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箱根縦走

《山行概要》
桃源台駅(09:20)⇨長尾峠(10:20)⇨丸岳(10:40)⇨乙女峠(10:50)⇨金時山(11:20)⇨明神ヶ岳(13:00)⇨強羅ごうら駅(13:50)⇨浅間山せんげんやま(14:45)⇨箱根湯本駅(15:20)

総距離:30.9km
累積標高:1,856m / 2,498m
日付:2022年3月12日

山行地図①(注1)
山行地図②(注1)

東京近郊には、初級者から上級者まで楽しめる登山エリアが複数あります。高尾陣馬エリア、奥多摩、箱根そして丹沢です。今回はそのうちの一つ、箱根の名峰を巡ります。

箱根は言わずと知れた関東有数の観光地ですが、温泉など行楽地のイメージが強く、登山のイメージはあまりないかもしれません。しかし、箱根は地学的にたぐいまれな特徴を有し、実地探訪の楽しさは指折りなのです。

箱根山はカルデラ火山。中央火口丘と二重の外輪山で構成され、日本有数の活火山です。カルデラの中央部、主峰神山の北側には大涌谷おおわくだに早雲山そううんざんがあり、活発な噴気活動が観察できます。また駒ヶ岳東麓の湯の花沢には硫黄の噴気地帯があります。そしておよそ3,000年前に神山北西部で水蒸気爆発が発生、それに伴う山体崩壊により早川が堰き止められ、カルデラ内に芦ノ湖が形成されました。

このように、箱根は上述の高尾陣馬エリア、奥多摩ならびに丹沢とは地学的に全く異なる経緯を経て形成された山域であり、実際に訪れると、その姿から東京近郊の他の山域とは性質を全く異にすることが容易にわかります。

箱根外輪山には稜線上にトレイルが整備されていて、箱根湯本を起点にぐるっと一周できるのですが、箱根山の地形の成り立ちが特によく観察できるのが、外輪山の西側から北回りで明神ヶ岳へと連なる稜線です。このルートの途中には、その山頂からの雄大な富士山の眺めで箱根一番人気の「天下の秀峰」、金時山があります。

今回はその金時山と、稜線からの富士山、箱根山、丹沢ならびに相模湾の素晴らしい眺望で金時山に次ぐ人気を誇る明神ヶ岳、そして神秘の滝、千条ちすじノ滝からピクニックで人気の浅間山をめぐるルートです。

芦ノ湖湖畔、桃源台駅からスタート。晴天となり、幸先良さそうです。
芦ノ湖展望公園から、芦ノ湖の遠景。ここから眺める芦ノ湖の景色は、箱根の中でも随一。
外輪山稜線上、富士見公園からの富士山の遠景。ここから明神ヶ岳までは、随所で富士山の絶景を眺めることができます。
富士見公園近辺から望む、これから目指す箱根外輪山北側の遠景。箱根外輪山の向こうには、丹沢表尾根と丹沢主脈も見えています。
箱根外輪山とその向こうに見える丹沢表尾根と丹沢主脈の山座同定。赤い字が箱根外輪山。黒い字が丹沢表尾根と丹沢主脈。
金時山と明神ヶ岳は、箱根ではそれぞれ一番人気と二番人気の山です。これから、今見えている丸岳、金時山そして明神ヶ岳まで、外輪山の尾根を縦走します。
丸岳手前の稜線からの、芦ノ湖の遠景。ここからの眺めもいいですね。芦ノ湖の左にそびえるのが箱根山(神山)。
乙女峠も、富士山の絶景スポット。素晴らしい。
「天下の秀峰」金時山に到着。この何も遮るものがない富士山の絶景で、箱根一番人気を誇る山です。
金時山を出発。一旦少し標高を下げます。写真左奥に見えているのが明神ヶ岳。尾根を覆っているのは、箱根で群生がよく観察されるハコネザサの薮。そこに一筋の線のように見えるのが、藪を切り開いた外輪山縦走路です。これを辿り、明神ヶ岳へとあゆみを進めます。
明神ヶ岳山頂手前の稜線から、富士山方面の遠景。個人的には、ここが箱根で富士山を眺める最高のビュースポットだと思います。
富士山の手前に見える丸っこいピークが、先ほどまでいた金時山。その前後にみえる稜線を辿ってきました。
明神ヶ岳の山頂に到着。山頂からの遠景。写真中央のピークが箱根山の主峰神山です。神山から手前方向に山筋を辿っていくと、左右に谷のような地形があり、それぞれに噴煙が上がっているのが見えます。向かって右が大涌谷おおわくだに、左が早雲山そううんざんの噴煙です。箱根山の火山活動が最も顕著に観察できる場所です。
明神ヶ岳の山頂を出てすぐのところ。ここからは、江ノ島三浦半島など、相模湾の広大な眺望を望むことができます。今日天気は申し分ありませんが、春霞で遠くはかすんでいます。それでも素晴らしい絶景です。
いったん山をおりて、強羅ごうら駅でひとやすみ。駅前でゆっくりと腰をおろしておやつを食べてから、浅間せんげん山へと向かいます。
神秘の滝、千条ちすじノ滝。ここは真夏でもひんやりと涼しく、また、あまり知られていないとみえ、いつ来ても静かなので癒されます。
3月なので水量少なめですが、夏に近づくにつれ水量は増し、幾千もの絹糸のような流れになります。
浅間山山頂に到着。眺望はないのですが、ここは暖かい季節になると、千条ノ滝とセットでピクニックにくる家族連れの人たちで賑わいます。
ここから箱根湯本までの登山道は、紅葉の名所でもあります。
順調にあゆみを進めて、箱根湯本駅に到着。
箱根ですから、下山後はもちろん温泉です。箱根湯本駅から無料のシャトルバスで5分。箱根湯寮で湯浴み。このあとは、ロマンスカーで帰宅します。素晴らしい山遊びの一日になりました。

【参考資料】
気象庁 日本活火山総覧(第4版)Web掲載版 56. 箱根山

https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/STOCK/souran/main/56_Hakoneyama.pdf

(注1)
《国土地理院コンテンツ利用規約に基づく表示》
https://maps.gsi.go.jp/help/termsofuse.html
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院地図:電子国土Web)

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