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【パワポ研のパワポ資料探訪27】デロイトトーマツの経産省委託調査報告書は「低労力」でGood

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズでしたが、今回から様々なパワポに関する資料を紹介させていただきます。
毎回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ27回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころあるパワーポイント資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、デロイトトーマツの令和4年度産業経済研究委託事業「リース信用保険等のファイナンス手法を活用した 政策に関する調査報告書」になります。経産省の委託調査報告書になります。

リース信用保険等のファイナンス手法を活用した 政策に関する調査報告書

それでは早速見ていきましょう。

表紙

これはデロイトトーマツ(以下デロイト)がよく使う円形の画像(こういうのが何パターンもあります)が中心に添えられて、その他タイトルやロゴなど必要な情報が配置されています。表紙は毎回同じでは寂しい(?)ので、このようにあたりさわりのない画像を何パターンも用意しておくと、毎度悩まずにすみます。画像がこの資料に対して「適正か」なんて誰も気にしないので、それっぽいもので問題はないでしょう(金融関連の報告書で車やロケットが前面に出ていれば違和感はありますが、「それっぽい」ものなら問題ないはずです)

目次

妙に左に寄っているかつ、もうちょっと拡大する余地があるのが気になりますが、シンプルなもので言えばこんなところでしょう。文字があとあと増えたり、項目が増えたりしても対応可能です。

ディバイダー

余白が多いですが、別に写真にまみれていても資料の内容には影響は少ないので、労力すくなくしたいならこんな感じでも全く問題ないです。国に納める資料ですからね。対民間ならもう少しデザインチックというか、華やかにしてもよいとは思います。

事業実施の背景・目的

経産省から色指定がないので、コーポレートカラーである蛍光緑をアクセントとして用います。

このスライド、構造としてめちゃめちゃ見やすいかというとそうではありません。もっと工夫の余地はあるかと思います。ただし、読んでわからないということは一切ないので、このままでよいのでは、とも思います。枠が多かったり、矢印が潰れ過ぎていたり、文字にハイライトがなかったりするので少し頭に入りづらい(「見る」だけでは分からず、「読む」必要がある」のでしょう。

保険制度の概要

蛍光グリーンが多く出てきましたね。色を選ぶ必要がないので、自前のカラーパレットから明度彩度を少し変えて複数の緑を選択します。

相関図を描いたスライドですが、矢印の色の定義が分からないですね。あとは、保険料の計算方法がど真ん中に配置されていますが、このスライド全体は明確に2つに区切って、例えば左を相関図、右を保険料の計算方法としたほうが、構造がわかりやすかったのかもしれませんね。スペースの問題もあるかもしれませんが、あまり相関図で保険料の計算方法を囲う意味はないはずです。

評価項目

工夫の余地は無数にあるのですが、これで十分です。読む人が読めば分かります。あくまで、経産省担当者に対する調査報告書を国民に広く公開しているので、ストレートに言えば知識が乏しい人が読んで「わからない!」という苦情には対応は出来かねる資料です。極端なことを言うと、全部の漢字にフリガナを付けるのか? ということ。

ちなみに工夫の余地をあえて挙げるとするならば、
・「①」などを文字ではなく独立したオブジェクトにする
・行間を広げる
・文字サイズを大きくする/大きくできるように文字を漉く
・蛍光グリーンに白文字は見づらいので、もう少し濃い緑を使う
・重要な文字をハイライトする
……などなど。繰り返しになりますが、別にそうしなくても十分読めるのでOKです。

評価方法

これは構造が分かりやすいスライドですね。色の使い方に疑問は残ります(どういう意図の使い分けか分からない)が、それを除けば左・右・下の三分割になっており割合、理解しやすい資料なのかと思います。スライドを作った人は頭をひねったでしょうね。

構造がしっかりしていれば、多少文字が多くても読み込めます。文章がずらーっと続くよりも、箇条書きの方が読みやすいのと同じですね。

経年変化

「参考」スライドなので、デザイナーの人が見たらもっと工夫したくなるでしょうが、これで十分。蛍光の文字にはなじめませんが、それ以外は問題ないでしょう。

評価方法

このスライドは色の使い方が上手ですね。特に意味はなかったとしても、3つあるものに色のグラデーションを付けると、「ああ、3つあるんだな」と視界に飛び込んでくるので、脳での情報処理が楽になります。灰色の背景もグルーピング(区分)には簡単でよい手法です。

算出方法

これも構造として区切ってあるので(比較的)分かりやすいですね。でも上のスライドでグラデーションにしたのなら、これもそうしてもよいような気がします。黄色の「参照データ」というオブジェクトを(構造の定義として)使うなら、その上にも同じオブジェクトを配置して「計算要素」とか何かを書いておいてくれたほうが分かりがよいかもしれませんね。

集計結果

これと同じ構造のスライドが8ページ続きます。なので、1種類のスライドを丁寧に作ると、8ページにわたってきれいさが続くので、資料全体のクオリティで見た場合は、こうした何枚も続くスライドは丁寧に作るべきと言えるでしょう。

まとめ

とにかく、気合を入れるところとそうでないところのメリハリをつけると、労力のわりにお客さんが嬉しいと思う資料ができあがるということです。常に万人向けかつ最大限配慮した資料を作る時間と予算があるなら別によいのですが、なかなかそうはいきません。お客さんの特性や興味関心を把握して、力を入れるポイントだけそうすれば、(あまり好きな言葉ではないですが)タイパのよい資料になると思います。

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