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OLも小学生も通うメキシコのプロレス道場

〜日本とメキシコの違い〜

日本とメキシコのプロレスは、ファイトスタイルもさることながら、競技への入り口がそもそも違う。
日本では、相撲の風習から身一つで飛び込み、内弟子の様な形でキャリアをスタートさせる印象が強いが、メキシコにおいては全く別だ。
(最近では日本でも色々なスタイルが増えているが。)

メキシコには、日本で言う空手やボクシングの様な感じで街に道場があるのだ。
ウェイトマシンが置いてあるトレーニングジムにはリングが併設されている事も多い。
そういったジムのリングでは曜日と時間によって分けられて、他の競技と並んでプロレスを教えてもらうことが出来る。

〜BULL'S GYM〜

私が通っていた道場の一つは、『BULL'S GYM』というジムにあり、建物の二階がウェイトトレーニングエリア、三階が更衣室、四階にリングが置いてあった。
月・水・金の朝8時半から約二〜三時間30ペソ(約300円)を払えば誰でもプロレスを習う事ができる。
その為、タイトルの通りにOLや小学生くらいの少年も、フィットネスや習い事感覚で通う事が出来たのだ。
(彼らが午前の仕事や学校をどうしていたかは知らない。)
練習内容はもちろん分かれているが、アレナメヒコに出場する様な一流ルチャドールと一緒にアップをしたり運動している事もあり、日本ではまず見られない光景だった。
だからこそ十代前半でデビューを果たす選手も数多く、プロレス=ルチャリブレがとても生活に身近なものとして存在するのだろう。

入り口の階段横には、"ルチャリブレ、ウェイトトレーニング、キックボクシング、エアロビ…"
と書かれている


ボクシングの練習も行う為、
一般的なプロレスのリングよりも固く作られている


〜ヴィールス先生〜

コーチは現役選手、もしくは元プロレスラーが務めている為、自分が習いたいスタイルやレベルに合わせて道場を選ぶ事が出来る。
この道場は現役選手であるヴィールスが務めており、参加者に合わせて内容をアレンジしてくれて、希望者にはとてもハイレベルな事まで指導してくれるので、とても人気があった。
ヴィールス先生はメキシコ人には珍しく、一度も時間に遅れた事がなかった。
道場での練習前にウェイトトレーニングをしていて、いつも私がジムに着く時間帯には毎回同じトレーニングをしている位しっかりしたルーティンを持っていた。

ちなみに彼は今、ここの指導の評判もあってか現役選手としてアレナメヒコで行われるトッププロ選手向けの合同練習のコーチを務めているそうだ。

リングの横には、CMLLジャパンや大阪プロレスに
来日した際の写真が飾ってあった。

〜現在〜

この場所が懐かしくなって検索してみると、残念ながらジムは無くなっている。
だが、四階のリングは残っていて、新日本プロレスにも来日経験のあるバリエンテという選手の主宰する試合会場兼プロレス道場となっている様だ。

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