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二つの目線で見たバーチャル ル・マン

少し前になりますが、バーチャル ル・マンを見ておりまして、

走るレーサー側と、広告を取るビジネス側で考えたことをまとめました。


正直、eスポーツは面白いですし発展すると思いますが、

今回「限界」とか「リアルに取って代われない」を感じました。


レーサーとしてみるバーチャルレース、eスポーツ

まずレーサー目線です。

私もミッションカート、スーパーカートでレース参戦しており、

昔はレーサーになりたかった身としてみると、非常に面白いですよね。


今までなら幼少期よりカートに乗って英才教育を受け、

親がずば抜けた金持ちか、超がつくほど環境に恵まれないと

レーサーになれない状況だったのが、10代からでも目指せます。

また、スーパーカートレベルで車両が数百万、

ヴィッツや86レベルのレースで年間1,000万円は必要な中、

eスポーツはF1レーサーレベルの機材で100万ちょっと。

維持費もネット回線やゲームのライセンスはありますが年間数万、

これで、実力がありタイミングさえ合えばF1レーサーと競えるんです。

こんなの、今までのレースでは考えられません。

もちろんイベントでF1レーサーやGTレーサーがカートに乗りますが、

大抵は「お遊び」で、本気の勝負をしているとは言えません。


eスポーツ、すごくないですか!?


モータースポーツ界の飛び級というか、ウルトラCです。

今回、バーチャル ル・マンに女性ドライバーもいました。

どうしても男性社会で、団体レベルで「女性進出」をしないと

なかなか女性が来ない業界で、いきなり女性が勝負の場に出たんです。


ただ、eスポーツにも限界を感じました。

今回使用されたゲームは車両の破損がそこまでリアルではなく、

ル・マン恒例とも言える耐久力勝負がありません。

また、メーカー同士の「開発勝負」がないんですよね…

ル・マンで成功してアウディのディーゼルは名を広めましたし、

古くはマクラーレンの市販車、F1だってル・マンで名を広め、

数え切れぬ程の伝説や技術が生まれたのは説明するまでもありません。

この部分がバーチャル ル・マンにはないのかな…と。

もちろん、今後は可能性がありますが、今はないってことです。


また、故障がリアルでないため縁石ジャンプも多々あり…

最高速でクラッシュしたマシンもコースに戻ります。

良くも悪くもアグレッシブになるのでは、と思います。


次は、広告側の話です。先にでたメーカーの話もあります。


広告目線で見たバーチャル ル・マンは…要改善


次に、広告としての目線です。

ネット配信で見る人は増えるし、バナーだって貼れる!と言えますが、

例えばサーキットの装飾はどうでしょうか?

レースに行くとわかりますが、スペシャルな看板やフラッグが立ち

「お祭りしてるぜ!!」って感じがするわけです。

今回のバーチャル ル・マンはその手のバナーなどはありませんでした。


また、レーシングカーも独自のデザインが難しいようです。

中長期的な運用がされればわかりませんが、

専用デザインを作ることも困難な状況ですし、

実際のレースのようにピットウォークもないので、

小さいバナーのスポンサー獲得は非常に困難だと思います。

更にピットでグッズ配布等もできないので、更に広告の機会を失います。


更には先程出したように「開発競争」がありません。

今年、トヨタがWRC用のヤリスを販売しておりますが、

最上位以外のモデルもしっかり売れているようです。

完全にアクアに押されていたのが、復活したのは

少なからずモータースポーツでの活動があったと言えます。

これがeスポーツだと、ここまでの効果も見込めませんし、

そもそもeスポーツ向け開発を実写にフィードバックするのは限られます。

結果、メーカー系はやる気を失うかもしれません。


比較的悪い話ばかりですが、面白い点もあります。

今回のバーチャル ル・マン、私はYouTubeを見ておりましたが、

全世界からコメントがされており、もちろんアクセスもあります。

また、見ているゲームは準備さえしたら自分でもできます。

今までのモータースポーツなら…

免許取って、車買って、ライセンス取って、サーキット用の用品揃えて…

更に車は数十万、数百万かけて改造して、必要なら数千万のレースカーを…

これが、もっと素早くできるわけです。


例えばバーチャル ル・マン中にスポンサー独自で

レースゲームを使ったイベントの告知をしてもいいわけで、

更に世界中から参加を可能にすることで、eスポーツ選手や

参加者がそれぞれファンを連れてきてくれるわけです。

実際のスポーツのように現地に行く必要もありませんし、

チケットを買うこともないので呼びやすいというのもありますし、

TwitterやInstagramなどSNSでスポンサー名と共にイベント告知もします。

手軽だからこそ、参加者が増えて見る人が増えるのは面白いですし、

なんなら今までとは全く違う層にアプローチもできそうです。


さて、eスポーツを見て思ったことをまとめた次第です。

とりあえず、おじさんも遊ぼうかな。


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