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【知っておきたいIT事情】ついに動き出したIT化。話題の不動産テックについて!!

こんにちは!PreVenture編集部です!

突然ですが、不動産テックをご存じですか?
不動産テックとは不動産×ITのテック技術です。「Pro Tech」とも言われており、アメリカなどでは数年前からトレンドになっている分野です。不動産業界はIT化こそ遅れていますが、日本の業界規模で見てみると大きな規模の業界に分類されます。そのため不動産業界には大きな可能性が秘められています。最近では、テレビCMやネットCMも打ち出されるなど、注目を集めています。今回はそんな不動産テックについてご紹介したいと思います。

1.不動産業界とその課題

まず初めに、不動産業界について整理します。
 不動産業界とは、土地や建物にかかわる業界のことを指します。商業施設やリゾート施設、ビルやマンションなどを開発する「デベロッパー」(開発業者)や、注文住宅や建売住宅を扱うハウスメーカー、物件の売買や賃貸を仲介する不動産仲介業者や一戸建てやマンション販売を手がける住宅販売会社、そして不動産物件を管理する管理会社などがこの業界に属します。加えて「ゼネコン」(ゼネラルコンストラクター)のような、マンションやビルなどの建設にかかわる総合建設会社も業界内で重要な役割を果たしています。

課題①:人手不足

この不動産業界は、現代になって複数の課題を抱えています。一つは「人手不足」です。少子高齢化の波はもう止まらず、労働力の供給が厳しくなる一方で、転職のケースで他業界に労働力が流出することも少なくありません。また現場も業務も個々人で力量に差があるという属人性を抱えており、業務の水準を一定に保つことも難しい状態です。

課題②:IT化の遅れ

加えて、「IT化の遅れ」も問題を引き起こしています。不動産業界に限らず、実に様々な業界でテクノロジーを導入することで業務効率の向上が図られてきました。近年大きく進展したデジタルトランスフォーメーション(DX)です。

しかし、不動産業界はその進展が相対的に遅れていると言われています。ITによるデジタライゼーションが思うように進まず、テクノロジーを導入していれば削減できた業務上の工数がそのままに残っているのです。導入したはいいものの思うように活用できず、宝の持ち腐れになっている例も散見されます。

 まとめると、「人手不足」による労働力そのものの低下と、「IT化の遅さ」による向上されない業務効率が、不動産業界が目下解決すべき課題だということです。

2.不動産テックとは

冒頭でも説明したように、不動産テックとは不動産×ITです。ここでは具体的にどのような不動産テックがあるのかをご紹介します。

VR・AR
 VRとARを活用すれば、一度も現地に行かずとも内見を完了できます。内見にVRを使えば、直接足を運ばずとも空き部屋の様子を臨場感をもって確認することができます。またARは、実際に家具を置くイメージを確認できるなど従来ではできなかった内見を可能にしています。VRとARを活用すれば、一度も現地に行かずとも内見を完了できることも少なくないようです。

不動産情報
 不動産業界では、長きにわたって「情報の非対称性」が問題視されていました。不動産の正確な情報にアクセスできるのは不動産業者だけであり、購入を検討する顧客はその正確さを吟味することが難しいという構図が常態化しているのです。最近ではAIアルゴリズムの導入により、データの分析を用いた情報提供を行うサービスも始まってきています。

仲介業務・管理業務支援
 仲介業務や管理業務を支援するサービスも進んでいます。たとえば仲介では、対面で行う必要のあった手続きをWeb上で完結できるシステムが提供されています。管理業務の領域では、分野に合わせた管理システムを用いて業務をサポートしています。

IoT
IoTの活用は、既に多くの場面で見られるようになった身近な事例の一つかもしれません。例えばスマートロックは、鍵の開け閉めやスムーズな開閉をサポートしています。

ローン・保障
不動産取得に関するローンや保障を扱い、それらを提供したり、仲介したり、比較したりするサービスです。例えばITを用いたシミュレーションシステムで、年金額などから保障額を割り出すことができます。

クラウドファンディング
一般の人々を対象に資金を広く調達できるクラウドファンディングですが、不動産テックの文脈から見ると、個人を中心とした投資家から資金を集め、不動産への投資や融資を行うサービスをさすことができます。

価格の可視化・査定
不動産の価格や資産額の算定、将来的な価値の見通しなどを、データを用いて分析します。査定のコストを下げることができ、価格の可視化がしやすくなりました。

リフォーム・リノベーション
リフォームやリノベーション周りをサポートします。具体的には顧客と業者とのマッチング、施工開始から完了までの一貫した支援体制などがあげられます。

マッチング
情報の透明化が目下の課題である不動産業界において、事前の情報不足・コミュニケーション不足でマッチングが失敗するケースはよくあることです。こうしたミスマッチを防ぐサービスがITを用いて展開されています。

物件情報・メディア
キュレーションサイトが話題になった時期もありましたが、不動産テックにおいても最新トレンドや専門家からの高度な知見などが豊富に揃えたサービスが存在します。不動産関連の職種に就いている人はぜひ確認するべきでしょう。

3.不動産テックで注目の技術

ここでは前章で紹介した不動産テックにおいて注目して欲しい技術を紹介します。不動産テックで特に注目して欲しいのが「iBuyer」と「ブロックチェーン」です。この二つは特に伸びている技術で、今後さらに伸びると予想されています。ここではこの二つについて詳しく説明します。

iBuyer

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最初に紹介するのは、「iBuyer」です。iBuyerは主にアメリカで伸びている技術で、これまでの不動産業は仲介が一般的でしたが、iBuyerの場合買い取り再販になる点で画期的なモデルです。

iBuyerとはInstant Buyerからなる造語で、不動産AIのアルゴリズムを用いて不動産の価格を査定し、不動産の売り手から不動産会社または不動産ポータルサイトが直接買い取るモデルを取ります。

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従来の不動産業は、不動産を売りたい側(売主)と買いたい側(買主)の間を仲介業者が取り持ち、双方の相談の仲介をしながら価格を決め、不動産売買を成立させるモデルでした。この従来の取引では、人が価格査定を行うため、売買成立までに時間がかかるという課題がありました。

iBuyerが注目される理由は素早く査定額を計算し、迅速に不動産を売買することを可能にするためです。また安い値段で買い取られる、高い値段で売りつけられるといった心配も少なくなります。

iBuyerは迅速に価格査定を行う買取再販になり、売主の「物件がなかなか売れずに困る」「適正価格がわからない」「内見の対応に追われてしまって思うように売却の準備が進められない」「買取希望者が査定に落ちて購入がキャンセルになった」といった諸課題を解決することから、注目を集めています。

ブロックチェーン

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次に紹介するのが、「ブロックチェーン」です。以前は仮想通貨の管理に用いられていたデータベースの一種でしたが、そこに記入される情報の代替不可能性は不動産取引との相性が良かったので、ここ数年で業界内でも一気に有名になりました。

 ブロックチェーンについて、少々捕捉します。データベースは、これまでは中央集権型でした。データベースの管理者がいたのです。しかし、これからはそのデータベースをそれぞれで分けて(分散)、所持する(台帳)ことができます。そしてそれを参加者全員で共有することができ、情報共有もよりスピーディーに行えるようになるのです。そのため、ブロックチェーンは分散型台帳とも呼ばれます。

 この技術により、契約までをワンストップで行うことができるサービスが生まれました。「スマートコントラクト」です。

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ブロックチェーン上に契約条件を書き込み、条件が満たされれば自動で契約を実行する仕組みです。不動産取引は一つの案件に対してとても関係者が多く、情報のやり取りが複雑化・不透明化しやすいのが特徴です。しかし、そのように多くの契約が伴う不動産取引でも、スマートコントラクトを使用すれば契約書自体の電子化や不動産登記などの複雑な事務手続きも自動化できます。内容の高度なセキュリティによる保存と作業の自動化が、不動産取引において大幅な効率を生んでいるのです。

他にもトークン化された有価証券を発行するセキュリティートークンオファーリング(STO)不動産信託で活用しようという動きがあります。STOにより不動産の小口証券化が可能になりました。最近CMで良く目にする(2022年1月25日現在)JリートもこのSTOによる不動産信託の一つです。


4.押さえておきたい「特定生産緑地制度」2022年問題

特定生産緑地制度とは、国土交通省が定めている都市の農地についての取り決めです。実は2022年になり、この「生産緑地」が不動産に大きな影を落としているのです。ちなみに生産緑地とは、大都市にある指定された農地のことです。1992年に指定されたものがほとんどで、指定後30年間は自由に販売したり、転用することができません。

 ということは、現在「生産緑地」に指定されている土地の80%が、今年2022年に指定解除となります。都市部に存在していた農地が大量に宅地に変わり、不動産市場に流れ込むということです。不動産市場に土地があふれるため、市場内は供給過多になり、不動産の価格が暴落する恐れがあります。これがいま「特定生産緑地制度」をめぐる「2022年問題」と呼ばれている現象です。

今年は不動産価格が暴落する恐れや、それゆえに不動産売買が活発になる可能性があり、一部で注目を集めています。STOなどで権利の民主化が進み、不動産信託も始められるようになることもあり、不動産市場が向こう数年で大きく動くかもしれません。

5.不動産テックベンチャーを紹介

最後に、不動産テックを扱ういま注目の不動産テックベンチャーを3社紹介します。

株式会社アンドパッド

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 株式会社アンドパッドはCMでおなじみの「ANDPAD(アンドパッド)」という建築現場をITによって効率化(DX・デジタルトランスフォーメーション)をする施工管理のSaaSアプリの開発・提供をしています。資料クラウド化や現場のグループチャットなどにより、アナログな業務の多い不動産業界で起こる課題解決に取り組んでいます。


株式会社セイルポート

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物件情報プラットフォームである「キマRoom!(キマルーム)」を提供しています。「キマRoom!」は物件探し、業者間での問合せ、資料のやり取り、広告入稿業務といった業務負荷を軽減し、今までは膨大な作業を同時に行わなくてはならなかった営業の業務効率をサポートしています。


BPM株式会社

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 建物・設備のメンテナンス業務用SaaSツールである「Qosmos(コスモス)」の開発・提供をしています。「Qosmos」は過去の工事情報を蓄積し、再利用することで活用するツールです。これによって、過去の情報だけでなく、現在の情報を整理することで、今まで高コストだった管理業務を最適化することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は不動産テックについてご紹介しました。不動産業界は業界の体質や慣習の存在が強く、IT化が遅れました。そんなレガシー産業であった不動産業界のIT化が数年前から国外では進み始めています。そして日本の不動産業界も、コロナをきっかけとした時代の潮流や、ブロックチェーンなど技術の普及によりついにIT化を進める動きが起こっています。業界規模が大きいだけにIT化による影響も大きなものになると予想されます。ぜひ今後の動向に注目してみてください。

最後に。。。

全体的な傾向として、大手企業が不動産投資などの投資事業を、ベンチャー企業・スタートアップ企業が新しいテクノロジーを活用した不動産テックへ参入しています。また弊社では、転職前にベンチャー適性がわかる診断サービス「PreVenture」も運営をしています。不動産テック領域を含め、ベンチャー企業で働くことに興味がありましたら、参考にしてみてください!


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