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忘れ去られた「フライ系投手」

はじめに

フライボール革命が起きる前のMLBではゴロ系、フライ系という言葉がよく用いられていましが、革命が起きたことやスタットキャストにより打球速度に注目がいくようになり、フライ系という言葉はほぼ絶滅に近くなっています。そこで今回はかつてフライ系と呼ばれていた選手がどのように打者を打ち取っているのかを検証します。

上がりすぎた打球への着目

フライボール革命によってとにかく打球を上げるべきという事が昨今強調されていますが、当然のことながらただ打球が上がれば良いという訳ではありません。Barrel (打率5割、長打率1.500を超える打球速度と角度の組み合わせ)に対する公式の説明を見るとLaunch Angleが8度から50度の間でしかBarrelにはなりません。

ここで50度以上の打球がどのような結果になりやすいのかを見ていくと打球結果は次のようになりました。

70 %がファール、残りの29 %はフライアウトと打球角度50度以上はほぼヒットにならないと言えるでしょう。そこで自分はいわゆるフライボール投手はこの角度に打たせることによってストライクカウントをファールにさせ、ひいてはフライボールで打者を打ち取っているのではないかと考え、2023年現在10先発以上した投手を対象に被打球のうち打球角度50度以上の打球を占める割合を計算しました。上位12人は以下の通りです。

多分読者の方が想像する選手と大きな乖離がなかったのではないかと思います。念のため規定の選手のFB %と相関関係があるか確かめるために折れ線グラフでも表してみました

横軸がFB %、縦軸が50°以上の割合

中位では誤差が大きいもののの、50°以上のいわゆる「質の高いフライ」を打たせてとる傾向の高い投手は、全体的な傾向としてもフライになる確率の高い投手だと言えるでしょう。このようにフライ系投手は質の高いフライを打たせることによって試合を進めていることがわかります。

ジョーライアンの例


ここで12位にランクインしたジョー・ライアンのstatsを見ます。打球速度もBarrelも平均よりも指標上は低いのになぜかX系がstatsは悪くないのは三振を取れているだけでなく、「高すぎる打球」を量産していることとも関係あると考えられます。

おわりに

このようなフライボールを打たせる投手にどのような傾向があるのかまで本noteで調べようと思いましたが、自分の調査力不足もありここまでにします。しかし①ホップする速球の使い手②ストライクスロワー③先発4、5番手に多く一発病を発症しがち、という傾向はあるのではないかと自分の主観ですが感じました。一発病の発症傾向は以下の記事を読んで感じました。読んでいただけると幸いです。

フライボール革命以降確かにフライ系投手は陰を潜めていますが、確かに存在はし、再建、コンテンド問わずこれらの選手は重宝されてることは確かです。贔屓の投手陣にそんな選手がいないか探してみるのも面白いかもしれません。

余談

前々回書いた藤浪のnoteで藤浪のBarrel %が平均より低いことに触れましたが、調べたところ藤浪も被打球の19 %は50°以上の打球と上記のランキングと比較しても高水準でした。これが被Barrelの少ない要因ではあると思います。



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