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キャリア相談事例:産休・育休後のキャリア開発(36歳、女性)

創造事例です。キャリア相談のイメージにご活用ください。

ケースの概要:
36歳、女性。契約社員(社会保険労務士)。産休・育休後退職。2子の出産で計4年間の休業を経て再就職。今後のキャリアプランについての相談。

導入

Co: それではよろしくお願いします。今日はどのような相談でいらっしゃいましたか?

Cl: よろしくお願いします。育休後、新しい会社に就職することが決まったのですが、まずは非常勤の有期雇用で、兼業するという選択肢もあります。もしくは、今の会社で、正社員となる道もあると思います。将来のことを考えて、当面の働き方を決めたいと思い、相談に来ました。

Co: ありがとうございます。将来を見据えて、今後の働き方を考えていきたいということですね。とても大事なことですよね。申し込みによると、新しく働き始めるところも、社会保険労務士の業務ということですね。確かに、兼業といっても、別のところで非常勤で働くか、フリーランスとして開業するかなど、選択肢がありそうですね。その辺りも、将来を見据えて考えていきたいということですかね。

Cl: そうですね。一応、社労士としては、別の事務所でも働いていたので、一部の業務は経験があるのですが、個人で開業となると、まだ自信は持てずにいます。できれば、今回見つかったような会社で、事務所にやとわれてということを考えていますが、子育てしながらフルタイムというのも難しいのかなとか、今回はたまたま在宅勤務できる事務所が見つかりましたが、同じようなところを他に見つけるのも難しいかなと考えているところです。

Co: そうですか。すぐに開業というのは、自信が持てないところで、できればしばらくは雇われて経験を積みたいというところがあるようですね。

Cl: はい。

Co: 将来を見据えてというのは、どういったことを考えていますか?

Cl: そうですね…自分の働き方という点では、とりあえず1か所でもいいかとも思うのですが、それだと月10万円、年120万円いくかどうかというところなんですよね。子供も2人いて、将来的にもお金がかかることを考えると、できるだけ、私も収入を増やした方がいいかという思いもあります。

Co: お子さんの養育費などを考えて、ある程度収入を増やしたいという思いもあるということですね。だいたいこのくらいあればいいかなという予測や目安があったりしますか?

Cl: 目安というほどではないのですが、月に15万円くらい稼げればいいかと、夫とは話しています。ただ、厳密に計算したりしたわけではないです。これくらいなら可能かなというところです。

Co: だいたい15万円くらいが今のところの目安ということですね。それは、内訳でいうと、今決まっているところプラス少しという感じですね。今のところは、だいたい週何日で、1日にどれくらい働く予定ですか?

Cl: 週3日で、10時~17時の残業なしです。

Co: となると、残り、週2日、10時~17時くらいで、5万円稼げると目安は達するなというところですね。

Cl: そうですね。ちょうどそこに合う感じの求人があれば、良いとは思うんですが、今のところ見つかっていないですね。

Co: 在宅とか近所の事務所も含めて探しているところだけれど、今のところは、その条件に合う求人はなさそうだということですね。

Cl: そうです。

Co: そうなると、今のところで勤務日数を増やすかという話になるわけですね。

Cl: そうですね。あとは、社労士以外の仕事を在宅で受けてとかですかね。

Co: そうですね。今は結構、在宅の仕事もありますからね。週2日で、月に8に日くらいあれば、5万円はいきそうですか?

Cl: どうですかね。時給でいうと1000円くらいのものが多いので、50時間、1日6時間勤務で、8日となると、厳しいですね。また、仕事探しの時間も必要なので、場合によってはその半分ぐらいの、2万4千円くらいかもしれません。

Co: そうすると、少なくとも、社労士以外の仕事をフリーで探すというのは、希望の金額には合わなそうな感じですね。

Cl: 確かにそうですね。

Co: 少し話してきましたが、今日はこんな感じで今後の働き方についてお話を伺っていく感じでいいですか?

Cl: はい。大丈夫です。

子供の大学の学費の確保に向けて

Co: 今日話した結果、どのようになるとよさそうですか?何がわかったらいいかとか、どんなことが見えてくるといいかとか何か思いつくことはありますか?

Cl: そうですね。ある程度将来的な見通しがつくといいと思います。

Co: 将来的な見通しがつくとということですね。何年後にどんな風になっているかということですかね。

Cl: はい。

Co: いつ頃の見通しかというのは、何かありますか?

Cl: そうですね。子供が大学を卒業するぐらいまでの見通しですかね。今後15年~20年くらいの見通しです。

Co: お子さんが大学を卒業するくらい、20年後ぐらいには、どのようになっているとよさそうですか?

Cl: 私立大学卒業までは学費を出してあげたいので、それができるくらいならいいかと思っています。つまり、15年後ぐらいまでにそれくらいの貯金があって、あとは、二人が別々に一人暮らしをするようなことがあっても、仕送りができるぐらいの収入が夫婦であるといいですね。

Co: そうですね。15年後ぐらいまでにそれに耐えうるだけの世帯収入になっているといいということですね。大学の学費については、いつまでにどれくらいあるとよさそうですか?だいたい4年間で4、500万円かかりますかね。

Cl: そうですね。14年後に4、500万、その4年後に4、500万という感じですね。今のところ、14年後に4、500万の見通しは、色々な積み立てでできています。あとは、18年後に4、500万の部分ですね。

Co: 単純に計算すると、18年で4、500万とすると、月1.9~2.3万円貯めるような感じですね。

Cl: そう考えると、仕事を始めれば、難しくはないですね。これまでの積み立てに加えて、3万は積み立てていこうと思いました。

Co: それはいいですね。そうなると、あとは、14年後までに、仕送りができるようにということでしたね。4歳差ということは、4年生に現役で行くか、2人とも浪人すれば、重なることはないんですね。

Cl: そうですね。なので、とりあえずは、10万円くらい仕送りできればいいのかもしれません。たまたま重なってしまった分くらいは、貯蓄で何とかなるだろうと思うので。

早く稼がないとという焦りが無くなりました

Co: 10万円というと、ちょうど4月からの週3日分の収入ですね。そこから3万円ほど積み立てて、同時に上の子が大学生になるということは、13万円くらいは、出ていくことになりそうですね。つまりは、目標にしていた15万円くらいでも、大学に活かせる分は、なんとかなるかもしれないですね。しかも、それが本当に必要になるのは、14年後なので、最低でも、14年後にそれぐらいの収入があればいいですかね。旦那さんの収入が変わらないという前提ですが。

Cl: そうなりますね。なんとなく、気持ちが楽になりました。早くもっと稼がないとと思っていましたが、そんなに焦らなくてもいいかもしれないと思いました。

Co: そうですね。4年ぶりに仕事に復帰されるし、在宅ということは、もしかすると家事やいざという時の保育園の迎えなんかも期待されているかもしれないですよね。徐々に、無理のないペースで、仕事を軌道に乗せるというか、仕事に向けたコンディションを作っていきたい感じですよね。

Cl: それでも良さそうですね。当面は、月10万円プラスになるだけでも、だいぶ楽になるだろうなと思いました。

Co: いいですね!とりあえずしばらくは、今決まっているお仕事に慣れることを目指して、その後、何かしらの兼業を考えるか、その職場の勤務日数を増やすかというところですね。これについては、保育園の様子とか、パートナーの協力体制とか、今後始まる仕事の内容や負担感、職場の様子など、色々な要素が関連してきそうですね。

Cl: そうですね。始めてみないとわからない部分も多そうですね。まずは下の子の保育園が始まって、私も週3日働き始めてというところですね。

兼業の可能性

Co: そう思います。実際にやってみてからの方が、プラスでどれだけできるかとかの、感じもつかめますからね。とはいえ、今日話し合っておくとよさそうなことはありますか?

Cl: そうですね。兼業をするとしたら、何がいいかですね。社労士以外の仕事は、割に合わなそうなことはわかりました。そうすると、今の職場の勤務日数を増やした方がいいのか、ちょうど週2日くらいでやれる他の事務所を探すといいのか、やはり、社労士として開業して仕事を得た方がいいのか…

Co: 悩ましい所ですよね。今決まっているところがよさそうなら、そこで増やしてもいいですし、ゆっくり待てるなら、他のところの求人を待ってみると、場合によっては、そちらの方が良かったりするかもしれないですしね。また、フリーでの仕事も、もし将来独立を考えているなら、今のうちに副業で始めておくと気楽に始められるということもあるかもしれませんね。

Cl: そうですね...求人を少し見つつ、基本的には今の場所で日数を増やす方向かもしれないです。

フリーランスについて

Co: いいですね。それが無理なく進められそうですね。すぐにフリーランスというのは、やはり、ハードルが高そうですか?

Cl: そうですね。

Co: 将来的なことを考えても、基本的には、雇われていくということで、問題はなさそうですよね。

Cl: そうですね…例えば年齢が上がってくると転職が難しくなるのだろうなとか、子供が小学生になって、不登校になったら、フルタイムで働くのは難しいかな、そうすると、契約切られたりしないかなというのは、心配なところですね。フリーランスなら、クビになる心配や、働き方の心配をする必要はないので。

Co: 条件的にはフリーランスの方がいいとか、フリーランスでも大丈夫という状態にしておけると、雇われの方で何があっても大丈夫だろうと安心できるわけですね。

Cl: そうなんですよね。少しずつでも、フリーランスとして働く準備をしていった方がいいのでしょうか?

Co: フリーランスが選択肢に合った方がいいかもなっていう。フリーランスを始めるにあたって、引っかかっているというか、懸念になっている、自信のなさというのは、どういったところなんですか?

Cl: そうですね…やはり、自分で責任を負わないといけないということですかね。できない仕事を依頼されたらどうしようかとか、顧客に理不尽な対応をされたらどうしようとか。その時に頼れる人がいないですからね。

Co: そうですね。仕事内容についても、問題のある顧客について、すべて自分一人で対応しないといけない。それが心細いという感じですかね。

Cl: そう思います。

開業準備

Co: 本日の残りの時間は、将来、お子さんが大学に入られた後のキャリアのことも含めて、フリーランスを視野に入れたらいいかどうかについての話をさせてもらうといいかと思いますが、いかがでしょうか?もちろん、他に必要な話題があれば、そちらを優先させていただくこともできます。

Cl: フリーランスや将来のキャリアの話ができるといいと思います。

Co: わかりました。基本的には、雇われて働く方が、気が楽だし、自分の能力を発揮できるということでしたね。一方で、フリーランスでも働けるという選択肢があると、何かあったときに、困らないで済むと。ただ、フリーランスで経験を積むには、ある程度の挑戦というか、チャレンジングなところがあるということですね。

Cl: そうですね。そこまでリスクを負う必要があるのかとか、一方で、いざとなったときに働き口がないのは困るなと思うんですよね。

Co: 例えば、今の会社で契約が更新されずに、在宅のいい仕事がなくて、何かしらお子さんや家庭の事情で、家にいないといけないというときですよね。

Cl: 上の子が小学生になってからなので、3年以上先の話にはなるかもしれませんが、今でも、上の子の登園しぶりもあるので、在宅で働けると、安心だと思います。

Co: そういう事態に向けて、今から準備しておくとしたら、どんなことができそうですか?

Cl: やはり、フリーランスで仕事をしておくということだと思うんですよね。顧問とかは難しいにしても、特定の業務の委託を受けるとか。

Co: そうですね。可能な範囲で準備を進めておくことはいいかもしれませんね。そんな風に、一部でも、フリーランスで仕事をして、準備をしておくことの重要度は、10点満点でいうと、どれくらいですか?

Cl: 6,7点ですかね。

Co: 結構な点数ですね。その点数を付けた理由を教えてもらえますか?

Cl: ある程度大事だとは思います。ただ、それが意味があるかというと、実際にそういった場面に直面してみないと実感が持てない所なので、すごく高い点数にはならないかなというところです。

Co: 重要性は感じるけれど、リスクというか、その経験が活かされる場面が実際に起こってみないと、必要かどうかはわからないということですね。

Cl: はい。

Co: 最悪、実際に、働き口が無くなってから始めても、できないことはないですからね。

Cl: そうなんですよね…企業の準備や営業など諸々考えるとどうかと思うんですが、とはいえ、私の収入がなくても、夫の収入があれば、何とかやってはいけますからね。

Co: 若干、教育費の積み立てが心配だったりもしますが、例えば、数か月遅れる分には、後から挽回はできそうですよね。

Cl: はい。それが何か月かということですよね。例えば、細々とでも、仕事を受けておけば、それを増やすというのは、1,2か月あればできると思うんですよね。営業を頑張ったりすれば。ただ、ゼロからとなると、ウェブサイトを作ったり、銀行口座を開設したり、場合によってはオンライン決済の準備など、仕事を受けるまでに時間がかかってしまいそうな気がしますね。そもそも、一人目を受けたことがないのに、一人目を受けるというのは、ハードルが高そうですし。それを考えると、今のうちに仕事を受ける環境を整えておくとか、とりあえず一人受けておくというのは、やっておいた方がいい気がしますね。

Co: そうですね。仕事を受ける体制を整えて、とりあえず一人受けておくと、いざというとこに、無収入の期間がどれだけ続くかというところが変わってきそうですね。

Cl: 夫が職を失うようなこともないとは限らないですからね。できることからやっておいた方がいいのかなという気もしてきました。

老後のキャリア

Co: そうですね。もう1点、私が将来のキャリアに関することで感じていたことがあるんですが、お伝えしてもいいですか?

Cl: はい。もちろん。お願いします。

Co: 先ほど少し、お子さんが大学に行かれた後のキャリアということをお伝えしましたが、今、人生100年時代と言われているじゃないですか。そんな中で、年金の受給年齢を引き上げるという選択肢もあり、できるだけ長く働けた方が、いいのかなと思ったりもするんですね。その点も含めて考えると、社労士の場合は、雇われでも長く働くことはできるかもしれませんが、自営であれば、元気な限りは働けますよね。なので、そのような視点もあるといいかなと思いました。

Cl: そうですね。子供の養育費の子とは考えていましたが、自分たちの生活や介護もありますからね。できるだけ子供に迷惑はかけたくないとは思っているんですよね。

Co: ちなみに、社会保険労務士で雇われだと、どれぐらい働けそうかというイメージは何かありますか?

Cl: 少なくともこれまで働いたところでは、あまりご年配の方はいなかったですね。ある程度の年齢になると皆さん独立されるのかなと思います。

Co: そうなんですね。やはり、最終的には独立して、自営で行うというのが多そうですよね。その場合は、いくつくらいまで働けるんですかね?

Cl: はっきりとはわかりませんが、そういえば、70歳くらいの人も研修で見かけたりしますね。一応現役ではあると思うんですよね。どんな働き方をしているのかはわかりませんが。

Co: もしかすると、その辺り、社会保険労務士のシニアとか、終盤のキャリアがどのようになっているのかを調べると、今どの程度フリーランスにコミットするのがいいのかの参考になるかもしれませんね。

Cl: そうですね。調べてみようと思います。

振り返り

Co: 今日は、お子さんが大学生になるまでに必要な収入の見通しや、そのために必要な働き方についての話、それと、保険としてのフリーランスや老後の仕事を確保するという意味での、フリーランス、自営という働き方についてお話させていただきました。当面は、今決まっている会社のお仕事を無理せず進めていくだけでも十分だということと、将来的には、その会社での勤務日数を増やしつつ、同時に、フリーランスとしての商売の体制が整えられるといいのではないかということでしたね。今日の相談を振り返ってどうですか?感想や、今の思いを聞かせてください。

Cl: そうですね。だいぶ見通しが持てて、安心しました。仕事はすぐに増やさなくても大丈夫だなとも思えたし、フリーランスについてもまだ気は進まないですが、始めておいた方がいいなとも思えたし、自分の老後のことも踏まえて働き方を考えないといけないんだなという気づきも得られました。

Co: よかったです。まずは仕事に復帰されるとのこと、改めて、おめでとうございます。無理せず徐々にペースを取り戻してください。また、ぜひ、社労士の年配の方のキャリアについても調べてみてください。調べる方法は、なんとなく見当は付きますか?

Cl: はい。社労士会の情報もありますし、いくつか調べてみることはできると思います。

Co: そうですか。それでは、今日はこの辺りで終わりにさせていただければと思いますが、いかがですか?

Cl: はい。大丈夫です。ありがとうございました。

Co: ありがとうございました。

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