本好きの下剋上 20240224

年末辺りから読み始めて、約ニヶ月。結構な勢いで読み干してしまった。
なるほど流石の金字塔。とても面白かった。
思ったよりずっと魔力チートであり、前世知識チートなのであるが、主人公には欠点も多く、章ごとにまあまあシリアスな絶体絶命になる。
それをクリアすることでステップアップしていくのではあるが、望み通りではないので、一息に夢がかなうわけでもない。
世界設定はなかなかに凝って豊かで、その世界を知らない異世界人主人公が徐々に見識を広げていくことで、読者も無理なくついていける。
全く、お手本のように良くできた異世界転生と言えると思う。
基本女性向けだとは思うのだが、主人公の幼児性と本への執着をうまく使って恋愛一辺倒にはなっておらず、私にも十分に楽しめた。

読んでる間に何度も泣いた。
まあ、フェルディナンド様のせいだ。
自分の強い癖に
「不遇な少年時代を過ごした男性が、努力の果に一廉の人物になり、他者との関わりの中で救いを得る」
というものがあって、これにかなりハマる人物だったのだ。
性格の悪い美形の完璧超人という、実に乙女ゲーム攻略対象なのだが、長尺で生い立ちを掘り下げ、関係性を深めていくので、すっかり移入してしまった。
3章ぐらいからはルート確定と思われたが、彼が救われて本当に良かった。

凝った世界観の露出と、主人公が直面する、その世界観ならではの危機。
無双を可能にする魔力チートと、自力だけでは解決できない欠点。
幸せな底辺から急速に駆け上る、望んだ方向から若干ずれた成功。
こういったバランスで、ずうっと楽しく読めたように思える。
本にして30冊。
どうもありがとうございました。

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