洗濯狂騒曲 (1)




*家電はいきなり壊れるの法則

 5月上旬に洗濯機が突如壊れた。いや、正確に言えば何年か前に柔軟剤を受け付けてくれなくなって脱水の残り時間が16分になったときにタイマーが鳴るようにして柔軟剤だけ手動で入れていた。
 脱水すらしてくれなくなってしまった。仕方がないので姉と一緒に洗濯物を絞る。指の皮がしわしわになってめくり上がりそうになる。手の感覚もおかしい。姉と「昔の人ってすごかったんだね」「子供の頃馬鹿にしていたけど洗濯の水を絞り取る装置(分かりにくくてすまん、現世にはシルバニアとかであるやつ)って発明だったんだね……」とか言いながら絞って絞ってほぼ日光に頼る脱水スタイル。翌日には二人して手のひらがひどい筋肉痛になった。
 そんな生活が続いた5月中旬。姉がちょっと事情があって入院することになり(精神的なものではない)、母と私二人で過ごす時間があった。
「Bートウォッシュってのが良いらしいよ」と話す。しかし8.0kgのは手が届かなかい。今思うと不思議なのだけどこのときは8.0kgの洗濯機を買わなければいけないと思っていた。今まで使っていたのは7.0kgだったのに。
 母は絶対に大丈夫そうなのが欲しくて「テレビショッピングのサイトで探して」と言う。けど、大きな声では言えないがテレビショッピングは私はあまり信じていなくて(病気ゆえだと思ってもらってもいい)、「家電量販店のサイトで購入したほうが良い」と思っていたためあくまでこういうのがあるみたいよ、と見せる。
「このAクアって安いけど」と言われて「安すぎるのは怖いよ」と私が日和る。
 数日経って「7.0kgのを買えばいいんだよ」と時々現れる内なる父に言われて「8.0kgにこだわることなかったじゃん」とまたJーシンのサイトを見ていた。7.0kgのBートウォッシュが6万円台で売っていた。「じゃあここで買えばいいね」と一安心してタブレットを閉じてしまった。閉じてしまったのだ。
 思えば父は白物家電をなかなか買えない人だったのだけど、それを私は痛感することになる。
 翌日、Jーシンからスーパー大感謝祭開始のメールが届き、慌ててサイトを開くとBートウォッシュは8万一歩手前になっていた。


 次回へ続く。





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