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ゲームクリエイター/渡部健さん

2024年2月9日&16日放送

 今回のお客様は、高知在住のゲームクリエイターで「Nukenin合同会社」代表・渡部健さん(通称・わけん)です!

■ 渡部健(わたなべ・けん)さん
岩手県盛岡市出身。大学院でプログラムを学び「任天堂」に入社!プログラマーとして人気ゲームの開発に携わります。2015年に退職した後はしばらく世界を放浪し、帰国後、インディーゲーム開発者として活動を開始。2023年4月に奥様の故郷である高知県へ移住し、在宅で子育てをしながらゲームの開発を手がけています。

〔 番組収録風景 〕

▶ 漫画家になりたかった少年時代

 子どもの頃は人見知りでシャイな性格だった渡部さん。ご両親の方針により「ゲームで遊ぶのは週4時間以内」という制限があったため、ゲームに熱中した少年時代…というわけではなかったそうです。その代わりに夢中になったのが漫画!父親が漫画好きだったこともあり、漫画を読むことには制限が無かったそうで、将来は漫画家になりたいと思っていました。

 高校時代は絵が上手くなりたいと思って美術部に入りますが、同じ頃に友達の影響でストリートダンスに興味を持ち、ダンス同好会として活動!大学に入ってもダンスを続けるつもりでしたが、進学した大学にはストリート系のダンスサークルがなく、仕方なく社交ダンス部に入部します。しかし、自分が置かれた場所で楽しみを見い出すタイプの渡部さん。社交ダンスに情熱を燃やし、大学最後の大会ではルンバの部で全国第7位という輝かしい成績を収めます。社交ダンスという一つのことに熱中し全力でやり切った経験が今の仕事にも役に立っているそうですよ。

 その後、大学院に進む際「このままだとやばいっ!」と思うようになり、漫画に関係がありそうなコンピュータグラフィックスを研究している大学院に進学。CGやプログラミングの勉強をしているうちに「今の知識を活かせて安定した給料が貰えそうなのはゲーム業界かな?」と感じて「任天堂」の採用試験を受けて合格。プログラマーとして人気ゲーム開発に携わります。

 当時、渡部さんが携わったのは『ピクミン3』や『Splatoon』(凄い)!『ピクミン3』の場合はメインとなる約50人のチームで開発にあたり、紆余曲折がありながら6年ほどかけて完成させたそうです。現在は更に開発規模が大きくなり、ネット情報によると『ピクミン4』には400人くらいの人が関わったんだとか。さすがは世界の任天堂ですねー。

〔 大ヒットゲーム『Splatoon』 〕

▶ インディーゲーム開発者へ転身!

 「任天堂」で人気ゲームの開発に携わったあと、2015年に退職した渡部さん。語学留学でロンドンに半年間滞在したあと、アフリカ、中東、アジア、オーストラリアなどを放浪して帰国しました。当時の様々な体験が自身への貴重なINPUTとなり、後のOUTPUTに繋がっているんでしょうね。

 2016年からはインディーゲーム開発者として活動を始め、翌年にゲームアプリ『ネコの絵描きさん』を発売!お題に沿って書いた絵をコンテストに出して、他のプレイヤーに評価してもらうという新感覚のお絵描きゲームで、漫画家になりたいと思っていた渡部さんの想いが形に表れた可愛くて楽しいゲームになりました!

〔 ネコの絵描きさん 〕

 業界からも大きな注目を集めた『ネコの絵描きさん』はインディーゲームの祭典【Google Indie Games Festival 2018】でTOP3に選ばれ、さらに集英社「ジャンプ+賞」にも選出されて最大1,000万円の制作費を獲得!続編として集英社との正式コラボ作品である『ネコの大喜利寿司』も発売されました。

 また2021年に発売された『にゃんばーカードWARS』も高い評価を受け、【Google Indie Games Festival 2021】でTOP10タイトルに選ばれるとともに「TOHO Games賞」にも選出!この賞が2023年11月に発売された最新ゲーム『ゴジラボクセルウォーズ』に繋がりました。

〔 ゴジラボクセルウォーズ 〕

 「TOHO Games」は、怪獣特撮映画で有名な東宝が展開するゲーム事業レーベル。東宝が持つ数々のIP(知的財産)を使って作り上げるゲームとして選ばれたのが世界的な知名度を誇るゴジラ!1954年の初登場からちょうど70周年となるタイミングということもあり「TOHO Games」としては初めてのPCゴジラゲームとなりました。

 『ゴジラボクセルウォーズ』は、ゴジラを操作して進めていくシミュレーションパズルゲーム!(渡部さんは「ゴジラ詰将棋」と表現しています♪)世界を震撼させ続けてきたゴジラをはじめとするおなじみの怪獣たちが可愛いボクセル調になって登場します。将棋盤のような8×8の盤面を舞台に、謎のキノコ型寄生怪獣マッシュによって乗っ取られた建物や怪獣たちを撃破していく内容のゲームになっています。とにかくプロモーション動画をご覧ください!


▶「Nukenin合同会社」って?

 現在は「Nukenin合同会社」の代表として、いろんな人と一緒にゲームづくりをしている渡部さん。元々は、任天堂(nin)を抜けた(nuke)スタッフで制作することを念頭に「Nukenin」と名付けましたが、今では抜きん出た(nuke)人間たち(nin)が集まって制作するという意味合いも持たせているそうです。

 実際に最新作『ゴジラボクセルウォーズ』では、任天堂時代の同期である椎葉大翼さんが音楽で参加。『ネコの絵描きさん』をはじめとするネコシリーズでは、同じく任天堂時代の仲間であるイラストレーターのことりさんがイラストやグラフィック、UIなどを担当してくれました。お仲間それぞれが専門性を発揮して一つのゲームを作り上げるってカッコイイですね。

〔 にゃんばーカードWARS 〕

▶ ゲームクリエイターの仕事について

 渡部さんが奥様の故郷である高知県に移住してもうすぐ1年になります。自宅にゲーム開発専用の部屋を持ち、生後8カ月の娘さんの子育てをしながらゲームづくりをしているそうですが、娘さんが可愛すぎて仕事そっちのけになることもあるそうです。でも「今この瞬間しか見られないお子さんの成長をリアルタイムに感じられるのがいいところ」なんだそうですよ✨

 今の時代、データの受け渡しや、諸々の打合せはオンラインで出来るので高知で仕事をすることに大きな問題はないのですが、敢えて言えば、ゲームの展示会や勉強会は都市部で開催されることが多いので高知からだと物理的に遠くて参加しづらいことが難点なんだとか…。でもそれ以上に、高知の美味しいものを味わえたり、家族で自然体験に出かけたりできるので、プライベートの充実が仕事にもいい影響を与えているという側面もありそうです。

 渡部さんの場合は、Macbook Proをメイン環境としてゲームづくりをしています。最近のゲームはゼロから作ることは少なくて「ゲームエンジン」と呼ばれるゲームづくりのツールセットのようなものを使って作るのが主流。「ゲームエンジン」には【Unity】【Unreal Engine】という2つの大きなものがあり、渡部さんは【Unity】を使っているそうです。

〔 Unity 画面イメージ 〕

  最近ではゲームクリエイターに憧れる子どもも多く、第一生命が発表した「大人になったらなりたい職業ランキング」では、ゲームクリエイターが、小学生男子で第5位、中学生男子では第4位にランクインしています。

 将来ゲームクリエイターになりたいと考えている子どもたちに、現役ゲームクリエイターの渡部さんからアドバイスをいただきました!

 まずは、いわゆるクソゲーでいいので何か一つゲームを作ってみること。初めは模倣でもいいそうです。例えばテトリスを作ってみようと思っても、ボタンを押して様々な形のテトリミノを回転させるときの反応の速さだったり、左右に動かしたり、落としたりするときの動きをどうするか?など、実際に作ってみて初めて分かる気付きがあるそうです。いまネット上にはゲームづくりのノウハウがたくさん転がっているのでそれを参考にすることで、解決できることもあるし、どうしても分からない・自分だけでは乗り越えられない壁にぶつかったときは、ゲーム制作者のコミュニティに参加して素直に質問するのもいいと思います。例えば【Unity】でゲーム制作をしている人たちのコミュニティに参加して「コレ分からないんですけど、どうしたらいいですか?」などと質問すると、たくさんの方が親切に教えてくれるそうです。まずは一歩踏み出すこと。そして最後までやり遂げる気概を持って挑むこと。ぜひゲームクリエイターの夢を叶えてください!

〔 ネコの大喜利寿司 〕

▶ とってもオモロイ渡部さん!

 渡部さんには『プライムトーク』に出演していただくにあたって、アンケートをお願いしたのですが、とても興味深いことが書かれていたので、時間の許す限り質問してみました!


Q.ミュージカルに出たことがあるってホント?
A.20代後半に、NPO法人コモンビートが開催している市民ミュージカル【100人100日ミュージカル】に出演しました!もともとがダンス好きの渡部さん、たくさんの知り合いが出来て楽しかったそうで、親しい友達からは「わけんは世界一周しても成長しなかったけど、ミュージカルに出演したあとはとても成長してたね」と言われたそうです。

〔 100人100日ミュージカル 〕


Q.シェアハウスを運営してたってホント?

A.任天堂を退職して世界を放浪したあと、日本に戻って神奈川県にあるシェアハウス【ギークハウス元住吉】に住み始めた渡部さん。ギーク(Geek)とは《技術オタク、ITオタク》という意味で、ゲームプログラマーやWebデザイナーなど、いろいろなギークが集まって毎日とても楽しく過ごしたそうです。その後、任天堂時代を過ごした京都にはギークハウスが無いことを知り、IT関連の仕事が多い京都ではギークハウスの需要があるのではないかと感じて【ギークハウス京都東福寺】の運営を開始。京都という土地柄、外国人も多く、いろんな国のギークたちと友達になったそうですよ。

〔 ギークハウス京都東福寺 〕


Q.サウジアラビア人にゲームづくりを教えた?
A.ゲームイベントで知り合った人から「経済産業省がサウジでゲームづくりを教える人を探してるよ」と聞いて「タダでサウジに行けるならいいな」と思って申し出た渡部さん。4年ほど前から毎年この役目をしています。ただコロナ禍もあって当初はオンラインでやりとりするだけに留まっていたそうですが、2023年に初めて現地に入り、サウジの人とゲーム開発をしたそうです。中にはユニークなアイデアを持った人もいたそうで、《スケート靴を履いた主人公が銃でボールを撃ってサッカーをする》という独特の世界観を持つゲームも出来たそうですよ。

〔 サウジにはゲームとeスポーツの街がある! 〕


Q.Podcast配信が趣味だとか?
A.現在、Podcastを2つやってます!
一つは「ゲームデザインの話」というタイトルで、主にビデオゲームのゲームデザインについてゲストと語るというもの。ゲームの仕様や作り方について語っています。
もう一つは「わけんはもっと面白くなりたい」というタイトルで、面白い人と喋ることで自分も面白くなろうという目論見で始めたもの。毎回あるテーマを掲げて専門性の高い話を繰り広げています。
どちらも月に数回、30~60分程度のトークを配信しています。興味のある方はぜひお聞きください♪

〔 ぜひお聞きください 〕

▶ 今後の夢は?

 最後に渡部さんの今後の夢を伺いました。

■ ゲームをヒットさせて好きなことをして暮らしたい!
■ たこ焼き屋のバイトをしたい!
■ 妻と海外留学をしたい!
■ 大学に入り直したい!



 インディーゲーム開発者として数々のゲームを発表してきた渡部さん。ゲーム業界からは高く評価されているものの、ご自身的には大ヒットを出して悠々自適の生活をしたい!と思っているそうです。

 また、子どもの頃からたこ焼きを丸く焼き上げる職人の姿に憧れ、その技術を身に付けたいと思っていたのでたこ焼き屋のバイトをしたい!

 
ロンドンに留学したときに語学学校の同級生に留学中の老夫婦がいたので自分も年齢をとったら妻と留学したい!

 
ウキウキするキャンパスライフをもう一度経験したいのでもう一度大学に、出来れば芸術大学などアーティスト系の大学に入り直したい!


 岩手県盛岡市に生まれ、大学進学で仙台、大学院で東京、就職して京都、そして奥様の故郷である高知へと、徐々に西へ南へ移動してきた渡部さん。とても自由で自然体なのに、一言一言が面白いという非常にチャーミングな魅力の持ち主です。高知のこの地から大ヒットゲームが生まれる日を心待ちにしています!!

【 放送プレイバック 】📻✨
★ 2月09日(金)放送 ⇒ 
コチラ から!
★ 2月16日(金)放送 ⇒ 
コチラ から!


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