッションもメイクも日常生活にさほど関わりのないものだった。
自分の顔に何か塗られるのがとても嫌で、メイクが大嫌いだった。
祖母がファッション大好きな人で、服屋さんに行って似合うものやそれなりに可愛い服を選んでもらっていたが、それらを着るのはなんとなく恥ずかしかった。それ以外は雑誌を読む程度で、小中高とスポーツをやっていたこともあり、休みの日は基本ジャージで過ごしていた。高校時代は特に、髪の毛も男の子みたいに短くしていた(その髪型も大好きで気に入っていたけど)。周りから見たら、ファッションに無頓着な女の子だったと思う。

本格的にファッションに目覚め始めたのは高校生からだった。
高校が服装に関する校則が緩く、指定のブレザー以外は自由に自分で揃える学校だった(私服で行っても何の問題もなかった)ので、スカートを短くしたり、ワイシャツの色を変えたり、ネクタイやリボンも好きなようにして行っていた。夏は長袖シャツを2、3回まくって着て、冬場はスウェットやパーカーを着て行くのが好きだった。寒い日でもタイツを履いて、膝上丈のスカートを履いていたのが懐かしい。
3年生になって部活を引退してからは、それまで耳が見えるくらい短くしていた髪の毛を伸ばし始めた。癖っ毛ですぐ外にはねてしまうのが嫌だったので、親に頼んで縮毛矯正もかけてもらった。そこから髪型も意識するようになって、前髪を死守することの大変さを身をもって味わった。

一方でメイクに関してはさっぱりで、興味が起きるまでだいぶ時間がかかった。パッケージが可愛くて買ったコスメも、眺めるだけで使うことはなく、テーブルの上で寂しそうにしていた。
そんな時、おしゃれが好きな幼馴染に自分のコスメを渡し、メイクをしてもらったのだ。自分の顔が変わっていくのを見て、「気持ち悪い」「なんか変」といったネガティブな感情ではなく、ただシンプルに「可愛い」と思えた瞬間だった。そこからはコスメを集めるのが楽しくなり、休みの日はYouTubeやSNSを見ながらメイクの練習をしていた。

大学に入ってから、私はそれまで以上にファッションやメイクが大好きな女の子になった。自分のセンスに自信はないけれど、SNSで流行りの着こなしや色の組み合わせ方を勉強したり、放課後や休みの日にはウィンドウショッピングを楽しむのが趣味になっている。
メイクは今もまだまだ分からないことだらけで、自分に合う色もよく分かっていないが、友達が「はとめに似合う色かなと思って選んだよ」と言って誕生日にプレゼントしてくれたコスメを大切に使っている。
最近はイエベ・ブルベや、骨格に合った色、服の形を選ぶ人も増えているが、私はあまり詳しくないので、それらにこだわらずに好きなものを選んでいる。決してそのように服を選ぶ人たちを否定している訳ではないことは理解していただきたい。自分を輝かせることのできる色や服を知っているというのはとても素敵なことだと思う。私がただ自分ウケを重視しているというだけだ。
好きなようにおしゃれをして家を出る直前、いつも鏡で自分の姿をもう一度確認する。その度に「今日の自分かわいい!!」と思ってから外出するのが日課だ。たまにセンスが空回りして「なんか変じゃね???」と思うこともあるが、基本は自分のテンションを上げてから家を出る。

漫画やアニメでよく言われる、「おしゃれは最高の魔法」とは本当のことなのかもしれない。自分に自信のない私だが、自分のしたい格好ができるとテンションが上がって、楽しい気持ち
になったり、1日頑張ろうという気持ちになる。
自分自身を着飾ることで、内面も着飾ったような気になれる。
だから私は今日も、好きな服を着て家を出る。

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