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Ex-iTというバンドを知らないなりに知った話

以前の記事で話題にした「GB 1996年11月号」。ちょっとした試聴ができるシングルCDが付録でついており、その中でも当時特に印象に残ったのが「Ex-iT」というバンドでした。

ただこのバンド、ビックリするくらいネットに情報がないんですよ。
解散後の各々の情報はちょいちょい見かけるんですが、Ex-iTそれ自体の情報は全然。代わりにヒットするのが海外の同名グループと同名お笑いコンビの方。特にお笑いコンビの方はあまりにヒットするんで途中から嫌いになってきました。とんだとばっちりでしょうが。

なので、ここから先に示すバンド情報の出処は、ほとんどvkgyとWikipediaになります。vkgyはビジュアル系バンドやそのメンバーの動向をまとめたデータベースですが、そもそもビジュアル系なのでしょうか…。

Ex-iTとは

Vo.眞井秀幸、Gt.市川吉之、Bs.渋谷郁央、Dr.古道圭一からなるバンドで、1993年結成、1995年メジャーデビュー後、3枚のシングルと1枚のミニアルバムをリリース後、1997年に解散…とのこと。

後に渋谷氏が語った(らしい)ところによると、当時はスケジュールがなかなか埋まらず、それでも事務所から給料が出るので副業が禁止され、何もすることがなく精神的に非常に辛かったとのことで、それがこの情報のなさと短い活動期間にも現れているようにも思えます。

解散後、眞井氏は音楽活動を引退した模様。

眞井氏以外の3人は、新しいボーカルを迎えてLapis Lazuliを結成、1998年に再デビューします。それから1年と経たずボーカルが脱退しますが、代わりに2代目ボーカリストHirosyが加入。しかしその後市川氏も脱退します。

Hirosy氏は加入後間もなく、きただにひろしとしてワンピースの主題歌「ウィーアー!」でソロデビュー、続いてベースの渋谷氏(Lapis Lazuli以降はIKUO名義)もテニスの王子様の主題歌「LONG WAY」でソロデビュー、他にもGUILTY GEAR Xのボーカルアレンジ企画に参加と、不思議とアニメやゲームと関わりがあったようでした。

そしてLapis Lazuliは2004年に解散。
きただに氏は言わずもがなですが、元Ex-iTのメンバーも各々にバンド活動を続けているようです。

楽曲について

先述の通り、活動中に3枚のシングルと1枚のアルバムをリリースしているEx-iT。2ndシングルだけ入手できませんでしたが、ギラギラした若さを押し出すことはなく、落ち着いた大人の味付けが大半を占めるように思えます。
眞井氏の甘めのボーカルも相まって包容力があるというか。

デビューシングル「すべてここにあるよ」だけ、YoutubeでMVを見つけましたが、よく見たら投稿者がまさかの眞井氏ご本人。

「夢が夢で終わる前に」

そもそも何でこんなにもEx-iTを覚えているかというと、先述の通り中学2年生のとき、GBの付録に収録されていた楽曲が鮮烈に脳内に刻み込まれ、その後しばらく何某かのタイミングで思い出されるのです。

その楽曲が「夢が夢で終わる前に」

今にして上述の活動経歴と照らし合わせると涙を誘うタイトルですが、1996年10月の雑誌に収録したのだから、その近辺に発表したシングルのタイトル曲なのかと思っていたら、後に分かったことに発売は半年後の1997年5月、そしてまさかのC/W曲。
この辺からもこのバンドのプロデュース方針が謎めいていたのですが…おそらく当初はこの曲をシングルとするはずが、紆余曲折あって発売が延期になり、この曲もその過程でC/W曲になったのかもしれません。
なお、この曲を押しのけて表題曲になった曲は「しょうがないじゃん」
何でそういうオチを用意してるんですかね。

しかし何も状況証拠だけでこういう事を言ってるわけじゃなくて、この楽曲だけ、他の曲と照らし合わせて異質なんです。
他の曲が全体的に落ち着いた大人の味付け…とは言ったものの、その構成はバンドサウンド+少しシンセサイザーで、よくある90年代J-ROCKなのに対して、この曲だけはギターサウンドがありつつもシンセサイザーを全面に押し出し、尖りのないベースが優しく下から支える、都会の夜景を思わせるムーディーな雰囲気。
ロックというよりもフュージョンやAOR寄りというのでしょうか。この曲がきっかけではないものの、私は25年以上こういう曲が大好物です。

そういうわけで、雑誌での音源発表からリリースまで半年開いた事、リリースされたかと思ったらC/W曲だった事、他の曲と比較して明らかに異質、というかクオリティも高めな事。

とにかく謎だらけな1曲ですが、これがなかったらEx-iTに惹かれることも、25年以上経ってこんな記事を書くこともなかったでしょう。


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