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【デザイン事例】Japan Startup Finance 2020のデザイン、ここを見て!

こんにちは。スタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL(イニシャル)」のデザイナー、廣田(@nacchin777)です。

急に思い立って、久しぶりにnoteを書いてみることにしました。もう1年以上、新しい記事を書いていないという怠けっぷりです。

お題は、2月4日に公開したJapan Startup Finance 2020の製作裏話。デザインのここを見て!って話です。

ご存知でない方のために補足すると、『Japan Startup Finance』は、INITIALが年に2回発行している国内スタートアップの資金調達動向をまとめたレポートです。

1年分をまとめたアニュアルレポートと、半期分のレポートの年に2回です。これね、1年分のアニュアルレポートの方が、データの種類も多いし、より詳細にまとめるので、半期分よりも大変なんですよ。

半期分が30ページ強で、1年分が80ページ弱。ページ数だけ比較しても、全然違うでしょ?

これは余談ですが、2年前の2018年版レポートをデザインした時も、いろいろ伝えたいことがあって、途中までnote書いてたんでした。それは今も下書き状態です。もう、世に出すことはなさそう。。。苦笑

よし、今度こそは!笑

レポート自体はこちらからダウンロードできます。スタートアップに興味がある人もない人も、ぜひご覧あれ。

2020年版のチャレンジ

毎回、何らかの新しいチャレンジをしてるんですが、今回の大きなチャレンジは何と言っても、スピード公開すること。

ユーザベースが大事にしている7つのルールに、「スピードで驚かす / How fast? Wow fast.」というのがあります。どの事業部でもそうですが、INITIALも負けることなく、この精神がチーム全体に行き渡っています。

おかげさまで、2019年版の公開は4月でしたが、2020年版は、なんと! 2月4日に公開しました。チーム全員でがんばった。

その1週間前には、速報としてNewsPicks上でいくつかのデータを盛り込んだ記事を公開しています。うん、すごい。

デザイン面でのチャレンジはというと、昨年4月入社のえりりんこと石丸さんにイラストを描いてもらうこと。えりりんは、INITIALのコンテンツデザイナーであり、イラストレーターでもあるんです。

デザインもできる、イラストも描ける。そんな稀有なデザイナーが入社してくれたんだから、そのエッジを活かさない手はないですよね?

こんな流れでつくったよ

デザイン面でのチャレンジの詳細に入る前に、まずは、作り方のおさらいから。

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うん、チーム一丸となって、よくやった。
それぞれがそれぞれの仕事を完璧にこなす。細かな擦り合わせをせずとも、見ている未来は同じ。なので、一直線に完成までこぎつけました。すごい省エネだった思う。笑

細かな打ち合わせがないことに、途中、シニアアナリストの森が「あれ、大丈夫かな?」と不安になったらしいけど、それは無用な心配だったようです。笑

えりりんが描く、スタートアップの世界

イラストを描いた本人ではないので、このパートを書くのもあれかなあ、、、と思ったんですが、このパート無くしてこのnoteは成り立たないので。(あとで、本人にレビューしてもらおう。)

2020年の集計データを先んじてチェックしていた森からは、データを見てのインスピレーションで、

「2020年は強さだ!」「ブームで終わらない、土壌の強さ」

...とアドバイスが。← いつもこんな感じです。笑

その背景には、森のこんな分析が。

コロナで暗雲が立ち込めたが、資金繰り支援、投資家のつなぎ支援と投資回復の速さ、IPOの立ち上がりの速さ、大きいIPO・海外投資家など投資の分業化の動き。そこに、ブームで終わらない、土壌の強さが出てる。

さて、レポート全体で方向性は決まったものの、えりりんのイラストをレポートのどこにどうやって取り入れようか。

2020年のハイライトか、
2020年の重大ニュースか、
あるいは、表紙や中扉か。

使う場所によって、どんなイラストを描いてもらえばよいか? サイズ感は? ストーリーは? 時間はどれだけか使える?

などなど、頭の中でぐるぐると考えた末、表紙にどーんと1枚の絵を描いてもらうことにしました。

そう、「イラストを描く」というよりも、「絵を描く」感じ。
それ自体で完結した1枚のポスターのように。

そしたらね、完成のイメージがどんどん膨らんできたの。
森が示した「強さ」や「明るさ」「期待」に加えて、コロナで働き方が大きく変わった時代の「試行錯誤中のカオスさ」とかも出したい。

そう、スタートアップの世界をぎゅっと詰め込んだ、賑やかながらもカオスな世界を。。。

手元にある雑誌やBehanceで見つけたイラストを見せながら、えりりんに必死に自分の中のイメージを伝える。

そしたら、数日後には、「こんな感じですか?」とラフを描いて見せてくれました。なんと!

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それを見ながら「そうそう、まさにこんな感じ!」と感動し、「じゃあさ、この絵の中にINITIALとユーザベースのロゴも入れちゃおうよ」と、またアイデアが出てきて、二人で盛り上がってました。

このラフはチームのみんなにも共有。おかげで、どんなレポートになるのかを、みんなに伝えることができました。

毎日の朝会で、えりりんが進捗を見せてくれるのも楽しかったです。

そして、でき上がった表紙がこちら。
いやぁ、、、期待以上! えりりんらしい個性もいっぱい感じられる仕上がり。

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空にはドローンが飛んでいたり、ロケットが打ち上げ間近だったり、実験中の研究者がいたり、フードデリバリー中の配達員がいたり。

目指していた「カオス」が見事に表現されてるでしょ?笑

表紙に続く、目次やハイライトページでは、この表紙にあるいくつかのイラストを利用してデザインしました。

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ストーリーを詰め込んだ、2020年のピックアップニュース

2020年のスタートアップシーンを象徴する「2020 Pickup News」。このページも、いろいろ仕込んであります。

このレポートの最終形はPDF。多くのユーザーが、Adobe Readerやブラウザでこのページを縦に連ねて見るはず。... としたら、ページが分かれていても、縦に流れるストーリー仕立てでこのページを見ると楽しそうだよね。

ってなわけで、まずはページ全体をこんなふうに設計しました。

・ページの背景に「2020」を忍ばせることにした。スゴロクっぽく。
・4ページ構成にして、各ページに数字を一つずつ忍ばせようとした。
・忍ばせる数字は「2020」。スゴロクっぽく、つながった状態で。
・だけど、途中で、3ページ構成に変更しました。理由は、ページをまたいで数字を配置する方が、「続いている」感じがよく出るから。← これ、森のアイデアです。

(最終形は、スゴロクっぽくはならなかったけど。。。苦笑)

続いて、ニュースの内容とリンクしたイラストを、ストーリーを考えながら配置していく。ちなみに、ここのイラストは、えりりん作ではありません。(えりりんには、表紙イラストに全エネルギーを注いでもらったので。)

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1ページ目:1月から3月まで
2月ごろからコロナの影響が出始め、3月以降、18社が新規上場を中止に。そんな様子を表すのに、ジェットコースターで急降下しているイラストを使いました。そのジェットコースタが落ちた先は海の底。。。ブクブク。。。ここで、次のページへ。

2ページ目:4月から6月まで
緊急事態宣言が発令され、日本が、世界全体が不安に覆われる時期。それを、海の中で思うように息ができない苦しさや、綱渡りの不安定さを描いたイラストで表現。そして、6月の明るいニュース「上場再開」。この背景のブルーは、もう海の底ではなく、空を表す青に。(まっ、あんまり違いが出ていないけど。苦笑)

3ページ目:7月から12月まで
1200億円の官民ファンドの設立や、100億円以上の資金調達がスタートアップ界隈を賑わせ、12月には時価総額が1000億円を超える大型上場のニュースが飛び込んできました。それぞれの場所に、それを象徴するイラストを配置。1つ目は大きな岩を持ち上げるとお金が出てきたイラスト(大型ファンド)、2つ目は宝箱からキラキラのスターが飛び出したイラスト(大型の資金調達)、最後は山の頂上に旗を立てているイラスト(大型のIPO)を用いました。

まあ、都合よく、良いイラストが見つかったものだと思います。笑

ここで紹介したページ以外にも、CVC虎の巻シリーズの人気記事「今から学ぶCVC。3大課題から紐解く」など、デザインの力を強く感じられるレポートに仕上がっていると思います。結構、周囲の評判も良いんですよ。笑

しつこいですが(笑)、ぜひぜひご覧あれ。

最後はやっぱり...

当たり前ですが、前回よりも2ヶ月も早く、決してクオリティを落とさず(むしろ上がっている)公開できたのは、デザインの力だけではありません。

日々のリサーチで集積される貴重なデータの力。そこには、データを効率よく収集するテクノロジーの力があり、データからインサイトを導き出す分析・編集の力があり、それを必要する人たちに熱く届けるマーケやセールス、CSの力があり。

何ひとつ欠けても、このレポートは完成しませんでした。
チームの力って、本当にすごいです。感謝ばかり。

そして、最後はやっぱりこれ。

そんな創造性いっぱいのこのINITIALで、一緒に働きませんか? 楽しいこと間違いなし。
少しでも興味が湧いたら、こちらからご連絡ください!!お待ちしています!

もうひとつ宣伝。
このアニュアルレポートをもとに、解説セミナーを開催します。奮ってご参加ください。

おしまい。

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