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GaussianのTDのlogの情報を使って放射速度定数を推定する

大したことはやってないのですが,使うパラメータとしては,振動子強度(双極子モーメント)と極大波長からEinsteinのA係数を計算することで,オーダーが一致するレベルで放射速度定数を推定できます。

オーダーしか一致しない原因はいくつかあります。
一つは計算リソースの問題で,計算レベルを下げたり,励起状態計算をサボっていること。発光側なので,S1の構造最適化を高いレベル(ωB97とかcc-pVTZとか)でするべきですが,特にDonor-Acceptor型の励起状態で捩れる分子は,S1の構造に対してTD計算しないとダメなのかなと。(個人でやるには計算リソース=軍資金が足らない!)

二つ目は,最初の段落で振動子強度(双極子モーメント)としていることから,お察しした方もいるかもしれません。双極子モーメントと波長から,推定結果がおかしくないのかの検証のために,振動子強度を計算したのですが,GaussianのTDの出力の結果と合わない。Why?

他にも溶媒補正すら入れてないとか細かい理由はあります。まぁオーダーが一致するだけでも,自分の用途の範囲は満たしたので,とりあえず記事に残しておこうと。

理論背景や式の導出については,webに落ちてるpdfを参照のこと。広島大学の山崎 勝義先生の方を向いて筆者はお礼をいっています。https://home.hiroshima-u.ac.jp/kyam/pages/results/monograph/Ref26_EinsteinAB.pdf


式(1)

EinsteinのA係数と双極子モーメントの関係式を式(1)に示した。1式のhはプランク定数,λは極大波長(TDDFTのS1の波長),g2は上位準位の縮重度であり,たとえば準位1が原子のスピン-軌道状態あるいは分子の回転準位Jであれば,g1=2J+1で表され,今回のような場合は基本的にg2=1です。


式(2)

振動子強度と双極子モーメントの関係式を式(2)に示した。2式のν0は目的とする遷移の準位間のエネルギー差に相当する光の波数ですが,光速を極大波長(TDDFTのS1の波長)で割って変換する。eは電気素量(電子の電荷の大きさ),mは電子の質量です。

式(3)

式(1)および(2)から,振動子強度と極大波長からEinsteinのA係数を計算する式(3)が導出できる。

わざわざ書くほどの事でもないですが,Pythonで前回のTDの計算結果出力に組み込むときは以下のような感じです。

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