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2017年ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』感想

2017年ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(脚本・原案/金城一紀)観賞。ハードボイルド! 警視監、鍛冶(長塚京三さん)が創設した特殊技術を持つ特捜班たちの活躍と苦悩を描く。稲見役の小栗旬さんが主演。少々女にだらしない稲見とは正反対のストイックな田丸役に西島さん。そこに特殊な嗅覚を持つ樫井(野間口徹さん)、サイバースペシャリストの大山(新木優子さん)が在籍。まとめ役、吉永に田中哲司さん。

元自衛官だった稲見は消し去れない傷を持ち、除隊して特捜班に所属したが最終的に自分の傷と向き合わざるを得なくなる。
西島さんが演じる田丸は、雰囲気的に抑えた口調で『MOZU』の倉木を思い出しましたが田丸の方が、より冷静であくまでも自分のペースを保ち、仕事とは関係のない小さな揉め事には決して深入りしない。反対に感情的になりやすい稲見のことを過去も含め、深く理解しており、目と目で会話してしまうような静かで熱い友情もある。

田丸は犯人に一切ためらいもせず向かっていく。その姿はとても怖いがシャープな魅力を生んだ。そんな鋼のような鋭い強さを持つ田丸が、愛してはいけない相手(石田ゆり子さん)に対し、明らかに惹かれているのに、最後までぶれることなく自分の意志を曲げなかった。その強さは却って透明感のある哀しさを大きくし、とても美しい物語となっている。

基本的に1話完結ですが事件の規模が映画級に大きく、しかも現代を予期していたかのような展開なので驚愕する。更に解決したと思っていた事件の本当の敵は別にいたのだと気づき、その掌の上で踊らされていた、と知った彼らは今まで自分たちが護って来た「相手」に対し、怒りの眼差しを向ける。
命を共にして来た特捜班の絆は強い。彼らはこれから何を護るのか、何を破壊するのか、答えは明かされないままドラマは唐突に終結を迎え、心に澱が溜まって行くような重さを残し、ラストはこちらの判断に委ねられる。

非常にノワール的なドラマだった。続きがあるのならもちろん歓迎する。けれど、私はあの答えの出ないままのラストがいいと思っています。

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背が高い……足が長い……

疾走感のある主題歌。良く伸びる高音のボーカルが魅力的。


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