けして美しくはない成功。ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』

さっき映画「エルヴィス」の記事を出したきっかけは、日生劇場で上演中のミュージカル「ジャージー・ボーイズ」を観たからだ。

恥ずかしながら、劇中でイントロが流れてから「Can't Take My Eyes Off You」が主役のフランキー・ヴァリの曲だと知った。
幼少期からカバー版で知っていた曲が登場したことに驚いたし、ミュージカルにもなっている人物がご存命なことも新鮮だった。なかなか日本では(大河ドラマ、あるいは朝ドラでしか)作れないと思っている。

実在のグループ「フォー・シーズンズ」の4人それぞれが語り、それぞれの物語が縺れ、混ざり、絡まる。
始まりから到底「美しい」とは言えない。借金、苦労、痴情のもつれ、ありとあらゆるトラブルを盛り込んだような展開が続く。正直アウトロー側の物語をあまり好んで見ていないので引き気味で観ていた。

それでも彼らの音楽には華があり、人を魅了し続けた。裏側がどんなに汚れていようと、どんなに荒んでいようと、音楽と向き合い続けた。
その在り方に「エルヴィス」の映画と同じものを感じた。華々しい時代を彩るスター、果たして本当にそうなのか?ファンが求め、音楽の才能に愛されていても、愛した人が去ってゆく。

どちらかを観た方はもう一方もぜひ観てみていただきたい。
時代は少し異なるが、トップスターの光と影が描かれている。


フランキー・ヴァリを演じるWキャストの中川晃教さんは、まさに「音楽に愛されている」人だと個人的に思っている。音楽?音?彼から生まれる歌はあまりにも素晴らしい。中音域から高音までを自由自在に歌い上げ、圧倒し、一瞬で惹きつけられる。
2022年6月に上演されていたミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』では音楽の悪魔「アムドゥスキアス」を演じられていたが、まさに「人ならざる歌」を聴かせていただいた。

まだチームBLACKのみ鑑賞し、これからチームGREENも予定している。
チームごとの違いが楽しみだ。

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