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自分たちの暮らす土地の自然や環境

宮崎県という場所に移り住んで約20年。
そんな土地でアウトドアの店を営むようになって6年目。
最近"店の案内人をお願いするならこの人"という、信頼をおいている方と、地域の自然や環境について話す機会が増えました。

案内人と僕は宮崎県に暮らしていますが、兵庫生まれと福岡生まれというお互いに移住者の関係で、そんな2人が「最近の宮崎県の山や山間部の環境変化について"どうにかせねば"」と話しているのが、時折おかしくなりますが、お互いに20年前後という期間を宮崎県の中で山を歩いて楽しみ、自然や環境の変化というのを見て感じるのだなと思います。

観光資源としての自然

良い・悪いは別として、僕が暮らす宮崎県では自然という資源は大切な観光資源のひとつでもあると感じています。
"観光登山"という言葉があるように、多くの方にとって山に登ってSNSで見た風景を見ることは、パンフレットを見て目的地に出かける観光と非常に似ています。

そして宮崎に住んでいる多くの方は「くじゅうに行こう」「阿蘇に行こう」と近くの観光地を目指し、宮崎県外からお越しくださる方の多くは「宮崎は良い山がたくさんだ」と語ってくださって、観光を楽しむように山を歩いて楽しむ方の多さや、時に不思議さを仕事柄よく実感します。

観光地や人混みを避けて自然の中に遊びに行きたい僕や案内人と、観光で山を歩く方とは"楽しむポイント"というのが異なるというのもありますが、人口が減少していく一方な宮崎県を見ると"観光で訪れてくださる方"というのは、本当に大切だと感じます。

観光者に不親切な宮崎県

自分が暮らす場所を「不親切」と表現するのも気持ち良いものではありませんが、遠方から宮崎県の自然に出かけた方の多くが「宮崎県は観光者に不親切だ」という話をしてくださいます。
例えばよく聞く(または感じる)ポイントとして、以下のようなことがあります。

  • 観光スポットとして行政でも紹介しているのに、普通車でアクセスできない悪路

  • 観光スポットとして紹介しているのに、登山口にも道中にもトイレがない

  • 登山口などに行くにも看板が無さすぎてアクセス時の不安がひどい

  • 観光案内所などに聞いても、詳しいことを知っている人が居ない

  • 観光スポットであるはずなのに、駐車場がわからない、または存在していない

そんなことを聞くたびに、宮崎に暮らす身としてガッカリするのですが、それで観光目的に訪れた人が、再訪問しないという結果になってしまえば、山間部も賑やかにならず、地域の方々も喜ぶという結果には繋がりません。

結果として良い資源があっても人が誘致できない。という結果になっていく訳です。
さらには自然や道の手入れも行き届かず、山や道が荒れ、魅力自体が薄れていってしまうなんて事にも繋がりそうな場所も存在し、まるで荒廃した観光地を眺めるような気分で森を歩くこともあります。

仕事にも言えることですが"良いものがあっても、それを売るように考えねば売れません"、それどころか"良いか悪いか知らないけど"というものを売ろうとしているところもあったり…

他人事

ある移住者の方が、こんなことを言っていたのをふと思い出します。
その方は自然や環境の変化を思い浮かべながら
「なぜ、こんなに自分たちが暮らす土地なのに、多くの人は他人事でいられるのか」と語ってくださいました。

少し考えてみると"観光を楽しみたい人"から見れば、地域の自然云々よりも人気で楽しみやすい観光地に行きたい訳で、極論を言えば"ディズニーランドに行きたい人"に、地域の自然を大切にしようと伝えても「それは伝わらないよな」と感じることがあります。

僕の店では"日頃暮らす土地の中での楽しみを満喫しよう"というのがコンセプトのひとつですが、ディズニーランドに行きたい人に「宮崎の自然も良いんだよ」と説いても伝わらなくて当然です。

むしろ最近では遠方から来た方々が「宮崎で何をして楽しめるんだろう」と探すのに、うちの情報をチェックいただいていることが多く、とてもありがたい反面、時折誰のために、何をしているんだろうと見失うことも…

「なぜ他人事でいられるのか?」とそんな言葉を聞いた時に思うことは「単に面白くないから」の場合が多く存在します。
受動的に流れてくるコンテンツを見ていて、何となく楽しいことをやりたいだけなのに、わざわざ難しく面倒な課題なんて取り組んでいられません。

それが良いか悪いかではなく「だったらどうしようか」と考えて働かねばならないのが僕らの仕事だろうと考えて試行錯誤する訳でございます。

当事者

地域の自然や環境の話。
堅苦しい話を調べたり伝えたりするのは、ほとんどの方の耳に届かず、レスポンスがある訳でもないため、めちゃくちゃストレスフルで、そんなことを店で伝えていこうというのはスタッフにも申し訳ない気になることがあります。

それでも僕はニホンカモシカという動物が「九州ではほぼ絶滅確定だろう」と研究されている方から伺った時には非常にショックを受け、人が見向きもしなくなった荒れた山道を歩くと寂しい気持ちにもなります。

そしてもっと若い方々が、地域の大切な資源を有効的に活用しながらチャンスを作れるような地域であって欲しいなと思い、ここに居てもダメだと外に出ることよりも、ここで夢を叶えたいという土地であって欲しいなと願っています。

「誰かがやらねばなら率先してやろう」と常々思いつつ、試行錯誤の日々を送る訳でありますが
それは何より、いつか働くスタッフや関係してくださる方々が、自分たちの努力で良くなったと誇りに感じていただきたいなと、そんな夢を見るのであります。

ダメだこりゃ
と時折頭をよぎりますが、そんな考えを捨てるようになったのは、人を雇っているからだなと最近よく思います。

まだまだ地域に根ざした仕事とは言えませんが、精進が必要な毎日です。

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