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実務のハナシ。広報の取材案件があとあと知財業務に役立っちゃったりも。

意外なネーミングが商標登録されることもあります。ある業界では当たり前に使われるような言葉も特許庁の審査官にとっては「新規性」が感じられることもあるのか、なぜか商標登録されてしまうものもあります。他者が意義申立てをする期間があるのですがそれを過ぎてしまうともうどうしようもありません。実は昔そういう状況が実際ありました。ある言葉が登録されたのを知って「えーーっ! なんでこの言葉が登録されてしまったの!? 菓子の世界ではみんなで気楽に使っているようなこの言葉が‥なんてこと‥」ということがあったのです。みんなでおだやかに共有するような、あえて一社のものにしないでふわっとさせておくような、(登録なんてできないだろう、業界の「いろは」みたいな言葉だし)と高をくくっていた部分もあるような。とにかくそんな言葉が。で、問題はその言葉を使った商品がうちには当時存在しており。これはまずいです。その言葉の商標を取得した会社もいきなりうちに対して商標の使用禁止を言ってはこないと思いました。おそらく荒立てたり使用料を請求したりそういう意図はなさそうと感じました。実際無かったです。でも、怖いのはそこの社長の代替わり。知財の責任者の代替わりです。昔の経緯なんかを肌で分かっていない人にバトンタッチしたときが怖いんです。ビジネスライクにスパッとこられる可能性も出てくる。ただし、この件に関しては安心していられる材料があったのです。というのは、「先使用」を主張できる材料があったのです。うちの部門は広報の仕事をしていますのでその商品が掲載されているいろんな雑誌や新聞を保管しておりました。何十年も前の紙媒体です。これが「ずっと昔からこの商品名を実際に使用してきましたので」という証拠になるわけです。いざとなればこの色あせたような日焼けしたようなセピアの一歩手前みたいな色の雑誌や新聞が品名を使い続ける権利を守ってくれるのです。スキャンしてデジタル化したものだけしか手元になかったら危ないかもしれません。やろうと思えばデジタル画像なんてPhotoshopでいかようにでも加工できちゃいますもんね。でも紙媒体そのものはまさに現物。強いです。知財の担当をやっている人、新聞や雑誌に自社商品のことが掲載されたりしたときには全部デジタル化して紙は捨てちゃうなんてのはもしかしたらもったいないかもしれません。というお話でした。











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