エコフィードといっても楽じゃない
混ぜ屋といっても、何でも屋といった側面のある弊社
そんな弊社でも珍しい内容の話があった。
というのも、リキッドフィードをしているところで、
pH3という非常に酸性のものが出来てしまい、豚が食べないとのこと。
中和する為に食品添加物の水酸化カルシウムを混ぜて、
ある程度中和して豚に与えているということだった。
水酸化カルシウムを与えることは問題ではないが、
食品添加物だから使っていいということではない。
(飼料としての届出が必要だが、今回はいい)
では、pH3にという状況になってしまった、
リキッドフィードについて、つらつらと書いてみようと思う。
環境に配慮して、食品ロスを削減するという目的で、
食品残さなどを利用して製造されている飼料がある。
エコフィード(eco-feed)と呼ばれており、
農林水産省としても推進している事業の1つなのだ。
エコフィードだが、昨今のSDGs関連の事柄もあり、
推進を進めていきたいということもあるのだろう。
エコフィードといっても、
パン屋から出たパンの耳をそのままとか、
コンビニ弁当を賞味期限が切れたからそのまま、
なんてことは出来ない。
細菌やウィルスといった、病気の原因となる病原微生物汚染の対策として、安全確保に関して、ガイドラインもある。
安全確保に関するガイドラインにおいて、
加熱処理に関して、2つある。
①豚用飼料
②豚以外の飼料
ガイドラインにおいて、出てきた、
「動物由来食品循環資源」
という言葉が重要なのだ。
「動物由来食品循環資源」というのは、
とても大雑把に言うが、肉に接触した可能性がある食品残さはすべて、
加熱処理をして飼料として再利用しなければならない。
ということである。
つまり、ニュースで取り上げられていた、
広島の高校生の取り組みが紹介されていたが、
与えているものはきのこであり、肉に関連するものではない。
三重の高校生の取り組みが紹介された上の動画では、
与えているものは、酒かすであり、肉に関連するものではない。
だからこそ、加熱処理を行う必要もないし、
カビが生えるまでに給与できるので、保管も考えなくてよい。
正直に言うのであれば、こういった”ただ与えるだけ”のエコフィードというのは簡単で非常に効果的な方法ではあるのだ。
食品残さの種類において、
が副産物が記載されているのだが、大半は前々から利用されていたらしい。
しかし、飼料メーカーや混ぜ屋のプレミックスメーカーでは、
それらの全てを利用する事は出来なかった。
なぜ、利用しきれなかったのか
それは、「保存性が良くないから」
福井県の畜産試験場において、
発酵ビール粕を保存する為に試験をしているが、
・10月~11月の秋試験でも2週間
・7月~8月の夏試験では1週間
でカビが発生し、品質に問題が発生している。
https://www.fklab.fukui.fukui.jp/ts/manual/cow2_m.pdf
↑
福井県の畜産試験場の試験結果
カビが発生するのも納得で、水分量が60%以上あるのだ。
(ビール絞ってても、60%以上もあるのかという驚きだが)
混ぜ屋で作る製品は、水分量が13%前後でなければ、
カビが発生してしまう。
17%にでもなれば、カビが生えてしまい、製品を製造したのにも関わらず、
廃棄しなければならない。
そのためには、別途乾燥機などを使って、乾燥させるため、
エネルギーコストなどが発生してしまう。
で、水分量が多くても、乾燥といった方法で、処理を行わなくてもよい
そんな夢のように思える方法が、発酵リキッドフィードに加工するのだ。
で、そんなリキッドフィードに問題がないわけではない。
それを既に記事にしている人もいる。
で、やっと本題である、今回のpH3になってしまったリキッドフィード
なぜ、そうなってしまったのかということについて、
2つの可能性がある。
①ギ酸を添加しすぎている場合
酵母発酵を抑制する為に、ギ酸を入れているのだと思うが、
このギ酸を入れすぎている場合
②異常発酵してしまっている場合
乳酸菌によって、乳酸発酵が進みすぎてしまった可能性もある。
であれば、プロピオン酸を添加する事で、異常発酵を止めるという方法もある。
長々書いたが、発酵リキッドフィードの製造は簡単なことではない。
しかし、酸っぱいものが好きな豚には、非常にメリットがある。
(子豚は酸っぱいが得意ではないらしいが)
だからこそ、上手に発酵を制御していくのに、ギ酸やプロピオン酸を
上手に活用いただきたい。
ちなみに、弊社ではギ酸とプロピオン酸の混合液体を原料として使っている。
そういった製品で手助け出来たら良いのに、とも思う。
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