まんぷく日記 10月27日

安藤サクラの感情の表出がぼくは好きだ。彼女が泣いていれば、ぼくも泣きそうになるし、彼女が悲しんでいれば、ぼくも悲しくなる。
彼女は素直に悲しみ、泣く。萬平さんが病気になれば、すぐに山一つは慣れた町の病院まで飛んでいく。

ぼくがなぜか泣けたのは、お母さんの御百度参りである。病気になった萬平さんを思い、お祈りしては石を置き、ということを百度行うのである。これはね、普通の義母であれば、まあ普通のことであろうと思う。でも、このお母さんは、萬平さんを好んでおらず、なおかつ、山を越えてくる際も、自分の荷物も持ちたくない歩きたくないと、グダグダ言っていたのである。
そんなお母さんが、自己を犠牲にして、百度のお祈りをするわけである。人が変わったとき、僕らは感動するのである。

死にに行く人を見送るというのは、どれほど悲しいことだろうか。どうして、こんなことをしなければならないのだろうか。嫌だけど、誰もそれを言えない。
戦争に負けたとき、どれほど悲しかったのか。はたして悲しかったのか。今の僕らには想像もつかない。まさに、命を懸けての戦いに敗れた心境を、どう表現するのだろう。

命をかけるような戦いは、現代ではできそうにもないけど、それに近い戦いをしてみたいものだ。一生懸命に、打ち込みたい。そして、敗れた時の感情を、覚えておきたい。それは、いつかものを作るときに、絶対役に立つから。

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