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【スポーツ共創実践レシピ】未来の中園町の運動会

概要

2022年5月、山口市中園町に位置する旧金子邸(古民家住宅)にて、未来の運動会としては初となる、家での運動会を開発し、開催した。

開催スケジュール

①スポーツハッカソン参加のための道具説明会
2022年4月29日(金)18:00〜20:00 @YCAM
②スポーツハッカソン
2022年5月6日(金)11:00〜18:00 @山口市中園町 旧金子邸
③未来の中園町の運動会
2022年5月6日(金)11:00〜18:00 @山口市中園町 旧金子邸

参加人数

  • 参加者(スポーツハッカソン デベロップレイヤー&運動会出場選手)
    8人

  • ゲスト運動会出場選手
    2人

  • スタッフ(プロデュース、ディレクション、制作進行等)
    3人

  • スタッフ(広報、支援など)
    2人

  • 準備スタッフ(設営、バラシ等)
    約10人

  • 観客
    約20人

主旨・目的

この未来の運動会は、YCAMが市民と協働しながら実施するアートプロジェクト「meet the artist 2022:メディアとしての空間をつくる」の一環として開催された。
民家をメディア空間として活用するために、YCAMがこれまでに開催してきた「未来の山口の運動会」を旧金子邸で実施したいという思いが発端となった。
また、民家で開催するにあたり、「家での運動会はどのようなもか?」や「運動会の最小単位はどれくらいか?」を探究することも目的として挙がった。

開催までの流れ

3月上旬に、YCAM渡邉さんから廣田に運動会を開催したいという相談があった。その後、複数回にわたり話し合いなどをして、「なぜ運動会を開催するか」や、「運動会を開催してどうしたいか」などのディレクションに関わる部分について認識の共有が行われた。

初の民家を使ったスポーツハッカソンと未来の運動会の開催であることや、参加者像や参加者層が多くの未来の運動会のそれらと異なっていること、また本運動会特有の開催目的などを反映した、運営・開催方法(目的達成のための手段)を検討した。それと同時に、必要物品の購入や各所へのアポイントメント等もおこなった。

スポーツハッカソン参加のための道具説明会

スポーツハッカソンと未来の運動会を開催するにあたって、スタッフと参加者共に、「なぜ運動会を開催するのか」や「なぜ運動会に参加するのか」を共有し合ったり、スポーツハッカソンにて皆でスポーツをつくる(スポーツ共創)する時の、道具について考える会をおこなった。

これには、家での運動会開発という特徴や参加者層などからして、本イベントでは、スポーツを構成する要素(ルールと道具)のうち、道具が重要になるというディレクションの意図がある。

スポーツハッカソン

各々の参加理由・目的やスポーツ・運動会に対する思い等を共有し合ったのち、運動会種目を開発するスポーツハッカソンをおこなった。

頭の考えるだけでなく、複数人で意見の出し合いや開発、デモプレイなどを活発におこなわれる(デベロップレイ)の状態が好ましいというディレクションの意図から、個々でのアイデア出しやアイデア分類を早めに切り上げ、チームでの開発に早急に移行する形となった。
ここには、デベロップレイと参加者による「共創」を促す反面、ディレクターの独りよがりな運動会を形成することになってしまったのではないかという問題点がある。

また、運動会種目のスポーツをつくるだけでなく、進行プログラムや安全対策、評価方法など、運動会全体の要素をつくる部分も多く参加者とスタッフが考えながらつくることをおこなった。
しかし、この部分においても、どこまでをスタッフやディレクターの独断(独創)に委ね、どの部分を参加者とともにつくっていくかという境目や線引き(それを含めたディレクション)を適切におこなわなければならなないという課題も残った。

未来の中園町の運動会

スポーツハッカソンでつくられた4つのスポーツを種目とした、運動会を開催した。
MCやDJなどの場に影響を与えやすい係は素人が担っていたり、開催場所や人数が小規模であることからも、それまでの未来の運動会とは雰囲気の違ったものになった。しかし、スタッフや参加者の臨む姿勢は他と同様真剣だった。
また、観客との距離感は近いものとなったが、その大きな要因として、評価したいチームやプレイヤーに対してお菓子を渡す(投げる)「菓子まき」(餅まきを模倣したもの)を導入したことが考えられる。

開発された種目

  • 坊さん転んだゼニまいた
    家での行事から法事を連想して出来上がった種目。
    畳の上にまかれた1円玉を拾いながら「だるまさんが転んだ」をする。

  • はじめてのおつかいGP
    相手チームに商品の色やジャンル金額などを記載したメモを提出して、条件を満たす買い物をしてくる種目。

  • ハイハイ探査機
    目隠しをしてハイハイをしている味方に声だけで指示を出して、家中に置かれたアイテムを回収させる種目。

  • ありがとうクリーニング
    イベント会場(家)に対し「来た時よりも美しく」の思い具現化した種目。
    ぞうきんが取り付けられたスリッパを履いて、家の床などを掃除していくリレー。


クレジット
文:廣田祐也
画像:ヨシガカズマ