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【ライターの仕事】人生を背負うつもりで言葉を紡ぎたい。心構えの話。


仕事じゃなくても縁を繋ぎに行く

少し前、昔の同僚である友人ライターが私が住むエリアに取材に来ると聞き、その現場を見に行ったのですが。

それは、店舗を持たずに移動販売を続ける自家焙煎コーヒー屋さんの取材でした。コーヒー屋さんも私の知人。

私は取材する人と取材される人の顔を見に行った状況で、その場で「じゃあお客さん役でどうぞ」とコーヒー屋さんの私物カゴトランクを渡され、ちょろっと写り。「載せましたよ!」と友人ライターから連絡をいただき、「社会的に許容範囲内のシルエットかどうか」がとても気になっていたので(そこか)。

発売された雑誌を確認したところ、「ギリギリNG」だと判断(私基準)。

この世のすべて全方位に対して、すみません。

いつかのイベントの写真。この日も彼女のコーヒーを買った

「不安だから取材を受けたことがなかった」という話を聞いて

さて。

取材を見に行ったあと、別の日にコーヒー屋さんへ豆を買いに行きました。

移動販売という形でコーヒーのある暮らしを提案しているお店は、女性一人で切り盛り。マルシェが開かれるガーデンの木の下、小さなお菓子屋さんの軒先、古い駅舎など、各地へご自身で交渉に行き、自家焙煎コーヒーを販売されています。楽しくおしゃべりしながらコーヒーを選ぶ時間は特別な物語のよう。

その時に伺った話は印象に残りました。

「今まで一度もメディアの取材を受けたことがなくて。お声がけいただいても、どんな方がどんな言葉を紡いで紹介してくださるのかわからないから、不安で受けられなかったんです。

今回は初めて、文章を書くライターさん直々のアポでした。ライターさんの依頼の文章がとても素敵で、この方になら取材していただきたいなって思えて。

実際に取材を受けて、コーヒーの専門用語も説明なしでするする理解してくださるから安心したし、文章に仕上げてくださったものを見ると、すごく素敵に書いてくださって。良かったなあって思いました」

その言葉を聞いて、これはライター冥利に尽きる案件だと感じ、要約して友人に伝えることに。

それと同時に「どんな人がどんな言葉で紹介してくれるか、わからないから取材は受けられない」という不安を目の当たりにして、人ごとなのに身の引き締まる思いでした。

自分が仕事をするとき、ライターってアポ入れしなきゃいけないから大変だなあと感じることも多いのですが、「あなたを紹介する文章を書くのは私です」というスタンスで依頼することは大事なんだなと体感。

残り少なかったゲイシャをドリップしていただきました。おいしかった

覚悟を持って書きたい

お店を始めた人、続けている人の芯には「覚悟」があるなと常に感じます。

今回のコーヒー屋さん。今は移動販売だけれど、いつかは実店舗を持ちたいという夢を胸に抱き、そのために不動産探しもずっと行われています。その苦労や、苦労が水の泡になる瞬間のエピソード、資金調達の話。それらすべてが「覚悟がなければできない」と感じる困難の連続。

そこまで命をかけて続けている、宝物のような分身であるお店をライターはどう描写するのか。それは未来に関わる大切なことで、その困惑と不安を払拭できる誌面を提案できたとしたら。

いや。

その不安を拭い去るほどに、ライターは覚悟を持って言葉を紡ぐべきだなと思うのでした。

心のこもったゲイシャを飲みながら。

この日はブルンジの豆を買って帰りました。

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地方の出版社を経てフリーの編集ライターとして活動しています。
○地方でライターの仕事を続けるには
○単価アップを叶えるには
○そもそもライターってどんな仕事?
○編集の視点とライターの視点の違い
などについて、自分なりの解釈をしていきたいと思っています。


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