プロレスラーへの道③
〜初めての練習inメキシコ〜
メキシコに到着して数日が経ち、初めて練習に参加することになった。
メキシコシティの隣にナウカルパンという街があり、そこにIWRGというプロレス団体がある。
今回参加するのは、そのIWRGのプロ選手のみが参加出来る合同練習だ。
その為、前回の記事で紹介したお金を払って参加するタイプとはやや趣きが異なる。
もちろん技術の向上目的もあるが、その練習に参加する事で選手は自分の技術やモチベーションをアピールする。
そこで認められると、大会に試合を組んでもらいやすくなるのだ。
私はまだデビューしていなかったが、行動を共にする他団体のAと、もう一人共に渡墨していたBがIWRGデビューを果たしていた為、練習に参加させてもらえる事になったのだ。
キャパシティが二千人規模のIWRG常設会場、アレナ・ナウカルパンが練習会場だ。
アレナとはARENAと書く。
つまりは英語で言うアリーナのこと。
寝泊まりしていた日本人宿から、地下鉄とバスを乗り継いで約一時間かけてアレナ・ナウカルパンに向かう。
練習時間より少し早めに会場に着くと、掃除のおじちゃんしかいない。
メキシコ時間というのは本当らしい。
柔軟などをしながら待つと、少しずつ他の選手が集まってきて数十人になる。
スペイン語は1〜4までしか覚えずにやってきたが、一人一人に挨拶をしていると、自己紹介くらいは出来るようになってくる。
やはり言語も道具なのだ。
使わなければ上手くはならない。
遅れてやってきたこの日のコーチは、ユニバーサルプロレスにも来日経験のあるランボーという選手で、IWRGのリーダー的な存在らしい。
いよいよ練習が始まる。
まずは会場内をランニング。
普段は客席となっている会場のひな壇を上がったり下がったりを延々と繰り返すのだが、かなり急なので怖さがまず先にやってくる。
しかし気が付けばそんな事は気にならないくらい汗だくになり、息が上がる。
到着してまだ身体を動かしていなかったので忘れかけていたが、メキシコシティは標高2300mに近い。
隣町であるナウカルパンもほぼ同じ。
富士山で言う五合目に当たる。
空気の薄さをこれでもかと痛感した頃に、やっとランニングが終了する。
次はいよいよリングでの練習に取り掛かるようだ。
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