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【パワポ研の決算資料探訪25】note社の決算説明資料は、見やすい・分かりやすいモノトーン

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ25回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、note社。説明不要かと思いますが、まさしくこのnote(C2Cメディアプラットフォーム)を運営する企業です。

2023年11月期第2四半期決算説明資料(URL

それでは早速見ていきましょう。

表紙

ぱっと見ただけでは、きれいな絵ではあるなと思いましたが、意図するものは正直なところ「?」という印象でした。しかし、決算説明資料の別ページに解説がありました。

曰く、

「noteが目指す「街」とは、個人・法人問わず、あらゆる人が集まる場所。ここではあらゆる人が活発に創作活動や経済活動を行い、人々の間に交流が生まれることで、文化や経済がますます発展していきます。そんな「街」を、インターネット上につくります。」

ということです。
それを踏まえて見てみると、なるほどそれを体現しているように思えます。
表紙というのは案外難しいもので、無難な絵や写真を配置しても誰も怒りませんが、さりとて表紙という広大なスペースを遊ばせておくのも惜しい。自社のサービスが絵や写真として分かりやすい(例えば自動車やロボットなど、アイコンとして分かりやすいプロダクト)企業は簡単なのですが、note社のようにTech系の企業ですと掲載するものがイメージに寄らざるを得ない(画面のキャプチャではなんとなく映えないことも多い)ので、ここは悩みどころかと思います。そんな中で自社の目指す姿のイメージを掲示するというのは、かなり王道の一手かと思います。

目次

この時点で、「おっ」と他の企業との差分を予感します。表紙とギャップがある、シンプルなモノトーンの資料を予感させます。

決算ハイライト

ここで、この資料はモノトーンで構成させているということを把握できます。
別記事でも書きましたが、モノトーンというのは簡単なように見えて、かなり難しい技術です。そもそも普段モノトーンで資料を作ろうとしないなかで、決算説明資料だけモノトーンを作るというのは慣れの問題で難しく、またパワーポイント自体も色を前提としてさまざまな機能が用意されています。さらに、(自明ですが)白と黒だけで全てを説明するのは、かなりの表現力が求められます。白は200種類あると言った人もいますが、人はそこまで見分けがつかないことがほとんどであるからです。

このハイライトの紙面は、文字ベースのスライドであるためそこまで苦労せずに見やすい資料を作れるでしょう。目立たせたい場所は太字で処理しており、また左側のボックス(「note事業」等)は背景を灰色にして、他のオブジェクトと分かりやすく切り離されています。

KPIサマリー

これも前のスライドと同様に、背景灰色×太字(フォントも大きくしている)でスライドを成立させています。色を使うならこの灰色のボックスが、おそらくコーポレートカラーの淡い色(例えばnote社であれば、薄い緑)などを使うところかと思いますが、灰色でもその役割を十分に担えます。

業績サマリー

ここが腕の見せ所でした。紙面では濃い灰色(上部)と薄い灰色(一部の列)、黒のラインと灰色のライン、白文字と黒文字が混在してかつ、見易くなっています。工夫すれば、このようにモノトーンでもばっちり分かりやすく表現できます。

財務構造と重視する指標

これはむしろモノトーンであるべきかもしれません。モノトーンであるべきスライドというのはそう多くはないのですが、オブジェクトが多く、それぞれに色を割り振りすぎるとごちゃつくようなスライドは、あえてモノトーン(あるいは一系統の色)で記載すると見易くなります。このスライドはその典型ですね。重視する部分の黒色が浮かび上がって見えます。

売上原価+販管費内訳

逆に難しいのがグラフ、とくに積み上げ棒グラフは難易度が高いです。このスライドの通り、微妙なグラデーションをつけつつ数値を積上げ、かつ棒グラフの色にあわせてその中の文字(数値)の色(ここでは、下から白→黒)を変化させなくてはなりません。少し手間が発生しますね。それでも、ビカビカと原色を過度に使うよりはよほど見やすいスライドになります。ある程度制限があった方が美しく映えるというのは、スポーツもルールがあるからこそ面白いのに似ているでしょう。

購読者データ

円グラフも棒グラフと同じようにモノトーンで問題なく作ることができます。黒色の面積が大きいと圧迫感があるので、右2つのグラフのように、濃いめの灰色を上手く使えると、画面が優しくなります。

AIアシスタントの導入

もちろん色を使うべきタイミングでは、(妙な縛りがない限りは)使ったほうがよいです。特に、ここまでモノトーンで来ているところにいきなり色が使われると、このスライドのような派手過ぎない緑色でも、読者に真新しさを与えます。

創作大賞の開催

ちなみに、釈迦に説法とは思いますが、モノトーン(あるいは他の色で統一された)資料においても、他社のロゴ等はこのようにオリジナルの色を使わなくてはなりません。自社のこだわりよりも、当然他社のブランドを尊重すべきでしょう。

note PRO

また、写真やサービス紹介はカラー画像を使ったほうがよいでしょう。そこがモノクロですとサービスイメージもモノクロなのかな、と思う方も一定数発生してしまいますし、またサービス紹介は「ここぞのタイミング」です。思い切ってカラーの画像であるべきと思います。なお、人が写った画像がモノクロですと、やはり少し古いというか、意図しない印象を与えることがあるので、これも要注意ですね。

まとめ

モノトーンでまとめられた資料の好例でした。
note社は2022年末にロゴを変更しました。そこでは緑色のアイコンが取り払われ、ごくシンプルな今のロゴ(白黒構成)へと生まれ変わりました。それも反映しての、あるいは統一された志向により、決算説明資料も白黒で構成されているものと推察します。企業として方針が一環していて、分かりやすいですね。

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