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あなたの思い出買いますから(仮)④

 バスケットの中を見るとこの匂いのワケがわかった。紅茶が茶葉が入っていたからだ。それも高級そうな英国紅茶。 もしかしたら何十年も時を経てこの中で忘れさられていたのかもしれない。
 多分あの息子さんのお母さん、つまりおばあさんのものだろうから、置いてある場所から考えるとかなり背の高い人が上にあげたのだろう。
おばあさんの旦那つまりおじいさんが上げたのかな?
と、頭の中にお爺さん像が浮かんだ次の瞬間、後ろに気配を感じた。
え〜〜⁈まさか、、、またか。

振り向くのは気が済まなかったけど無視するとめんどくさいことになるので振り向いた。

案の定そこには座っている僕の目線に合うように腰をかがめて顔を近づけてきた老人がいた。

「はぁー。訳アリかぁ〜。」
思わず声が出た。

だから気になっていたんだ。いつも後回しにするキッチンの片付けを今やっているのは、このバスケットのせいだったんだ。

前に話したように僕は見えるのだ。その、幽霊が。

「君はなにをしとるんだ?そのバスケットは、ばあさんのもんじゃ。」

話しかけてきた。おじいさんだよね。当たり前か。ばあさんって言ってるのだから、でもなんでこのバスケットを開けたら出てきたんだろう?

普通は、その曰く付きのそのものの近くに見えてるのだけど、バスケットを下ろして開けるまで見えてなかったとか珍しくて驚いた。

気配を隠していたのかな?
それとも僕のことを品定めしていたのかな?

おじいさんと少し話してみて後でわかった。後者の方だった。

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