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膠原病(自己免疫疾患)から回避できた幸運な例

免疫抑制薬等を服用せずに病状が改善した事例

約7年前、知人がレイノー症状を発症し、医師からは抗RNP抗体が基準値上限の3倍ほどあったことから、膠原病であるMCTD(混合性結合組織病)の可能性が示唆されたことを聞きました。

当時、私は長らく抱えていた過敏性腸症候群から解放されるきっかけを見つけました。
それが「ミヤリサン」という、酪酸菌(宮入菌)を使った胃腸薬と、水溶性植物繊維「イージーファイバー」(難消化性デキストリン)のコンビであった。まるで魔法の薬のように、不調から開放されました。
酪酸は、要するに腸内で酪酸菌が水溶性食物繊維を発酵させてつくる短鎖脂肪酸の一種であり、制御性T細胞の分化を促すという断片的な情報を私は持っており、それ故、私は知人に、ミヤリサンと水溶性植物繊維のタッグを強く勧めました。

便通の悩みがあった知人には、ミヤリサンだけでは便秘になることがあり、ファイバーとミヤリサンの量を調整する必要があることを伝えました。

知人からは後日、ミヤリサンは朝と夜の2回服用、ファイバーは寝起きのコーヒーに混ぜて摂取するくらいがベストな便通になることや、レイノー症状が改善したとの報告がありました。

2年後の検査ではミヤリサンとファイバーの摂取により抗RNP抗体が基準値上限の3倍から2倍くらいに減少し、レイノー症状がなくなったこと、そして現在では抗RNP抗体が基準値内になったそうです。

レイノー症状の発症直後であったことや、抗RNP抗体も格段に高い数値ではなく、投薬を必要としない膠原病予備軍であったので、酪酸菌とその餌になる水溶性植物繊維を摂取したことにより、効果的に制御性T細胞を増加させ、抗体の産出を抑制させることができた幸運な事例であったと考えています。

「すべての病気は腸から始まる」という言葉は、紀元前古代ギリシャの医師ヒポクラテスが残した言葉です。健康にとっていかに腸が大切であるかを受け止めなければならないのであろう。

制御性T細胞(Treg細胞)について

制御性T細胞(Treg)は、免疫細胞が過剰に働きすぎるのを抑制的に制御し、自己免疫疾患や炎症性疾患、アレルギー疾患などを引き起こす過剰な炎症反応などを抑える働きを持つと考えられています。

酪酸は腸内で酪酸菌が水溶性食物繊維を発酵させてつくる短鎖脂肪酸の一種であり、制御性T細胞の分化を促します。

炎症性腸疾患1型糖尿病多発性硬化症全身性エリテマトーデス等の患者さんでは、腸内細菌叢が乱れていることが報告されており、多発性硬化症では、水溶性食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を産生する制御性T細胞の増殖を促す菌が減少していることが報告されています。

関節リウマチと酪酸について

KAKEN(科学研究費助成事業データベース)に掲載されている
腸内細菌が産生する酪酸による関節リウマチ抑制メカニズムの解明」では、「発症初期の未治療の関節リウマチ患者の腸管内の酪酸濃度が健常者と比較して顕著に低い事を明らかにし、さらに、酪酸産生菌が顕著に減少することを見出した。
実際マウス関節リウマチモデルを用いた検討から、酪酸産生菌により酪酸が産生される飼料を与えることで、関節炎の症状が著明に改善した。

以上のことから、発症初期の関節リウマチ患者へ酪酸を予防的に提供することで、将来的な症状を抑制できると考えているとし、既存薬との併用により、より効果的な関節リウマチ治療法に結び付くと期待している。」(一部抜粋要約)と発表されています。なお、研究の詳細については、こちらで確認できます。

大阪大学大学院 岡田随象教授の研究結果(一部抜粋要約)によれば、
「関節リウマチ患者は、Prevotella copri(プレボテラ コプリ)を含む Prevotella属細に属する複数 の菌種が増加しており、これらの菌種が関節リウマチの病原性に重要な役割を担う可能性があることや、酸化還元反応に関連する遺伝子であるR6FCZ7の減少を確認したことにより、関節リウマチの原因には、腸内細菌叢が酸化ストレスに対して脆弱である可能性がある。ということです。

この研究結果から腸内細菌叢の酸化ストレスに脆弱性について、酪酸腸内細菌叢の構成を変化させ、抗酸化物質を産生する細菌を増やすことで抗酸化作用を発揮させることから、酪酸濃度を高めることは重要なことであると思います。

これらの知見は、関節リウマチの管理において、腸内細菌叢のバランスを整えることが重要であることを示唆しており、今後さらなる研究によって、関節リウマチの治療法開発に繋がる可能性が期待されます。

水溶性植物繊維摂取の重要性

酪酸は腸の蠕動運動エネルギー源として利用されているほか、腸管上皮細胞増殖作用腸管粘膜増殖作用があります。また、腸内のpHを低下させ、ビフィズス菌が優位な腸内細菌叢となり、腸内環境を改善するとされます。
酪酸を増やすために酪酸菌の餌である水溶性食物繊維等を摂取することが重要です。
〇腸管上皮細胞から分泌される粘液であるムチン腸内細菌や人体に有毒な物質の侵入を防ぐ重要な役割を果たしていますが、水溶性食物繊維の摂取により大腸での代謝産物の一つであるコハク酸が増加し、このことがムチン産生を増加させることを明らかにしました。

水溶性植物繊維の効率的な摂取方法

〇水溶性植物繊維を野菜や海藻から摂取することは大切なことですが、多忙な現代人が食事から必要量を摂取することは不可能に近いと思われます。
不足している水溶性植物繊維をファイバー等で補充し、腸内バランスを改善させ短鎖脂肪酸を増加させることが可能となります。

難消化デキストリンからイヌリンへ変更すると便の量が驚くほど増えましたが、マウスの実験で好酸球が増加し、免疫に何らかの影響を与えているとの情報により、イヌリンは一時休止としました。
グァーガム由来のファイバーは腸内で短鎖脂肪酸を産生する能力に優れているとされており、一部の病院や施設では高齢者などで問題となる弛緩性便秘や下痢をコントロールするために利用されているそうです。
〇水溶性食物繊維の一種である「β-グルカン」が、オートミールの原料であるオーツ麦に豊富に含まれているとのことです。マウスの実験ではβグルカンの摂餌ではイヌリン以上の酪酸の増加があったようである。
なお消化不良を起こす人もいるようですので、適量摂取をお勧めします。

経験談や私見、発表された研究成果などを述べましたが、医師の指示に従ってください。




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