この度、我が身に降りかかった災難を聞いてください。

午後6時半
宅配便の再配達を午後7時以降に設定したため、仕事を早めに切り上げ帰宅。夕食を食べ久々の早い時間の帰宅に少し居間で寛ぐ。
妻は同僚とご飯らしく23時くらいまでは帰ってこないそう。
21時からMTGが1件入っていたが、それ以外は自由気ままな時間。

午後7時
宅急便が来てくれた。
宅配便の方が「宅配ボックスが上手く鍵がしまらなくて〜」と再配達になった理由を説明してくれた。
また見ておきますね、と返事をした。
外は雨が降っていた。

午後7時10分
玄関の前に置いてある宅配ボックスを見に行った。
特に異常はなく「なんだ、特に変なところないやん」と家に入ろうとする。
その時に気付いた。
何も持たずに外に出て、玄関と扉を閉めてしまった。
我が家はQrioを使ってオートロック化している。
鍵を開けるにはスマートフォンかスマートウォッチ、もしくは通常の鍵が必要だが、何もなかった。
さらに財布も持っていなかった。完全に手ぶらだった。詰んだ。

※ここからの時間は推測です。
午後7時15分
隣の部屋の方がお出かけのようで部屋から出てきた。
事情を説明してスマートフォンを貸してもらうことにした。
お孫さんが遊びに来てるらしく、本当に申し訳なかった。「あの人何してるのー？」と子供の無邪気な疑問が胸を刺す。
とりあえず何とか覚えていた妻の電話にかけるが繋がらなかった。
泣く泣くお隣さんを見送った。

午後7時30分
マンションの1Fに降りる。20棟くらいある団地だから誰か1人くらい歩いてるだろうと期待していたが、かなりの大雨で全然誰もいなかった。
なにせ傘もないし、最寄りのコンビニまでも3分ほどはかかる。流石にびしょ濡れでコンビニに駆け込むのは事件性が高すぎる。かと言ってスマホを失った現代人は無力だ。ちょっと待つことにした。

午後7時40分
ようやく1人歩いてきた。
年配の女性だったが流石にスマホくらいは持ってるだろうと声をかけた。
「すみません、スマホ貸してください！」
明らかに間違えたとわかった。
顔が怪しんでいる。そりゃいきなりスマホ貸してと声をかける奴は怪しい。
「も、持ってないです」と言いながら足速に去っていった。

午後7時50分
反省をした私は頭の中で考えた。
私は誰で、
今どうなってて、
どうしたくて、
あなたのスマホを借りたいのか
を明確に説明するんだ。
そうすればきっと怪しまれない。

次は男性の方が部屋からゴミを捨てに外に出てこられた。
すみません！と声をかけ名乗った。
つもりだったが、
「私はここに住むこうづと申すものなのだが・・・」
ついつい焦って名乗りを上げてしまった。
なんとか最後まで説明したところで、男性は
「ごめん今スマホ持ってないねん」
また失敗した。

午後20時
若い女性の方が向かいのマンションに帰ってこられた。
既に何度か辺りをうろついてびしょ濡れになっていて、私が逆の立場だったらこれに声をかけられたら即不審者認定されると思う。
雨で濡れた髪を整えて、姿勢良く、落ちついて事情を説明してようやくスマホを借りることができた。
この方には本当に感謝しかない。
借りたスマホで鍵屋さんに連絡し、来てもらうことになった。

午後20時10分
この時間は正確である。
郵便局の方が私宛の荷物を持ってマンションを訪れていた。
事情を説明して、荷物を受け取ろうとしたら
「身分証はお持ちですか？」
と言われた。
ない、と伝えると「お渡し出来ません」と言われたため、「では、ここにお願いします」と足元の宅配ボックスを指し示す。
自分の目の前で宅配ボックスに入れられる荷物、南京錠で施錠される。とても変な空気で心苦しい。鍵は家の中だからまだ開けられない。
帰り際に郵便局の方に時間だけ教えてもらった。

午後20時30分
鍵屋さんが到着。
特殊な治具でものの5分で解錠してくれる。
見事な5分の解錠ショー、見学料は4万円(泣)
無事帰宅。

午後20時45分
スマホと鍵を持って、宅配ボックスの中の荷物を無事に回収。

普段は同じ状況になってもバックアップを用意していたが、それを一度回収していた時に起きた災難でした。
皆様も鍵にはお気をつけください。
困った時は、私は誰で、今どういう状況で、何がしたくて、あなたに何をして欲しいのか。
を落ち着いて、見た目をできる限り良くして、声をかけることで不審度を軽減できると思います。