家族の功罪。幸せな記憶と苦しい未来。

時間があるときにしか書けないネタを。

つらい思いを整理しよう

以前から小出し小出しにはしているのだけど、私の身内には犯罪者がいる。

当然だがこれは、相当な苦しみを、身内にもたらした。

 

書けるようになるまでかなりの時間がかかった。

過去形にしてみたものの、まだ心の整理はついていない。

だれど、少しづつ文字にしていくことで、客観的に自分自身に整理をつけていこうと思っている。

 

私たちが失ったもの

失ったものはたくさんある。

ざっと書き出してもこれくらい。

・家族(一家離散になったため)

・実家

・上記の二つがある前提で考えていた未来

・旧姓(これは失ったというより、忘れることに)

・親族との良好な関係

・古い友人関係

・細かな思い出の品(失って初めて気がついたが、捨てるほどではないが大事なものというのが、どの家族にもおどろくほどたくさんあるのだ)

・様々な手続きに要したお金

 

書き出してみてわかった。

私たちは多くを失った気でいたが、物質的に失ったものは、言葉にすると多くないのだと。

 

もちろん家を失うことや、貯金から様々なものを捻出したことで失われたものは多い。

だけども、言葉にするとそれも大したものではないように見える。

これこそが言語化することのメリットなんだな、きっと。

 

失ったもののうち、永遠に失われたものというのは実は少ないのだろう。

唯一無二のものといえば、思い出の品くらいか。

一番ダメージとなる人間関係の部分は、その気になれば取り返すことも不可能ではないのだろう。そう信じたい。

 

つまり失われたものは、それらを失ったことを悲しむようなものではない、はず。

それよりも、これから書く、新たに得たものの方が問題なのかもしれない。

 

私たちが得たもの

「得た」というとなんだかポジティブなイメージが…、私達が今後背負うものと言うべきか。

そう、私たちは多くを失ったと思っていたし、不幸なのはその点(失ったということ)だと思っていたが、実際にはそれによってもたらされたものの方がずっと重く残り続けるものだったのだ。

 

得たもの。

・当事者への憎しみ

・当事者への哀れみ

・当事者へのとめどない疑問

・自分に潜む悪の恐怖

・周囲からの視線

・思い出も含めた過去全てに対する疑惑

 

基本的に、考えても答えの出ない問いが多い。

なぜ?という気持ち。これが一番強い。

なぜこんなことをしたのか、どうしたらよかったのか(防げたのか)、そして、今何を思っているのか。

これはきっと、私は死ぬまで考えていくのだと思う。

そしてきっと、口には出さないけれど、家族だった人間はみな考え続けていくのだろう。

得たものというのは、この経験によってつけられた傷跡と、当事者にまつわる消せない記憶だ。

 

答えの出ない問いに関して、少し追加すると。

この件が発生したあと、和歌山カレー事件の林容疑者の息子さんのインタビュー記事を読んだ。

そこで、彼も全く同じようなことを言っていた。

『お母さん、ほんとはどうなん?お母さんがやったん?なんでなん?』といったような問いだ。

 

別記事でそのことにも触れたいと思うが、これがあって以降、犯罪心理学と加害者家族についての関心が高くなっている。(当たり前か)

今後これについてはもっと勉強していきたい。

 

元家族であることの苦しさ。家族という存在

タイトルにもつけた、「家族の功罪」。

なぜ功罪かというと、家族というのが、これほどやっかいなものであることを知ったからだ。

 

今、正直な自分自身の気持ちを言うと、当事者が憎いのかどうかわからない。

本当にわからないのだ。これが正直な気持ち。

 

その罪と、私が想像する範囲での本件の原因を、ずっと考え続けてきた。

答えは出ていないけれど、現段階での私の整理としては、恐怖と無知が生んだ犯罪なのではないかと思っている。

これについては長くなるので、別記事でもっと掘り下げていく予定だ。

 

で、憎いのかどうかわからない、というのがやっかいなのだ。

どう考えても憎むべきなのに。

その原因を考えたとき、それが純粋な悪ではなく、恐怖と無知によるものであろうと結論づいてしまうところが、結局のところ身内であるという証なのだろうと。

一時期私は絶縁を宣言していた。今も形式上絶縁の姿勢を取っている。

 

そんな私でも、憎み切れていないのだ。それが家族なんだろう。

こんなに非論理的なことがあるだろうか。

 

愛着って怖い。

美しい思い出って怖い。

罪の前後できれいに態度を変えるとしても、完全に憎み、見捨てることは、思うよりもずっと難しかった。

 

家族って、怖い。

大事なものが増えるというのは、本当にこわいことだ。

そして、こんなに恐ろしいものを、今自分は構築しているのだ。

 

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