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Coffee story 番外編【ホットココア】

【Mr.ココアマン】④
チューニングも終わり、さあ、今日の相棒はどんな音を奏でてくれるかちょっと試しに歌ってみる。

荒れた地の果てに
ボクはいたんだよ
星も月もない
風も音もないとこだった

膝をかかえて いたんだよ
ただうずくまって いたんだ

見つかっちゃった
見つけちゃった
光りを連れて来たんだね
光りのなかに行くんだね

二人手を繋いだら
胸の鼓動が熱く鳴りはじめる
二人歩く道のうしろには銀色の音楽が鳴りやまない

見つかっちゃった
見つけちゃった
星も月も連れていく
風も音も 生まれてくる

二人歩く道の彼方には
あふれる愛が顔を出す
二人歩く道のうしろには
銀色の音楽が鳴りやまない

見つかっちゃった
見つけちゃった
星も月も踊り出す
銀色の音楽に 踊り出す

銀色の音楽に狂ってく

うーん。今日もいい鳴りをして
るな。

パチパチパチパチ

その時だった。仄暗い部屋の入り口から薄い銀色の帯と一緒に誰かが拍手をして入ってきた。

沙耶⁈沙耶なのか?

逆光でシルエットしか見えなかったのでもしかしたらと思って思わず俺は呼びかけた。

「沙耶!沙耶なのか?」

「え⁈ 沙耶、なんで沙耶のことを知ってるの?沙耶の、沙耶のことを!!なんで知ってるの⁈」

はあ?沙耶のことを知っている人なのか?逆にこっちが聞きたい。俺はギターを置いてその人に近づいて行った。

近くなるにつれてやっぱり銀色が強くなっている。まるで沙耶と同じじゃないか!
その人も俺に近づいてきて顔を合わせた途端お互いめちゃくちゃ驚いた。

「あ、あなたココアの人!」
「カフェの、あのカフェの店員さんじゃないですか!?」

こんな偶然あるのか?
この人が、沙耶のお姉さんだったなんて!!

#小説 #ミュージシャン #ギブソン

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