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『人生Blues』の佐藤優樹にエドワード・ファーロングを見た

普段アンジュルムの事ばかりな毎日だが、モーニング娘。'19の新曲が公開されたので観てみたよ。『青春Night』と『人生Blues』の2曲。タイトルが両方「漢字+英語」で被ってるのが初手から気になるんだが、2曲共につんく♂作詞作曲。アレンジも両方、大久保薫によるもの。まあ、マッスルブラザーズのようなゴールデンコンビですわ。

『青春Night』の方は完全に王道な赤羽橋ファンク。王道すぎて「ほぼほぼ『The 摩天楼ショー』じゃん。大久保薫だし」 なんて見も蓋もないこと言いたくなるが、当然キライじゃない。個人的には当然好き。でもこれ、つんく♂が一番嫌いな「〜的な感じでお願いします」な曲じゃね?

と勝手に少し心配になる。

あ、ラップは良い。やはり娘。さん達のラップは独特のリズムがあって、聴きやすいし心地良い。これだけはアンジュルムもホントに見習って欲しいと思うわ。

若干モヤモヤしてた所に来た『人生Blues』

なにこれ? 凄いんですけど。

ブルースとか言っときながらパレードみたいな始まりして、どこがブルースなの? という下らない疑問を持ってる間に畳み込むように刺さって抉ってくるつんく♂Lyric

出だしから「怖がるな、躊躇するな、わろとけわろとけ」言いながら

人生って ここぞという日があるんだね
前もってわかりゃいいんだけど
そう 後になればあの時と
気がつくもんだよね・・・
人生Blues

なんて人生の真理。

人生って 待ってる時は来ないのに
無意識になれば現れる
慌てなければできること
わかっちゃいるんだけど・・・
人生Blues

まさに哀歌(ブルース)だわ。マジで全部の歌詞を引用したい勢いだが、とにかく本当に人生の悲哀とうまく行かないもどかしさを綴りながらも、でも「笑ってみ 笑ってみ」と連呼する事で立ち止まって深呼吸する事の大切さを伝えてくれている。

ただ「がんばれ!」とか「大丈夫!」という陳腐な台詞を言うんじゃなく、「笑ってみ」と言う所がつんく♂らしくて響く。でも、すげぇ良い事を言ってるのに、乗ってる音は不安になるようなシンプルさとおどろおどろしさもあって、励まされてんだか落ち込ませようとしてるんだか途中からよく分からなくなってくる。

アレンジの大久保薫も含めて、ノリノリで意味の分からない音作りしてケラケラ笑っているつんく♂が目に浮かぶようだわ。

そうか

「『青春Night』はアップフロントのオーダー通りやりましょ。でも、『人生Blues』は好きにさせてもらいまっせ」

という事か。だから敢えて2曲とも「漢字+英語」のタイトルにしてるんだな。どっちが本筋か、僕らに気付かせようとしてるんだ。

違う? 

なんか、もうそんな気がしてなりません。僕は攻めてるつんく♂が大好きなんです。

あと、MVのまーちゃん凄い。

冒頭からトイレ掃除するまーちゃんが『アメリカン・ヒストリーX』のエドワード・ファーロングにしか見えない。

掃除の邪魔でもしようもんなら、問答言わずにモップの柄でボコボコにしそうな不満と怨念を抱え込んでいるようだ。すげぇ良い。

MVの設定さ、まーちゃん活かしで全編「女囚」イメージの『オレンジ・ニュー・ブラック』みたいな雰囲気とかで攻めても良かったんじゃね?

二番で唐突に『フラッシュダンス』になるから流れがメチャクチャだよ。

「ブルース」をモチーフにしてるから冒頭は北野ブルーみたいに青いフィルター使ってたんだと思ったのに、急に映像の雰囲気も変えるんだもん。超勿体無い。

色んな人生、色んな立場、でもオーディションに集まって成功を勝ち取るんだって感じのストーリーでも無さそう(石田さんと真莉愛しかダンスしてないし)で、ちょっと視点が散漫になってて残念だった。ダンスショット入れるなら尚更、オーディションシーンとして昇華して欲しかった。

そこだけ、超勿体無いと思いました。

以上。


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