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マーベル新展開突入? 『エターナルズ』感想

MCU(マーベルシネマティックユニバース)の最新作、『エターナルズ』を観てきました。

156分という長尺、まったくの新ヒーローが複数登場、ヒーローもののイメージからは離れた『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督作品、イメージビジュアルや予告編から感じる今までのMCUとは一線を画した神秘的な雰囲気などなど、正直見る前には期待もあるが少し不安もあるという気持ちでした(言うてMCUだし大丈夫だろうとは思っていましたが)。


まず簡単に、観終わった感想ですが、面白かった!

上記の若干の不安は何のその、長尺を感じさせない面白さでした。確かにMCUの中では少し浮いた作風にはなっているかもしれませんが、シリーズ共通のコミカルさもあるキャッチーなキャラクターやエンターテイメント性が強いアクション映画として楽しめる一作であることは間違いないです。

前評判通り、シリーズの中では難解な要素が多く、頭の中で整理しないと付いていけないところもあったので、キャラや設定を整理しながら感想を書いていこうと思います(半分くらい自分のためのメモです。すみません)。

ここからはネタバレ注意。


エターナルズとは

エターナルズというMCUでは新規のヒーローチームが描かれました。

彼らは7000年以上前にセレスティアルズというコズミック・ビーイング(宇宙的存在)の一人、アリシェムの使いとして地球を訪れ、人々を襲う怪物ディヴィアンツから人類を守っていました。人知を超える能力を持っているため、人類からは神様のように思われていることもありましたが、必要以上に人類に干渉するのはルールとしてNG。人類をディヴィアンツからは守りますが、技術の提供や人類同士の戦争への介入は最低限で、あくまで自発的な進化を見守ることが彼らの役目。そんなエターナルズも、すべてのディヴィアンツを対峙したということで、一時解散。それぞれの形で人間の社会に紛れて何百年か暮らしていました。

しかし、人類に寄り添うように生きていた彼らは、実は人類を滅ぼす存在でもありました。地球のように多くの生命を生み出すセレスティアルズそのものの誕生には、ある程度育った生命をエネルギーにする必要がありました。セレスティアルズが生命の種をまき、それを育てて成長したらまたそれをエネルギーに新たなセレスティアルズを生み出すという循環が数万年のサイクルで行われていたのでしょう。エターナルズが地球という地に産み出した人類を守り、育てていたのも、セレスティアルズの新たな誕生の餌とするため。彼らはその役割のために産み出されたロボットのような存在でした。

ディヴィアンツも元々は生命の種を発展させる土壌を整えるためにその星の最大の捕食者をあらかじめ滅ぼしておくための存在だったようですが(冒頭の博物館での授業のシーンでも伏線がありましたね)、人類そのものにとっても脅威となってしまうバグがあり、ディヴィアンツから人類を守るエターナルズという構図ができたようですね。ちょっと違いますが、マクロスシリーズで人類の始祖であるプロトカルチャーがいて、戦争のためにゼントラーディを生み出し、さらに戦いで失われた文化を残すために人類を生み出したという設定を思い出しました。

人類の人口が十分に増えて新たなセレスティアルズであるティアマットの覚醒のためのリソースは十分に整ったようですが、ここで想定外のサノスの指パッチンが発生して生命が半分消失したため、セレスティアルズの誕生は先延ばしに。しかし、アベンジャーズの活躍で生命の数が戻り、再び十分な数が揃ったためにティアマットの覚醒条件が整い、地球の人類が滅亡の危機が迫るという皮肉な展開に。MCUのインフィニティサーガを物語のきっかけにしているのは、上手いシナリオですね。

そこで、初めて自分たちの本当の使命を知ったエターナルズが、これまで寄り添い続け、愛情も芽生えてきた人類の滅亡を阻止するために、それぞれの思いを抱えながら自分たちの使命に抗うというのが、今回の映画のメインストーリーです。


エターナルズのメンバー

10人のメインキャラが登場したので、彼らの能力と役割を整理していきながら、作品を振り返ってみます。


セルシ

本作の主人公的なポジションの彼女。エターナルズの中でも特に人間に親しみを持っており、人間社会に混じりながら生活している女性です。DCのワンダーウーマンことダイアナのように博物館の学芸員として働いていましたね。長寿のキャラは博物館で働きがち?

メンバーの中では、我々人間からすると一番平凡というか、共感しやすい価値観を持っており、そのためかエイジャックから後任のリーダーに選ばれます。イカリスとはかつて恋人関係でもあり、それが最後の戦いをドラマチックにした布石にもなっていました。

能力は、触れた物質を別の物に変えられる力。すごい能力ではあるのですが、他のメンバーからすると戦闘力も高くないし、洗脳や幻覚ほど便利にも使えないしと地味な印象でしたが、最後にセレスティアルの覚醒を阻止する切り札にもなりました。こういう展開熱くて大好きですね。

ラストでは、地球に残ることを選択し、人間の恋人デインと仲を深めそうになりましたが、セレスティアル覚醒の阻止をアリシェムに追及され、捕縛されてしまいました。その先は次回作で描かれるのでしょうか?


イカリス

エターナルズの中でも強力な戦闘力を持つ一人で、戦いの中では中心的な役割を果たす男性。高潔で正義感も強く、ヒーロー味が強いキャラクターです。だからこそ、終盤の展開は以外でもあり、納得もできました。セルシの元恋人でもあり、彼女を守ることも自らの使命の一つとしていました。

実は前リーダーであるエイジャックを殺したのは彼であり、終盤ではエターナルズの使命であるセレスティアルの覚醒を阻止しようと動く仲間たちを裏切り、立ちはだかりました。決して悪人ではなく、彼としてはエターナルズの本来の役割を果たそうとしただけというのが憎みきれない。

能力は空を飛び、目からビームを放つ力。スーパーマンっぽいなーと思ってたら、劇中でも子供に言われていましたね。アルフレッドの件といい、MCUの世界にもDCコミックスあるんだ…。

最後は、自分のしたことを悔やみ、自ら太陽に飛び込んで落命します。『イカロスの翼』は作中でスプライトが彼をモデルにした作り話だと語られますが、皮肉にもその物語をなぞったような最期を迎えました。


スプライト

エターナルズの中でも一番幼い見た目で、十代の少女の外見をしています。セルシと行動を共にしており、生意気で皮肉屋な性格。

何千年経とうとも成長することも老いることもないというエターナルズの悲哀を最も表したキャラクターであり、少女の姿のままの自分を呪い、イカリスと恋仲で人間らしい生活もできているセルシに密かに嫉妬のような感情を抱いてもいました。そのため、憧れの存在であったイカリスの裏切りに味方をすることになりました。

能力は、ロキのような変身と幻術。その力を使って創造した物語を人間に語るということもしており、前述した『イカロスの翼』も彼女の作だったということが語られました。エターナルズがこうして人間の歴史に密かに影響を与えてきたというのは面白い設定でしたね。

最後はセレスティアルの力の残りをセルシに分けてもらい、成長して老いる人間の身体を手に入れました。まあ、続編やるなら子役は都合悪い設定よなあと思っていたので、上手い解決方法ではあると納得しましたが、野暮なことは置いといて、念願の人間らしい人生を満喫して欲しいです。


エイジャック

エターナルズの初代リーダーで、唯一セレスティアルのアリシェムと交信する力を持っていた女性。エターナルズの本来の使命を元から知っていましたが、彼女も人類を守るためにセレスティアルの覚醒を阻止するために動こうとしたところイカリスによって殺されます。絶滅したディヴィアンツの復活に対応するために仲間を再集結しようとしたセルシとイカリスが、彼女を発見したところから物語は大きく動きます。

能力は、治癒の力。ディヴィアンツのリーダー、クロは彼女からこの力を奪ったことで自己再生能力を得ました。


キンゴ

インド映画ボリウッドのスタートして有名俳優としての人生を送っている男性。まさかMCUでインド映画ダンスが見られるとは。陽気でチームのムードメーカー的な存在です。付き人カルーン(今回の普通の人枠)と共にエターナルズに合流し、この映画の中でもコメディリリーフとして中盤以降の展開にコミカルな要素を担っていました。吹き替えの杉田さんもピッタリですね。

イカリスの裏切りに対し、彼はエターナルズとしては間違っていないから、自分は何もできないとチームを離脱。最終決戦で良いところで加勢してくれるのかな…と思いきや、出てきませんでしたね。いいキャラしてたのに残念。

能力は、手から光線のようなものを発射する力。戦闘中もカルーンに撮れ高を気にするところは面白かったですね。

最後は地球に残る組になっていたようですが、セルシと共に捕縛されてしまっていました。次回作での活躍に期待。


ギルガメッシュ

韓国映画ではお馴染み、みんな大好きマ・ドンソク氏が演じる、心優しい力持ちのおじさん。エターナルズがバビロニアを守っている回想シーンがあったので、ギルガメシュ叙事詩のモデルとなったのが彼でしょう。エプロン姿で登場したり、赤ちゃん姿にされたりと、やはりこの人は可愛いおじさん扱いなんだ…。セナを守りながらディヴィアンツ相手に奮闘するも、命を落としてしまいます。

能力は、拳に光のアタッチメントのようなものを付けて強化する力。拳で戦うのが似合うおじさん。ギルガメッシュの名を持つだけあり、エターナルズの中でも特に強靭な戦士として描かれていました。


セナ

大物女優アンジェリーナ・ジョリー氏が演じる、超武闘派の女性。クールであまり心を開きませんが、人生のパートナー的な存在であるギルガメッシュだけには穏やかな表情を見せます。どうやら記憶に何らかのバグを抱えており、時折仲間に対して刃を向ける危うさがあり。目の前でギルガメッシュが身を挺して守ってくれたこともあり、その障害も解消し、終盤は頼もしい戦力としてカッコいいバトルを魅せました。

能力は、剣や盾などの武具を思い通りに出現させる力。人類にとっては、女神アテナのモデルとなった人物のようです。

最後は、ドルイグ、マッカリとともに、宇宙へ他のエターナルズの仲間を探す旅?に出ます。続編があったら再出演してくれると嬉しいですね。


ドルイグ

エターナルズの他のメンバーとは離れてアマゾンの奥地で暮らす青年。長年身内同士の戦いをやめない人間に心が疲れ果て、積極的には介入しないというエターナルズの決まりを破り、自らのマインドコントロールに置いた人間たちと共に人里離れた地に引きこもっています。人間たちを自分の支配下に置くというのは傲慢にも見えますが、争いを好まない彼の歪んだ優しさなの結果なのがやるせない。

最後の戦いでは、覚醒するセレスティアルを能力で眠らせるキーとなるポジションでしたが、イカリスに阻止されます。一度退場しますが、セルシを邪魔するスプライトを拳骨で止めました。

能力は、前述しましたがマインドコントロール。その気になれば全人類も操れるらしい?かなり強力な能力です。


ファストス

エターナルズの発明家ポジション。解散後は家庭を持ち、パートナーと息子と共に暮らしています。ちなみにMCU映画では初めてゲイとして描かれたヒーローキャラらしいです。IKEAの秋の新作テーブルの壊される不憫な人。

能力は、想像したものを発明できる力。その発明は人類を発展させるのに影響を与えてきました。蒸気機関を発明したけど人類にはまだ早くね?って言われているシーンもありましたね。そんな彼だからこそ、自分の技術力が結果的に原爆を開発させ、多くの人々の命を奪ってしまったことに絶望。エターナルズとしての苦悩を描いていました。

最後は地球に残り、これまでのように家族と共に生きることを選びましたが、彼もセルシと共に捕縛されてしまっていました。幸せな生活を取り戻してほしい。


マッカリ

聴覚障害者で手話で話す女性。能力の高速移動を活かし、地球の調査を担当。解散後はエターナルズの母船で退屈を持て余していました。ドルイグとは特に深い関係性のよう。

能力は、クイックシルバーのような高速移動能力。戦闘でもヒット&アウェイ戦法でイカリスにも善戦していました。聴覚を失いながらも、代わりに他の感覚が鋭敏というデアデビルのような力も描写されていましたね。

個人的にエターナルズでの推しキャラです。


MCUにおけるエターナルズという映画

さて、このエターナルズという作品は、シリーズにとってどんな存在になったのでしょうか。

インフィニティサーガが完結し、その後のフェーズ4の映画としては3作目。『ブラック・ウィドウ』は過去の補完エピソード的な映画だったため、新ヒーロー、新展開の映画としては前作『シャン・チー』に続く形になります。『シャン・チー』では、ドクターストレンジのキャラクターのウォンが登場し、新生アベンジャーズへ勧誘するとこで終わりましたね。バナー博士やキャロルとの絡みもありました。これまでのアベンジャーズから地続きで、かつ新展開への布石を感じさせる映画でした。

今回の『エターナルズ』では、既存キャラクターは一切登場せず、(後述しますが)次作へのクリフハンガーでも、これまでのMCUとはほぼ関わりのない要素が示されました。とはいえ、まったくMCUとのつながりが描かれなかったのではもちろんなく、サノスの指パッチンが物語上重要な出来事として語られていました。他にも、ドクターストレンジの名前だけ登場したりしましたね。また、過去作を見ると『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に登場したピーター・クイルの父エゴも、セレスティアルズでした。

今後、何かしらでアベンジャーズ既存メンバーとは絡めることにはなると思いますが、世界観と設定的にはもう一作くらい単独作を作って物語を深めるくらいがいい気がしますね。インフィニティサーガにおける『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのような存在になるのではないかと思います。いち映画のメンバーとしては結構な大所帯なので、合流時にはこれまで以上に人数がすごいことになりそうですが。予定されているファンタスティック・フォーや、うわさされているX-MENなんかも加わってくると、総人数がとんでもないことになりそう。

また、フェーズ4以降でサノスのような大ボスになるヴィランがまだ決まっていませんが、セレスティアルズなんかも候補になるのでしょうか? すでに『ロキ』で存在が示唆された「征服者カーン」という有力候補や、セレスティアルズと同じコズミック・ビーイング(宇宙的存在)でファンタスティック・フォー絡みの「ギャラクタス」なんかもずっと予想の候補に上がっていますが。どうなるか楽しみです。


今後への布石は?

MCUではお馴染みとなったエンドクレジット間と後のクリフハンガーコーナー。

まず一つ目は、母船で宇宙に旅立ったセナ、ドルイグ、マッカリの元に、サノスの弟を名乗る謎の男、エロス/スターフォックスが登場。知らないキャラなので調べてみましたが、コミックではアベンジャーズにも所属したことがあるキャラクターのようですね。どうやらセルシたちがアリシェムに捕らわれたことを知らせにきた模様。エターナルズの次作があるとしたら、彼とセナたち三人がセルシを救うところからスタートになるかもですね。もちろん、サノスにかかわりのある人物ということは、今後アベンジャーズと絡む際のキーパーソンになるかも。

そして、もう一つ。セルシが去った後でしょうか。彼女の人間の恋人であるデイン・ウィットマンが、謎の歴史ありそうな剣を手にするシーン。謎が多い描写でですが、コミックで彼はブラックナイトというヒーローとなるそうです。ブラックナイトは先祖代々受け継ぐタイプのヒーローらしいので、彼が言いかけていた複雑な家系云々という言葉が関係ありそう。どうやら予定されている『ブレイド』に関連あるとかないとか。彼も次回作でヒーローとして登場するのでしょうか。いろいろ情報が渋滞して来たぞ。



長くなりましたが、こんなところで。
次はドラマ『ホークアイ』、そしてMCUではないですがこちらも展開が楽しみな映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が来ますね。楽しみ。

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