憧れのロンドンブーツ、ドクターマーチンと出会う。
2023年12月にロンドンへ旅し、結果、すっかりロンドン病にかかってしまった。
そんな私と、ロンドンブーツとの出会いについて。
帰国後、勢いでロンドンブーツを購入する。
ぶっちゃけ、やっぱ向こうの人って、カッコ良く見えるんすよね…。
しかもロンドンは、奇抜な人は意外と少なく、皆オーソドックスにおしゃれ。
その中で、ロンドンブーツ、
特に、黄色いステッチが目印のドクターマーチンを履いてる人を、ちらほら見かけた。
思ってしまったのだ。
「ドクターマーチンでロンドンを歩いてみたい」と。
燻っていたロンドンブーツへの憧れが、形となった瞬間だった。
そして帰国後、早速、渋谷のドクターマーチンへ出かけたのであった。
憧れのドクターマーチン、8ホール。
僕が買ったのは、JADONという少し厚底の8ホールブーツだ。
厚底が欲しかったわけではなく、
内側にあるジッパーが、脱ぐ時にラクだから。そんな理由で深く考えず購入に至った。
いきなり旅行に履いていき、痛い目をみる。
さもありなん、な展開だ。
ドクターマーチン達人は、頭を抱えることだろう。
1月、米沢に1泊2日で旅行に行くことになり、「雪国だしブーツは大活躍だな」と勇んで新品を履いていった。
旅行の途中からは、
靴擦れとの死闘だった。
帰宅したら、見事に両かかとが血みどろだった。
ドクターマーチンの「殺傷力」とは?
ご存じない方のために、「ドクターマーチン 靴擦れ」のgoogle予測変換を見ていただこう。
購入者の阿鼻叫喚が、そのまま検索候補となっている。
実に様々な部位で靴擦れを起こす、強面のブランド。それがドクターマーチン。
これには幾つか理由がある。
ドクターマーチンのサイズ揃え:このブランド、0.5cm単位がないのだ。普段25.5cmがジャストの僕には、25cmは小さすぎ、26cmしか選択肢がなかった。
ドクターマーチンの革:このブランド、ともかく革が厚く硬い。特に新品は。『新品は絶対に靴擦れする』と、言われているとかいないとか。
あまりの殺傷力に、検索すると
『ハンマーで叩け』
『ドライヤーを当てろ』
『マーチンと一緒に風呂に入れ』
と、達人たちのアドバイスが出てくる。
もちろん巫山戯てなんかいない。大真面目だ。
そして、ドクターマーチンとの戦いがはじまった。
週末ごとに、文字通り血を流しながら、
僕の戦いは2ヶ月ほど続いた。
この記事は、痛みに苦しむマーチン初心者を減らせれば、と思い綴った戦いの記録だ。あくまで個人的な経験と考察なので悪しからず。
なお先述の『ハンマー』『ドライヤー』『風呂』は僕は試していない。
が、この暴れ馬を乗りこなす為なら、最後には試していただろう。
①M.MOWBRAY「デリケートクリーム」【効果:〇】
まずは手元にあったこの定番商品をトライ。
革製品を持っている方なら、このデリケートクリームは持っていて損はない。色々なアイテムに使える。
かかと部分に塗っていく。ポイントは内側。擦れるのは内側の革だ。内外ダブルで塗っていく。
塗り込み、その上で革を揉むというルーチンを隔週で3〜4回繰り返した。
塗っていない部位と比較すれば、革は間違いなく柔らかくなった。
ただし、それで靴擦れが収まるかといったら、そんな兆しは一向に見えない。
強敵の予感がした。
②厚手の靴下【効果:◎】
続いて、これも定番の対策。厚手の靴下の登場だ。
僕は登山をするので、山登り用の靴下があった。
結論から言うと、効果うんぬんというレベルでなく必需品だ。
ただし、これで靴擦れがなくなるわけじゃなかった。
戦いに必要な、最低限の装備というだけだ。
③100均のインソール【効果:△】
ブーツのサイズが微妙に合っておらず、どうも踵が上下に動いてしまう。
そこでインソールを入れてみることにした。まずは100均でお試し。
結論から言うと、かかとの動きは小さくなったが、インソール入れたため全体的にキツい。
結果、かかとへの圧迫も増し、靴擦れ発生(泣)。
他にも幾つか試したが、程度の差こそあれ同様だった。人によっては効果があるかもしれない。
僕は、インソールという武器を捨てた。
④絆創膏/キズパワーパッド【効果:×】
幾つか試したが、どれもじきに剥がれる。
無力。の一言に尽きる。
⑤ワセリン【効果:△】
そろそろ、面倒な手順に突入していく。
ワセリンをかかとに塗って(厚手の靴下履いて)ブーツを履く、のだ。
これは効果あったと思う。
ただしこれでも、僕のマーチンに宿った靴擦れ神は静まらなかった。
結果、今はたくさん歩く時にお守り代わりに塗ることにしている。
⑥靴擦れ防止パッド【効果:×】
かかとに両面テープで付けるパッド。
これは効果あるんじゃないか?と、密かに期待していた本命だ。
何個か試してみたものの、
足を入れる段階でズレる。脱ぐときに外れる。と、8ホールのブーツでは、総じて効果よりストレスが勝るアイテムであった。無理。
さよなら大本命。
そろそろ、気持ちが折れてくる。
この時点で、
『あれ、ブーツって、ここまでしなければ履けないモノだったか…』と、
もっともな疑問が脳裏をよぎる。
『ドクターマーチン、俺には縁がなかったのかも』
『オイルレザーの柔らかいブーツでいいじゃないか』
『…メルカリ行きかなぁ』
『週末ごとに痛い思いして、いい大人がずーっと靴擦れ。ヘコむ』
雑念が次々と湧きあがり、僕をドクターマーチンから遠ざけようとする。
これはもう最後の手段、『マーチンとお風呂』も辞さぬ時がきた。
そう思っていた時、救世主は現れた。
⑦ハーフインソール【効果:◎】
これは、効いた。
かかとの位置を強制的に上げることで、内革が当たる面積が減り、さらに上下への動きも抑えられる。
かかとで苦しんでいるドクターマーチン戦士たちは、是非試してみてほしい。特に厚底戦士にお薦めする。
ちなみに100均にも類似商品があるが、柔らかすぎてダメだった。
これは程よく硬さがあり、かかとをしっかり受け止めてくれる。
光が見えてきた。
⑧自作ハーフインソール【効果:◎】
かなり良い感触を得たのだが、まだ、左足のみに靴擦れが発生する。
僕は右足のほうが大きく、そっちはジャストフィット。左足だけ、最後のピースが欠けている状態だった。
そしてそのピースは、もはや既製品では埋まらなかった。
上記の100均インソール、かかと以外をばっさりカットし、先のハーフインソールと2枚重ねしたのだ。
100均だからできる思い切った自作。
そして、これが、最後のピースを埋めることになる。
そして、ついに。
戦いはおわり、素敵なブーツ生活が始まる。
やっと、やっと。
あの強面のドクターマーチンが、僕に微笑みかけてくれた。
春と共に長い戦いが終わり、気兼ねなくロンドンブーツを履ける日々が訪れたのだ。さぁ履くぞ。
(夏は暑くて履けなさそうなので)
戦いを経て、今、感じていること。
「やっぱり、好きなものを身に着けるって、しあわせ」だということ。
似合うか似合わないかは、二の次だ。
そしてそのために、どれだけ執着できるか。
ドクターマーチン、これだけ障害が立ちふさがった靴だからこそ、僕は大事に履き続けるだろう。
好きなものを買い、身に着けるのは、決して簡単じゃない。
…なぜ、こんなことを、書いてしまったのか。
書き上げた今、改めて、自らそう思っている。
100パー勢いでしかない。
靴でこんなに苦しんだのは生まれて初めてだったので、
同じ痛みを抱えた後進たちの目に留まる確率が、少しでもあるならば。とマニアックな記事を書いてしまった。
特に、僕が買った厚底の8ホールは、ドクターマーチンの中でも強敵に類するらしい。
苦しんでいるドクターマーチン戦士たち、
諦めないでくれ!メリカらないでくれ!
諦めなかったから、ドクターマーチンを履いてロンドンを歩く夢に、僕は一歩、近づけたのだから。
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