Poyoh

東京。短歌や詩を綴っております。 それと、たまにエッセイも書きます。 エッセイの方が…

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東京。短歌や詩を綴っております。 それと、たまにエッセイも書きます。 エッセイの方が、少し人間色が濃く出ます。 YouTubeもやっていますので、よかったら観てください。

最近の記事

【エッセイ】占い師に化けの皮を剥がしてもらう

男の子なんだから強くなりなさいと言って育てられたのに 小さい頃の写真の私は髪が鎖骨より長く、見るからに女の子のようだ。 強くなるとは、具体的にどういう事ですか? ずっと喉にひっかかりチクチク痛む 形式的に大人になってからは必死に働いた 好きな仕事と信じてやっているデザインの仕事も 自分の天職と言い聞かせてやってきている 自問自答の日々、何が正しくて自分らしさとは。強さとは。 コロナ期間中に長く勤めた会社を突然辞めた 弾けたのだ。 新しく友達もできた、自分という人間を俯瞰し

    • 【エッセイ】思いつく限りの結果

      寒くなってきた冬の夜に一通の手紙を拾った。 宛先不明の遺書のような謝罪の手紙 ごめんなさいと始まる物語には、その人の人生が神妙に綴られていた 私の解釈ではあるが、この執筆者は重い悩みを抱え込んでいて 唯一、心の支えになっていた人を亡くしてしまったようだ。 家族、恋人、友人どれとも違うような感じがした。 冷えたコンビニのコーヒーを一気にグビっと飲み干し 食い入るように読み進める。 もう分かっている、自分には価値がない。 私は私の中に自分を隠している。 心に滲んだ血の跡が消え

      • 【短歌】トースターの結露

        イチゴを一粒 甘いコーヒーの一滴が欲しい 明日は早いどうしてこんなに 観葉植物の枯れた葉先に薬指のささくれが目に入る 外はマイナス1度 鉄の痛い断面どうしたの痒い後頭部 フリック入力ができない こんなに遠くにいるのに ポケットにいつかのレシートおかえり 字は綺麗じゃないの 固まった瞼 ごめんねもう聞こえない 話したらぼとぼと落ちる花 ショーケースの角砂糖は光 もう歩けないよ 連絡を待つ充電切れのスマートフォン

      【エッセイ】占い師に化けの皮を剥がしてもらう